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2013年5月9日木曜日

杜松の植替え

樹種別の植替えの適期については、ほとんどが春の彼岸ごろ
つまり、冬芽が色づいてほころび始めるころとされています

したがって、春の芽出しの早いもみじなどの3月の中旬あたりから
やや遅めの松柏類などの4月初旬くらいまでが、ほとんどの樹種の植替えシーズンといえるでしょう

ところが、松柏類の中でも杜松や杉、さらに雑木類(実物花物を含む)の中のちりめん桂やきんず、くちなしなどは
暖かい気候を好む性質から、4月下旬ごろから5月いっぱいくらいが適期とされています

しかし、その時期にはやわらかい新芽の吹いた若葉の季節になっているわけで
彼岸前後の植替えとは方法がやや異なり、少々の工夫が必要になってきます


春の新芽が勢いよく伸び、一日の平均気温もやっと20℃近くになり
ようやく杜松の植替え適期が来ました

さて、植替えのコツですが、新芽をこのままにしていきjなり根をさばくと
柔らかい新芽に水が揚がらなくなり、場合によってはくったりしてしまいます

それを避けるためには
まず全体の新芽摘みを行います


新芽をすべて摘み取った状態です
しかし、このまますぐに植替え作業にはかかりません

2週間くらいすると、摘まれた新芽の近辺や今まで動かずにいた芽先などが動き出してきますから
それらを見極めてから、おもむろに本格的な植替えにかかるのです

この方法が杜松の植替えのコツで(古木の場合は特に)
つまり、芽摘みと根さばきに時間差をつけて別々に作業することです

何故このように二重の手間をかけるのでしょう?

杜松は温暖な気候を好むため、冬芽が動き始める4月上旬ではまだ気温も低く
植替え後の樹勢回復までに時間がかかってしまいます

それで、一日の平均気温が20℃近くなる今頃まで待つわけですが
新芽はすでに伸びてしまっていますね

ですから、新芽をすっかり摘み込んでしまい
葉を新芽がそろそろ動き出すちょっと前の状態に戻してやるのです

摘まれた新芽は2週間もすると再び動き出します
そのころが植替えの適期となるわけですね

一日の平均気温が15℃を超え20℃に近くなったこれからの気候であれば
根さばきからの回復も早く、順調な生育をみせてくれます(関東地方標準)


さて、芽摘みが完了して植替えを待つ杜松の半懸崖ですが
以前よりの懸案であった植え付け角度の変更を敢行し、差し枝の利いた模様木として再出発したいと考えています

その節は新しい姿をまたみなさんにご紹介いたします

付記

以上のように事前に芽摘みや葉刈りを行い、その数週間後に再び芽が動き出すころを見計らって植替える方法は
ちりめん桂、くちなし、きんずなどの樹種においても実行していただきたい

では

2012年9月22日土曜日

杜松芽摘み納め

長く厳しかった残暑も九州を襲った大型台風の通過前後から
やっとやわらぎをみせ、過ごしやすい気候になってきましたね

さて今日は、杜松の今年最後の「納め」の芽摘みについて勉強しましょう

盆栽のジャンルとして、杜松は黒松や赤松、五葉松などと同じく松柏類に入りますが
本来はヒノキの仲間に入るために性質は違っていて、培養的にもやや異なります

暖地に自生するため、整枝剪定などは真冬を避けた方が無難であり
植替えの時期も、春先よりも4月中旬から5月にかけて行ないます

培養的に念頭に入れておくことの主なことは、杜松の根は黒松や五葉松に比べてやや細根なので
根元の根の塊に水が通らないことがあって、衰弱の原因になることが多いことがあります

ですから、植替えの間隔があいている場合は、根元の芯の部分が乾きすぎないように気をつけて
たまには鉢全体を水につけて、たっぷり水がいきわたるようにするのも一つの方法です

それでは


8月15日撮影

8月22日に古葉掃除と芽摘みを行なった杜松
日光と高温を好む杜松にとっては、今年の猛暑はかえって追い風になって、培養は順調です

8月22日  8月24日


わずか20日ほどで順調に芽が吹いて、次の芽摘みの時期がきています

杜松の秋の芽摘み納めは、だいたい9月中旬から彼岸ごろにかけて行ないます(関東地方)
この時期に最後の芽摘みをすると、次の芽が吹いてちょうどいい長さで止まってくれます


作業途中経過

まだ各枝の隅々には摘み残しの芽が残っていますね
また、差し枝の先端は、勢いをつけるためにワザと伸ばしっぱなしにしておき、芽摘みをしません


特に勢いのいい樹冠部は丹念に摘み込みます
まだまだ摘み残しがあるようです


差し枝の先端を残して、芽摘み作業完了


作業完了の樹冠部


摘み込みを控えた差し枝の先端


作業完了後の後ろ姿


★ さて、これより付録の隠し技

なんだこりゃ!

