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2019年10月22日火曜日

二代目平安東福寺

先日まとめ買いした中に、サンザシのミニが入った10cmくらいの二代目東福寺の長方鉢を見つけました。支那鉢でいえば均釉(きんよう)の外縁雲足長方です。出来栄えとしては上々で、初代の初期作品かと見まごうほどのレベルです。


ところで、東福寺の評価鑑定をするときには、まずは初代か二代の作品であるかを見きわめる必要があります。そして二代目であっても各々出来栄えはピンキリですから、作柄に順じて区分けをしておいた方がよろしいでしょう。
これはどの作家にも云えることですが、特に二代東福寺の場合、作品によってかなり優劣の差がある場合が多いと思えるからです。


二代東福寺の本名は水野勇といいますから、「水野勇作」とか「ゆう作」などの落款も見受けます。作柄は上々と申し上げましたが、土目を見ると間違いなく初代の用いたそれとは異なり、二代目の土目です。



二代東福寺には作品の優劣が著しい、と申し上げましたが、その理由として昔から言い伝えられている逸話があります。


代々モノづくりのを業とする家系の場合、未だ次の代の評価が定まらないうちには、当代は自らの作品に次の代の落款を捺して市場へ売り出し、世間の評価を維持しようとすることがある、などとまことしやかに云われます。
東福寺・水野喜三郎も二代目かわいさのあまりその例にもれず、自らの作品に二代目の落款を捺した作品と思えるものが存在する。そのように断言する権威ある大家・研究家も大勢います。

土目と落款は二代目そのもののですが、作柄と作風においては初代のイメージが濃厚ですね。大切に使い込んで時代感さえつけば、風格のあるいい感じになるでしょう。

2019年9月20日金曜日

平安東福寺

盆栽つれづれ草で今までに50回以上、かの平安東福寺についての記事をかいています。そして、その記事の内容はというと、東福寺鉢の真贋についてのお話が圧倒的に多いようです。
それらの中に東福寺真贋鑑定のポイントとして次のような文章もあります。
1 全体のイメージ(作風)
2 釉薬
3 土目
4 足の付け方
5 水穴の位置と開け方
6 落款

東福寺の真贋の見分けは、盆栽人にとって最重要な問題です。気持ちを緩めることなく、これからも研究を重ねていかねばなりません。


ところで今までにはないことですが、東福寺鉢の中には無落款のものが案外に数が多いという事実をちょっとお話しておきます。
そして、それらの中には好きな人ならよだれを流しそうな名品も混じっていることがあるんです。



このように、東福寺鉢に無落款が多い理由でまず考えられるのは、東福寺が多作であったためでしょうね。
私も事実経験したことがあるんですが、昔から「無落款の東福寺の名品」として世に伝えられてきた東福寺鉢の、ビックリするほど意外な場所に落款を発見したことがあるんです。(詳細はいつかお話しましょう)そのように、落款についての東福寺の意外な癖(習慣)も理由の一つに挙げられるでしょうね。

ですから、無落款ではあるが東福寺としての幾つかの重要な要素あをクリアーしてきたものは、ほとんど心配することはないでしょう。味や作りに問題がなければ、万一落款がなくとも(値段とも相談)、求めてみてください。


もちろん無落款であれば金銭的な評価はやや下がるのは当然として、目利きの収集家の下に伝承されてきたものは。自信を持って評価すべきではないでしょうか。


2018年10月21日日曜日

平安東福寺の落款

平安東福寺の落款についての話題に触れるとなると、ちょっとやそっとの紙数では間に合わなくなるでしょう。東福寺が用いたその種類の多さや、捺し方の特徴などにしても簡単に話題はつきません。
平安東福寺でもっとも知られた落款といえば、東福寺と記された楓の葉でしょうね。次には手書きの落款や縦に小さく東福寺と印したものが代表的な落款といえるでしょう。反対に希少な落款としては「ふくべ」などが有名でしょうか。

ところで今日ご紹介するのは、東福寺の落款の中でもその稀少性においては最右翼に属するもので、ほとんどのひとが見るのが初めてという代物です。

東福寺と印されたこの小さな落款は、東福寺のいくつかの落款集においても確かに紹介されております。それらによると、東福寺鉢によくある一つの鉢に複数の落款が押されている場合には、添えの副款(ふくかん)として用いられることが多く、単独での使用例はめったにないということです。ところがこの白釉の丸鉢においては珍しく単独での使用となっています。私にとってもこの楕円の落款だけが捺されている東福寺は初めてです。

