2009年12月24日木曜日

冬囲いいろいろ(重要)

みなさん。今年の冬囲いはもうすみましたか?

毎年やっている人はほとんどすんでいるでしょうが
なかには特別には何もしないという方もいるんですよ

私の住む松戸市は千葉県の内陸部なので、屋外の鉢はすでに凍っていますが
それでも冬囲いをしないで何十年も通してしてきている人もいますし

また同じ千葉県でも、海よりの房州地方はおそらく寒中でも凍らないと思いますが
毎年必ず冬囲いを励行している人もいるんです

そうなると実際には、やったほうがいいか、やらなくとも大丈夫か?
の答えが欲しくなりますよね

となると、盆栽屋.comの答えは「やるべし!」
例え凍らなくとも、例え霜が降らなくとも、断じて「やるべし!」

実行することは実行するとして、そのあとは
簡易ですますか、厳重にやるかの問題だと思いますね

みなさんの所有する盆栽の大きさや樹種や樹勢
また盆栽置き場の条件などを総合的に判断して冬の保護法を決めればよろしいでしょう

さて、前置きが長くなりました
実際の冬囲いの実例を見る前に、過去のつれづれ草を参照してくださいね

2009/01/20  2008/12/13



南側の日当たりのいい軒下で風よけ

中品以上の松粕類はこれで十分
冬でも鉢がよく乾くので水切れには十分注意が必要ですよ



周囲の風よけをした棚下へ保護

南側は開けっ放しなので寒中は少々凍りますが、日中には溶けるので大丈夫
夜間に全面を塞いでやれば完璧なムロになりますね



片屋根式のムロ内の松粕類

鉢の小さなものや霜焼けぎみの松粕類は保護してやるといいでしょう
寒中過ぎるころになると葉の緑が濃くなり、春の芽出しも好調です



片屋根式のムロ内の雑木類

雑木類は繊細な枝先を乾燥した冷たい風から守ってやりましょう
また適度な湿度も欲しがりますから、晴天の日には葉水も忘れないように



たっぷりと葉水をもらった雑木類はきっと喜んでいるはず
寒冷地はともかく関東以西では、凍結よりも乾燥し過ぎでの失敗が恐ろしいですよ

まだ冬囲いをしていない人は、今からでも十分に間に合いますよ
それでは、がんばって!

2009年12月19日土曜日

スクールの常連・クロちゃんが2006年から手がけている山もみじ双幹(樹髙約60㎝)
ちょうど4作した今年の落葉後の姿をじっくりご紹介したしましょう

以前(2007年)のつれづれ草へ



今年の画像



2007/01/09 撮影画像

↑の2枚の画像を比較して相違点をざっと上げてみます

1 足元に重量感が出てきたようです(山もみじは鉢持ち込みにより足元がよく発達します)
2 節間の長い枝の追い込みが効をを奏し、すべての枝がコンパクトになりました
3 無駄な小枝が整理され、雑然としていた枝先に繊細な秩序が感じられるようになりました
4 また各枝の長短強弱が強調され、枝に弾みが感じられます
5 親幹と子幹とも頭の部分が切り替えされ樹髙が短縮されました

ともかく培養管理は順調にいってますね
しまった枝の先端にまで神経が行き届き、樹格は格段に上がりました

さて、次には各部分を見てみましょう



足元です
大地をしっかり掴んだ逞しい根張りもすっかり安定感が増してきましたね



節間の長い枝は思い切って追い込み、多すぎる無駄枝を整理し続けた結果
簡潔で秩序正しい枝の骨格が出来上がりつつあります



丁寧で辛抱強いクロちゃんの仕事ぶりには定評があります
無駄枝や無駄芽を丹念に除去し、枝作りの基本に従い枝先は二股に整理されています

枝分かれの素直さをよく見てください
みなさんも参考!



もちろん問題点だってありますよ、現在クロちゃんが苦労しているが赤点の枝です
元がちょっと太いですね

現在すべて切り落とせば枝順が狂ってしまうので
これ以上太らないように強く剪定するなどの処置をして様子見になるでしょう



拡大図



次は子幹の頭周辺のこれからの構想ですが、これが案外に難しい感じがします

この白線の部分の空間は、親幹の模様との調和を図ることが求められますからね
それと、この子幹は親幹の利き枝の下になるので日当たりが悪く、以外に成長が鈍くなりがちなのです



後ろ姿

それでは、クロちゃんにとってこれからが本当の勝負!
がんばってくださいね

2009年12月5日土曜日

芯作り・実生かりん

「いち幹、に枝、さん根張り」
みなさんもご存じでしょうね、これは昔から盆栽のいちばん大切な構成要素を表すことばです

たしかにこの三要素は盆栽の基本であり究極の目的ですから
それらが貧弱では話にはならないのは確かなことです

が、しかし、逸品や名品と認められている盆栽たちをよく観察すると
例外なしにこの三要素に加え樹冠部の作りがじつに適切でうまくできています

たとえばかなりのレベルで盆栽三要素を具えた骨格を有した盆栽でも
樹冠部の作りが、首なが、デカスギ、ゴツゴツだったりすると、まず名品への道は無理になります

樹冠部(芯)は人間に例えると「顔」にあたります
ですから、芯の長さや大きさや向きなどにより、間延びしたボンヤリ顔になったり、オッカナイ顔になったりします

やはり顔つきは樹種や樹形により、にっこり微笑んだ愛嬌や、きりりとしまった凛々しさがほしいですね
やっぱり活き活きとした表情が大切ですね

そして、盆栽を作り込む場合ほとんどは下から出来上がっていくため
樹冠部の作りには特に作者の腕前が見えちゃうんですよ

あなたの盆友で腕前のいい人の盆栽を見せてもらったらいいでしょう
例外なくその盆栽たちの顔の表情は活き活きとしてはずです

また改めてご自分の盆栽を眺めてみてください
愛嬌に満ちていますか? 凛々しい顔つきですか?

もしぼんやり顔でよそ見をしていたら、これを機会に思い切って改作して
顔つきを改めなくてはいけませんね


実生かりん、今までの所有者が枝の剪定などずいぶん頑張ってきたことは理解できす
しかし、樹冠部が長いうえにゴツイ枝が数本あり芯が決まっていません

これだといくら下の方の枝の剪定をマメにしても
何時までたっても顔の表情が見えず、この盆栽の人柄が不明です


下の赤点のゴツイ枝を外しました

新しい芯の長さからみると、真ん中の赤点が理想的な位置です
ちょうどいい位置に小枝もありますね

上の赤点は第二候補の位置
左右に小枝がありますから、その点ではかなり有力です


芯を切り詰める思い切りとタイミングはじつに難しいこと
今回も理想的な位置まで切り込むとその下の傷口とかなり近くなります

それとこれから冬期に入る時期とが重なりました
よって、安全策をとって取りあえず中間の赤点の位置までの切り込みで我慢しました


傷口はカットパスターでしっかり保護


一応の作業は終了です
やはりこの時点での切り込みはやや浅い感じですね(まだ頭が長い感じ)

来春かそれ以降、樹勢などを考慮しながら
必要であればさらに芯を短く切り詰めようと考えています

それではみなさんもご自分の盆栽の顔をしっかりと見直してくださいね
ではでは