さて、これは

1 部分的に勢いがよすぎるので、その部分の勢いを抑制し
  その部分の勢いを他の枝に行き渡るようにしたい

2 晩秋から冬の展示会に出品予定なので
  枝棚を薄く維持するために次の芽を伸ばしたくない

などの目的をお持ちで
しかも全体に樹勢のいい杜松の場合は、これから紹介する付録の隠し技で解決してみましょう


伸ばしたくない部分を遮光率30~50%くらいの寒冷紗で覆います
極細の針金でヘアピンのようにして固定します


この杜松の場合は、下枝に比べて樹冠部の勢いがよすぎるので
その部分を制御するのが目的です

しばらくするとj寒冷紗の下でも胴芽をかけますが
その芽は遮光されているので、伸びが制御されるという寸法です

作業後を施した場合の注意点

1 鉢そのものは日当たりのいい置き場所で培養すること
  決して日陰や寒冷紗下においてはいけません

2 10月の中旬頃になって、芽の動きが止まったころに寒冷紗を外し
  その後は十分に日光に当てるようにします

3 その他の培養は、作業を施さない杜松たちと同じにします

チャレンジするひとは、実験的に部分からはじめて
要領をよく飲み込んでから始めるとよろしいでしょう

では

2012年8月24日金曜日

杜松・古葉掃除と芽摘み 2

この杜松(樹髙約10㎝)のように、枝棚もこのくらいに吹き込んでいると
ていねいに古葉掃除をおこなうと、ゆうに一日近くかかります

また、そのくらいに時間をかけて丁寧に徹底したほうが
せっかくの作業の効果が上がります


葉裏から見ます
かなりきれいになりましたね


まだ青味の残った古い葉がかなりついていますが、これらを無理に取ろうとすると細い軸を傷めるので
それらは10月の末ごろまで待って、再び掃除することにします


杜松の最後の芽摘み時期はおおよそ9月の中頃といわれています
今年の残暑は長引きそうなので、今回を含めてもう一回行えるでしょう

そうそう、ここで肥料をがっちりやっておくことも忘れないように
8月末、9月末、10月末と、あと3回の施肥です


芽摘みを兼ねた古葉掃除、完了!

作業前の画像と見比べて下さい
濃い緑に輝く葉の美しさが際立ちました


後ろ姿


真上からの画像

古葉掃除と芽摘みによって、向こうが透けて見えるようになりました
これなら風通しもよく日の光のフトコロまでとどき、胴吹き芽がしっかり育ちます

さあ、みなさんも残暑に負けずに実行しましょう!

2012年8月22日水曜日

杜松・古葉掃除と芽摘み 1

山取素材がすっかり枯渇してしまったために、なかなか優良な素材には巡り会えませんが
大物にもミニ盆栽にも向いたその特質から、杜松の盆栽界での人気は不動の地位にあります

さて、その杜松の手入れで欠かせないのが適切な芽摘み
4月頃から9月の中頃をめやすに適宜おこないますが、それと同時に古葉の除去(掃除)を徹底すると凄い培養効果をあげることができます

そこで今日は、その古葉の掃除について
しっかり勉強し、改めて効果と必要性について認識を確かにしていただきたいと思います


上から見た限りでは、芽摘みの必要性こそ感じますが
うっかりする新芽に目がいってしまい、古葉の掃除までは思いつかないことがあります


ところが葉裏から見ると黄ばんだ古葉がびっしりこびりついていますね
この古葉が通風をと日射しを妨げて、せっかくの胴吹き芽の成長のじゃまをしているのです


拡大してもっとよく観察してみます
ありゃ、こりゃひどい!


樹冠部付近の吹き込んだ棚に指を突っ込んで、フトコロの様子も観察してみます


混み合ったフトコロの中は、それでなくとも通風がわるく蒸れやすい
さあ、細かい作業で面倒ですが、ピンセットと小ハサミで古葉掃除にとりかかりましょう


ピンセットと小ハサミを使って茶色くなった古葉を取り除いていきますが
画像のように、古葉に隠れて小さな芽がけっこう吹いていますから、これらを傷めないように気をつけます