志野焼風の渋い氷列の釉薬と素朴なボディーの形状が新鮮なイメージです。この鉢の以前の持ち主はIさんとおっしゃる私よりもひと回り年上の愛好家さんで、骨董にも目の利く方でしたので、鉢の鑑定をめぐってのよい喧嘩相手でもありました。

水穴と比べても落款の寸法が小さい認印風なのがわかりますね。約一年ばかり前に亡くなったので、今ではIさんを思い出す懐かしい遺品となってしまいました。

この角度から見ると東福寺と上から読めます。

氷列がくっきりとして、穏やかな釉薬の雰囲気にある種の緊張感が感じられます。使い味もなかなかのですね。

という訳で、珍しい落款の東福寺鉢のお話でした。



2018年9月28日金曜日

窯傷・東福寺2

こちらは間口10cmくらいの東福寺の定番である手捻り丸鉢。普通ならご紹介するほどの珍しさはなく欠点もあるのですが、一部に特別の魅力を兼ね備えているので話題にしてみます。

東福寺手捻り辰砂釉丸鉢

東福寺手捻り辰砂釉丸鉢と呼ぶのが本式でしょうね。おそらく初期の登り窯作品でしょう。辰砂釉が部分的にエメラルド色に変化してえ深い輝きを見せています。

この鉢の見せ場は、鉢の内側に濃く垂れたエメラルドと辰砂釉の深い輝きです。まるで宝石のように輝いています。

釉薬が足元に流れてやや足元が乱れていますが、深い輝きを放つ釉薬の魅力のおかげで、足元の乱れはほとんど気になりません。燦然と輝く釉薬の魅力にただ脱帽です。

2018年9月27日木曜日

窯傷・東福寺1

もう何十年もお付き合いしている市内の愛好家さんが足を怪我してしまい、所有品をいくらか整理したいとおっしゃるので、まずは当面使いそうもない抜き鉢から買取りさせていただきました。その中から出てきたのが今日ご紹介する東福寺窯変太鼓胴丸鉢。間口は30cmほどの中鉢です。

やや厚めのがっしりとした胴体で、灰釉が基調。その上から全体に緑釉(りょくゆう)の窯変が出て焼き物としてのおもしろさが表現されています。ただ正面から見ると向こう側にバックリと窯傷があり、これを力の表現と見ればなかなかの迫力です。

やや焦げ茶いろの土目で、胴はやや肉厚のがっしり形、色調はやや暗い感じですが、存在感は十分です。
窯傷(カマキズ)の拡大図。10年ほど前に私が買っていただいたものです。今回久しぶりに手にしてみて記憶が少しずつ戻ってきましたが、さすがに当時の価格や入手先などは思い出せません。

ともかく、こうして全体をながめると、東福寺らしい東福寺といえる鉢ですね。

窯傷の部分には接着剤が流し込まれていて補強されているので、音もでないし傷がこれ以上広がる心配もいりません。どんどん使い込んで時代感がつけば、もっと見栄えもよくなるでしょう。まあ傷物ではありますが、腐っても東福寺ということで使ってみたいと思います。



2018年1月14日日曜日

東福寺の落款の癖

近代(明治以後)に活躍した盆栽鉢作家の中で、初代平安東福寺ほど多種多様な落款を用いた作家は他にいたでしょうか?

まあ少ない例としては、無落款が当然とされているほどの大家竹本隼太や、これも無落款の比率の多い市川苔州などの例を挙げることができますが、多い例としては東福寺の印象が圧倒的と言えるでしょう。

ざっと思い出してみても5ッや10では数えきれないくらいでしょう。おそらく20個くらいにはなるでしょうね。

話が逸れました、そうそう、今日しようと思っていたのは東福寺の落款の数の話ではなくて、その捺し方(正確には位置)に特徴がある、と云うことでしたっけ!

