私が育った家の近くに釣堀屋があり
その広い庭に、大きな柿の木がありました
その柿の実のおいしいことは近所の悪がきには知られていました
ときどき失敬して味見をしていたからです
しかし、そこのオヤジが怖くて簡単にはいきません
そこで悪がき5~6人と相談した結果、夜間決行ということになりました
庭に忍び込み、両方のポケットに大きな柿の実を突っ込んだ刹那
「こらーッ!」というオヤジの叱り声がしました
何と、庭の門はいつの間にか閉じられ
大きな白い秋田犬を従えたオヤジが退路をふさいで仁王立ちです
悪がきの来襲を事前に察知したオヤジが一枚上でした
待ち伏せの網に引っかかったのです
しかし、超敏捷少年だった私は、犬小屋の屋根に跳躍し
そこから高い塀に飛び移り、やっとのことで逃れました(忍者のごとし)
かねて示し合わせておいた集合場所へ駆けつけましたが
他の悪がきは全員捕獲されて、生還したのは私一人です
ややすると、同士達が帰ってきました
大きな柿の実を一つずつ持ち、全員が坊主頭にタンコブをこしらえていました
オヤジは捕獲した悪がきを整列させ、他人のものを盗むのは悪いことだと説教し
大きなゲンコツを叩き込み、柿の実を一つずつくれて開放したのです
オヤジは、一人だけ塀を乗り越えて逃げた悪がきがいることも知っていました
もし出頭しない場合は、明日にも小学校に知らせるとのことです
その頃の先生の怖さは、父親やお巡りさんにも匹敵します
覚悟を決めざるを得ません
私は両ポケットの二つの柿を友達に預け(ここがミソ)
釣堀の怖いオヤジの元に出頭しました
もちろん説教と、一発の強烈なゲンコツと、一つ大きな柿の実をもらいました
そして、隠した前の二つと合わせて、三つの柿の実をゲットしたのです
それにしても昔の大人は迫力あったたですね
いくら柿泥棒の悪がきとはいえ、小学生の頭にタンコブができるほどの
強烈なゲンコツをお見舞いするんですから(今では考えられないですね)
社会全体で子供達を教育する気概と習慣を持っていた時代だったんですね
釣堀のおじさんごめんなさい
そして、ゲンコツと柿の実ありがとう
皆さんのなかでこのような経験のある方はさっそく掲示板で懺悔して下さい!
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