根気のいる作業ですが、頑張ります
ちなみに、剪定や針金かけなどの整姿は下(足元)からですが、掃除は盆栽の上(樹冠部)から行ないます

なぜって、ゴミが出ますから
上から綺麗にしていくほうが合理的ですね


枯れ葉はピンセットで、小さなイボ状になった複数の芽の塊などは小ハサミで
順次掃除を進めます

赤印の先に胴吹き芽がありますから
これらを傷めないように


芽止りした芽の先端はピンセットでは取り切れませんから
小ハサミでていねいに切り取る


その元に胴吹き芽が用意されていました


せっかく吹いた胴吹き芽ですが
通風がわるいために蒸れて黄色く変色してしまった

これもハサミで除去


だいぶきれいになってきましたが
せっかくですから、もっと徹底的にやりぬきましょう

一応上から下まで終わったら
もう一度上に戻って、下までもう一度仕上げ作業を繰り返せば、ほんとにきれいになりますよ

つづく

2011年6月18日土曜日

スクール速報・杜松

今年40歳になる私の長女が、まだ小学生の低学年ごろからのお付き合いですから
かれこれ、35年間に近いお付き合いになるヒナさん

盆栽にかける情熱にかけては、人後に落ちないものがあります
何せ、5年ほど前に家の立て直し時に、盆栽の置き場と作業場兼用の書斎とを新築のコンセプトとして臨んだほどです

盆栽の技術面においても、この数年、スクールの仲間になったハシやんの大胆な構想と実行力に刺激されたのでしょう
一皮も二皮もむけて上達が目に見えてきています

やはり、何につけても、持つべきものは良き友(ハシやん)ですね

さて、そのヒナさんの杜松中品
かつて2009/10/17に一度取りあげている項も参照しながらご覧下さい


枝の葉数も増えたので、全体の構図にも安定感が出てきました
以前からの懸案であった、鉢サイズの縮小も果たせました(キリッとした緊張感がでました)


さらに充実を図るため、利き枝(1)はやや伸ばし気味に培養中
同じく芯(2)も、もう少しの間は徒長させます

問題は(3)です

かなり鉢サイズを締めたので、ヒナさんはかなり植付けに苦心をしていましたが
このように画像でみると、やはり少々右に寄り過ぎてしまったようですね

このように、作業中に納得したつもりでも
あとで画像で確認すると、物足りなさが残ることはよくあります

ただ、現在まだ養成中なので、その事実だけをしっかり把握しておけばいいと思いますよ
毎年の植替えは樹勢を損なうもとにもなるので、急いでやり直す必要はありません


今年一年しっかり肥培して葉数をふやします
来年からは将来の輪郭線や枝の弾みを念頭において、おおよそこの画像のように利き枝と樹冠部の短縮を実行します


植替えは中2年か3年で行ないますが、その時は図のように向かってやや左に寄せて植替えましょう
右前隅の立ち上がりのジンと鉢内側の隅との間に2~3㎝の間隔ができれば、構図的にぐーんと安定します

がんばれ、もう一息!

2011年5月6日金曜日

杜松ジン離れ矯正

ジンと水吸いの絡みが見どころの真柏や杜松にも悩みはあります

それは、ジンと水吸いの接点が少ない場合、か細かった水吸いが成長とともに太ってきて断面が円くなってくると
ジンから離れてしまうことがあります(盆栽用語でジン離れという)

昨年に樹形の基本作りを頼まれた愛知県のKさんの杜松も、そのジン離れの兆候があったのであ
まずはそちらの方を矯正することを優先させました



裏から見るとジンと水吸いの下部はしっかりついているんですが
指で矯めてみると、上部はややジン離れの傾向があります

どうしたらいいでしょうね
接着剤?