この特徴は話せば簡単なことで、見分けも容易だし、私の経験ではかなりの確率(100%に限りなく近い)で的中していると思えるので、みなさん、覚えておいてくださいな。お役に立つと思いますよ。

では具体的に・・・

東福寺の手捻り丸鉢に多く見受けられる「東福寺」の、いわゆる「ハンコウ落款」の場合。

これは焼き締めものですが、釉薬ものでもおなじことです。

縦に三文字の「東福寺」の印は鉢底の左側の、わりとギリギリの位置に捺されているのです。私は長い盆栽人生のうちで、右側に捺されているものを未だ且つて見たことはありません。

「東福寺」はこのように鉢底の左側ギリギリの場所に捺されています。ですから右側であれば極端な話ですが、贋物の可能性さえあるわけです。仮にそれが本物であったとしたら、ある面非常な珍品といえるでしょう。

以上今日はささやかな知識の公開でしたが、覚えておくと便利ですよ!
ただし、鉢が手捻りの丸鉢であり、落款が画像のような「東福寺」の「ハンコウ落款」であることを前提としておいてくださいね。

2008年11月27日木曜日

東福寺・贋物鑑定法

盆栽界でもっとも名の知られた鉢作家といえば「平安東福寺」でしょうが
同時に、これほど贋物が出回っている作家もいないでしょう

ながい間この業界に生きてくると、この東福寺の贋物にまつわる話は
枚挙にいとまがないほどたくさん見てきました

プロの場合、贋物を掴めば「あいつは目が利かない」と笑われるのおちですから
やせ我慢している姿が喜劇的で、「もっと修行をつめよ」などと先輩にからかわれたりして一件落着ですが

愛好家が大枚を出して求めた東福寺が「贋物」だった場合は、非常に悲しく悔しい出来事です
たちまち人間不信(盆栽業者)に陥って、盆栽がいやになってしまう人さえいます

ともかく売り手である盆栽業者は、きちっとモラルを守り鑑識眼の研磨に励めねば、まさしく業界の恥となります
そして、買い手であるみなさんも自衛のための勉強を怠ってはなりませんね


平安東福寺・緑釉外縁輪花 間口33×奥行33×高さ7.3cm

20年ほど前、ごく親しい愛好家のUさんが「こんなの見つけたよ、安いし使い鉢にいいから買ってきたよ」
と見せてくれた東福寺の贋物、その後その愛好家ずーっと使い込んでいたもの
先日その方からある名品を譲っていただいたおりに、サービスにいただいてきたんです(笑)

東福寺の贋物としては格別に大きな鉢です

所見1

東福寺の緑釉はもっとも代表的で定評のある釉薬
この贋物の釉(クスリ)にはホンモノのような深みと光沢がなく、薄っぺらな感じがします


所見2

6弁の輪花形の鉢は珍しい、ただし東福寺は形の多彩さでも知られた作家なので
「この形の東福寺はありえない」と断定はできませんからご注意

形よりもむしろ水穴に違和感があるのです

三箇所の小さな水穴は、針金を通して木を固定するための用途も意識したもの、と推定されます
東福寺鉢には、このように意識的に固定用の穴を開けた鉢は、あまり見かけた記憶はありません


所見3

足にも力が感じられませんね

東福寺の仕事は手早い一発仕上げが特徴
ホンモノであればもっと力強い感覚が伝わってくるはずです


所見4

ホンモノ東福寺の緑釉はもっと鮮やかで深みと光沢があります
この鉢の真贋判定の最大のポイントは、この釉薬だといえるでしょう


所見5

この釘彫の書き落款は、かなりホンモノに似ています
しかし、ホンモノにある筆致の勢いが感じられませんね、あまり落款を当てにしてはいけませんよ

そして土目も東福寺鉢にはみられない質のものです

以上思いついた所見をいくつかあげてみました

鉢の形や大小に拘らず、他の東福寺鉢の鑑定に役立つ急所です
総合的な鑑定眼を養ってニセモノに引っかからないように、勉強してくださいね

最後になりましたが、今日ご紹介した鉢は「二代目東福寺」でもありません
東福寺鉢の判定には、ニセモノを「二代目東福寺」と言いくるめる「便利な逃げ道」がよく使われますが