無理でしょうね
根や幹に染み込んだら害になることは目に見えています

こんな時には外科的な矯正法が第一です
植物は切ったり張ったりにはとても強いものです


木ネジの頭の大きさに表皮と木質部を円くえぐる
その中心に細いドリルで道穴を開ける


木ネジの頭は表皮にめり込むように打つ
ゆくゆくは周囲が肉巻きして木ネジの頭が隠れるようにするわけです


2つ目の木ネジを打ちます
もちろんカットパスターを塗布するのを忘れないように


木ネジを打つだけの太さと元気が欲しいために、昨年は30㎝も徒長枝を引っ張りましたから
芽当たりから思い切って切り込んで、今年は構図の基本を決めます


作業後の後ろ姿


矯正作業から1ヶ月ほどが経ちました
二重鉢のおかげで水もたっぷり間に合って元気よく芽が伸びてきました

もう一息ですね


後ろ姿

ポイント

この作業は春から夏までの気温の高い時期に行いましょう
杜松が活発に活動するのは、4月から9月ごろの暖かい(暑い)季節ですから

2010年10月23日土曜日

杜松芽摘み納め

春から夏にかけは葉の緑色が美しい杜松ですが
冬期になってから、枝のあちらこちらに茶色の枯れ葉が混じっているものによくお目にかかります

これはたとえ元気な杜松においても、秋の芽摘み納めの時期が遅すぎることによることが多く
鑑賞上にもマイナスですし、培養上からも好ましくないことです

そこで、芽摘みの忙しい時期から秋になって、活動の速度が少しずつ鈍ってくる9月入ったら
各々の樹勢によって今年最後の芽摘み時期を念頭に入れねばなりません

早ければ9月初旬、標準では中旬あたりがその時期で
遅くとも9月いっぱいには切り上げましょう

それ以後になっても徒長芽が気になって我慢できなければ
指先での芽摘みではなく、必ずハサミを使い、芽当たりを確かめながらの軽い切り込みをしてください

ともかく、杜松は寒さがきらいな樹種なので、秋から冬には芽当たりのない箇所を切ってはいけません
元気な芽を残すようにして追い込みます


春から夏にかけての活動の盛んな時期の杜松
この時期には新芽を指先で摘む、もちろんハサミで切り込んでもよし


9月の中旬ごろに今年最後の芽摘みを施しました
その後に吹いた芽はあまり伸びません


先端の小さな芽が冬越しの芽です

このように適切な時期に摘み納めをすれば、吹いた芽が適度に伸びて固まったころ冬眠期がきます
鑑賞上も培養管理の面からも、これが正解ですね

いま気がついた方は、来年こそ秋の芽摘み納め時期を間違えないように
では

2010年8月13日金曜日

アマチュア・ミニ名人

まだ直接お目にかかったことはないが
私が内心敬服しているアマチュア作家がいらっしゃる

年に数回、私は人づてに作品にお目にかかるのだが
たくさんのミニ盆栽に混じっていても、それらは特別の輝きをもっているのですぐに目に入ります

先月にもフラリと仕入れに出かけた先の業者の棚に、後光の差したような逸品数点が目についたので
抜き出して価格の交渉に入って求めたら、なんとそれらがすべがその作家の作品であった

それらは、そこそこのミニ盆栽がずらっと並んだ多数の中に混じっていても埋没することなく
特別に光り輝いていたので即座に私の目を惹きつけました

やはり魅力のある盆栽は、こちらが目を皿のように探さなくとも
自ら輝いてその存在をアピールするので、私たちの視線はたちまち吸い寄せられてしまうのですね

さてそれでは、これら作品の魅力の秘密はどこにあるのでしょう
どうしたらこのようにひとの視線を吸い寄せる輝きがでるのでしょうか

この作家のミニ盆栽作品には

1 大胆でスケールの大きな構図
2 持ち込みの古さと、的確な培養管理
3 盆栽を引き立てる鉢の選定

の優れた三大特徴があります

もちろん他にも優れた点はありますが
この三点が他に抜きん出ています


杜松ミニ 樹髙5.5㎝

1 大胆に傾斜をもった立ち上がりと、向かって左の利き枝の力関係が絶妙のバランスを保っています
  まさに緊張感と動きのあるスケール大きな構図です

2 枝葉の長さはかなり抑制されながらも、植物としての生命力に満ちていますね
  この小さい目の鉢で、これほどの作柄を維持するにはかなりの努力と工夫が必要です


各点は1.0㎝単位です

3 約4.0㎝に近いボリュームのある立ち上がりですが、使用している鉢の直径は7.0㎝未満の八角
  幹径:鉢の間口の比率は約1:2に近く、鉢のサイズを目一杯しぼっていますね

  このミニ杜松がこれほどの力量感を発揮しているのは、この大胆な鉢使いによるものです
  また奥行きにも考慮して丸に近い八角鉢とし、培養面への配慮も感じられます

4 鉢に収まっている感じに、小さな鉢に押し込んだような無理がありませんね
  このことは盆栽を鑑賞する側からすると、かなり大切なポイントです
 
  展示会用の急場の仕事ではなく、普段からこの小さな鉢の中ではつらつと生気を放っている
  制作の早い段階から鉢を決め、細心の配慮をもって培養していることが見てとれます

  まさに脱帽!です
  

杜松ミニ懸崖 樹髙5.5㎝

5 ↑の模様木よりも鉢持ち込みが古い感じです
  その古色感は、立ち上がりから幹筋にかけての木肌の味や、枝先の繊細さに現われていますね


6 幹径:鉢の間口の比率は約2:5、つまり1:2.5
  この作家にとってはこれでも余裕の鉢サイズなのでしょう

  構図や培養面からはもちろんですが、鉢写りに対する細かい配慮が
  この作家を真のミニ名人に押し上げている理由だと思います

さあみなさん、あなたも真の名人になるために
構図、培養、鉢写りの3セットを見直しましょう