これとて悪質であることにはかわりません
初代は水野喜三郎、二代は水野勇の作でなくてはならないのです

その他の作品は、すべて贋物(コピー)なのです
いいですか、二代目という「逃げ口上」にも引っかかってはいけませんよ

では

2007年9月12日水曜日

広東鉢と東福寺

古代より近世に至るまで、私達日本人は中国大陸文化の影響を受け
それを手本として学んできました

盆栽の世界においても、中国文化の影響により今日の盆栽文化が発達しえたことは
誰もが認めるところです

大正の初期より作陶に入ったとされる名工・平安東福寺の作品からも
支那鉢の影響とそれへの強い憧憬がうかがえます

もちろん、それ以前の先駆者である大日本幹山、真葛香山、井上良斎、小野義真、竹本隼太などからも
影響を受けてはいますが、数多い東福寺の作品に接したときに感じるのは

なんといっても、支那、それも広東鉢の色彩と質感
さらにはざっくりと手作りの味を感じさせる形状の印象です


広東外縁丸鉢

平安東福寺の「緑釉もの」はかれのもっとも得意とし、また評価の高い釉薬
深い緑の釉薬の再現に情熱を燃やしたのです

みなさんが広東の緑釉鉢を鑑賞するときには
この釉薬の透明感と濃淡の味をしっかりと認識してくださいね


平安東福寺 瑠璃釉鋲打太鼓胴楕円

緑釉と並んで瑠璃釉も広東鉢の代表的な釉薬
平安東福寺も同じく緑釉と瑠璃釉を得意とし、作品の数も多いのです

やはりここでも東福寺は釉薬の透明感を尊重しています
生地が透けて見えるほどです


広東鉢の縁の上側

緑の釉薬が窯変により微妙な変化をおこし、えもいわれない効果を上げています


平安東福寺 緑釉外縁丸

広東鉢の緑釉の窯変を再現すべく施釉を工夫をした東福寺の作品
苦心のあとがうかがえます

このての作品には名品が多いのが特色
ざっくりとした手作りの味も広東鉢に倣った東福寺のセンスが感じられます


広東鉢の鮮やかな緑釉の発色

2006年10月16日月曜日

思い出の銘鉢(13):平安東福寺 高取釉切立雲足長方鉢

盆栽屋.comの「思い出の名鉢」シリーズ(お客様にご購入頂きましたが)思い出深い名鉢をみんさまの鑑賞用に復刻致しました。また、この場をお借りして愛蔵者の方々に感謝申し上げます。どうぞ小鉢の勉強にお役立て下さい。

東福寺初期の高取名品
間口6.7×奥行5.3×高さ3.5cm

ミニ鉢とは思えないほどの重厚な存在感は
狂いのない安定感したボディーと素晴らしい発色の高取釉の魅力によるものです

東福寺の好んだ高取釉の作品中でも
群を抜いた作品であると自負しています

無傷完j品
是非あなたのコレクションにお加えください


側面をのぞく角度より


反対正面


この角度もすばらしい発色です


初期の特徴がよく出た鉢裏


鉢裏の落款

2006年10月13日金曜日

東福寺鉢真贋解説

08/30のつれづれ草で「この東福寺本物?贋物?」と質問しましたね
贋物とのお答えが多かったのですが、約30%くらいの方が本物とのお答えでした

東福寺真贋鑑定のポイントを申し上げましたね

1 全体のイメージ(作風)
2 釉薬
3 土目
4 足の付け方
5 水穴の位置と開け方
6 落款

順を追ってご説明いたしまよう



この鉢を一目見て、盆栽通人であれば”東福寺”と感じるでしょう
それほどに全体のイメージは似ています

ぼってりとした胴の形
さらに、白に緑の入り混じった釉薬の使い方、このあたりが”東福寺”と感じさせるポイントです

また、使い込みの時代感もけっこうあることも識別を難しくしているところです



鋲の打ち方も一発仕上げですね
これも東福寺に似せた手なのです

拡大図で見ると、それよりも気になるのが釉薬の表面の質感です
何となく薄っぺらな感じ、これが怪しい



鉢裏から観察した姿も、おおよそは東福寺そのものですが
もっと近づいて見ましょう



二重になった底、これを「押し底」と呼び、東福寺にはよくある作りです
水穴の位置も東福寺とそっくり



真裏から観察します

ここでまず気になるのが、半磁器の土目
東福寺の使う土目は多彩ですが、この土目は東福寺らしくない

さらに、足のカーブが胴のそれに沿っていませんね
つまり、胴と足との調和が感じられません、そのあたりが東福寺本人の手と異なる印象です



最後に落款ですが、不明瞭ですね

東福寺は鉢作りの名人ですが、落款の捺し方も名人でした
落款の左右上下を均等な力で押すのでしょう、それも手早く

浅くなく深くもなく、手早くスッキリと捺された明瞭な落款が東福寺鉢の特徴なのです
贋物はたいがいこの辺りで馬脚を現してしまうのです

最後にもう一度オサライです

1 全体のイメージ(作風)・かなり似せています
2 釉薬・かなり似せています
3 土目・まったく似ていない
4 足の付け方・似せているが胴との統一感がない
5 水穴の位置と開け方・似せている
6 落款・ダメの決定打

ということで、土目・足・落款の三点に着目して贋物と判定された方
あなたは鑑定上級者です

では