2019年8月27日火曜日

盆栽雑感



前々回のブログで、ひとは年齢を重ねるに従い時の流れが早くなると感じるようになる、ともうしましたが、これは私の心の内側では日常から案外強く意識していることなんです。
まあしかし、それが本当であっても、実際物理的に早まっているはずはなく、そういう心理的な感じがしているだけでしょうから、あまりむきになることもないのですが・・・・

だがしかし、ただ心の中で思っているだけでなく一応ブログで書いて見ると、同じ感覚で悩んで(?)いるひとなどいるかしら的な疑問もわいてきて、ネットなどを漁ってみました。
すると私自身がなんとなく納得できるようなが結構たくさのアンサーが載っていて、なんとなく嬉しくなって盆栽とは関係ない内容ですが、一応それらをみなさんにご紹介してみたくなりました。

その中で私なりに見てもっとも納得できたのは19世紀のフランスの哲学者・ジャネーの発案した「ジャネーの法則」。(以下はウキペディアから引用)。

ジャネーの法則とは、19世紀フランス哲学者ポール・ジャネが発案した法則で、それは主観的に記憶されるある年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的に説明したもの。
簡単に言えば生涯のある時期におけるある時間心理的長さは、年齢に反比例すると主張したものである。
その他では、年を経て自然と生活が単調になると毎日の生活に変化がなくなって、その結果時間の経過が早く感じられるようになる。その一方で未経験なことの多い若い人たちの毎日は新しい出会いや経験の連続なため、感動の多い時間を常に経験してる。故に時の経過に起伏が多く時間の経過がゆっくりと感じられるのである、というような説明も納得しやすい感じがしました。

いずれにしても、年々歳々時の流れ(経過)は早まって感じられるようになっているようです。
かくなるうえは最早それらを押しとどめるわけにはいかないので、さらに盆栽道に没頭することにより日々新しい発見と出会いを求めて、時間が自分の身の周りをゆったりと流れるように泰然と生きることでしょうな。(ガラにもなく、ずいぶん大袈裟ないいかたですが)

2019年8月23日金曜日

山もみじのハサミ作り

盆栽用語にハサミ作りという言葉がありますが、みなさんはご存知ですか?
まあ、小品でも普通サイズでも、ある程度のレベルでがんばっている愛好家さんなら、ほとんどが知っているはずですが・・・・

樹高11cm×左右18cmですが実物を手に取ってみると、骨格部分だけならずいぶんと小さく締まってできています。葉と葉柄がガサを大きく見せているんです。ですから、来年の春に植え替えと同時に、輪郭線を2周りほど小さく切り込んでやれば、葉ガサは現在の半分になって、ずいぶん小型になるでしょう。樹齢はおおよそ20年は経っているでしょうね。

足元を拡大して見ます。足元が力強く足元の太さは鉢いっぱいです。
ここでポイントのハサミ作りですが、足元から右へ出た子幹や左へ伸びた枝に、人工的な模様(針金の)は見られませんね?
ハサミで切り返してできた模様を利用して幹や枝に模様をつけてあるのです。その技法を表す言葉がハサミ作りなんですね。

針金で人工的に幹や枝に模様(曲)をつけた盆栽と違って、ハサミ作りの枝ぶりは、自然な雰囲気が持ち味です。きらびやかな派手な感じよりも素朴で自然な感覚を大切にしています。

後ろから見た姿ですが、枝元(えだもと)は素朴ながらもけっこうな模様が入っていますが、枝先はまだ直線的で間延びがしたままですね。ですから、来春に植え替えと同時に切り込みを実行し、新しく吹いた芽を選んで新しい小枝を作って行く予定です。

特に超ミニ盆栽の場合、針金での作業はごく補助的な範囲にとどめ、8~9割りはこのハサミ作りで作り込むのが基本です。はるかに時間のかかる培養法ですが、仕上がり後の枝先の深い味わいはこの方法ならではのものがあります。
みなさんも、ハサミによる枝の追い込み(切り込み)作業をしっかりマスターして盆栽作りにチャレンジしてくださいね。


2019年8月22日木曜日

けやき実生14年年

このけやきの箒作りの過去の記事を探してみると、2017年に12年生とあるので今年では既に実生14年生になるわけです。ひとは年齢とともに歳月の過ぎるのが早く感じられるようになるらしいが、それにしても2年生の実生苗のころのこともよく覚えているので、歳月の経過の早さを改めて感じています。

私のブログの検索フォームから「けやき箒作り12年生」のキーワードで検索すると
数年前の、それも紅葉時や落葉時のけっこうな画像が見られます。

やはりけやきの鑑賞時期は、秋の紅葉時から落葉時にかけてが最高なようですね。

この2年ほどはやや肥料不足の培養だったせいか、根張りから立ち上がりにかけての幹筋に充実感が感じられませんね。今秋はちょっと多めの肥料で樹勢をつけるつもり。

さあ、2年前の画像を検索して見比べて下さい!








2019年8月9日金曜日

楓株立(優良品)

樹形20㎝×左右29㎝で足元が盤根状(ばんこんじょう)に発達した楓の株立。樹高は20㎝で左右の間口が29㎝ほどです。小品盆栽の普通サイズにちょうどいいサイズです。
楓は壮健な樹勢で、何よりも様々な樹形に仕上げることが可能なため雑木の中でも代表的な樹種です。
単幹の模様木から直観体まで、そして文人風な細身の株立からこの楓のような力に溢れたものまで、あらゆるジャンルの樹形が可能です。
石付きや寄せ植え、さらにはミニ盆栽から超大物盆栽までと、限界を知りません。


鑑賞の面からでは、春の芽だしや新緑時の豪華な躍動感に始まり、深い緑の幽玄なる杜の風景はやがて錦秋の季節へと向かって、四季折々に我々の目を楽しませてくれます。やがてすべての葉を落葉させる寒樹の季節になれば、そのときが最も盆栽家の待ち遠しい季節であって、待ちかねた裁家たちは盆上に理想の造形を求めて自然と格闘をはじめるのです。
盤状(ばんじょう)の根張りはただ四方八方に張っているだけでなく、根張りに高低や強弱の変化もあって、大地をシッカリ掴んだ力強さが大切です。
その点でもこの楓の株元は理想的といえるでしょう。↓

根と根が絡んで癒着した感じが古色感をよく表現しています。

正面のフトコロのよく見える位置からよく検証してみます。落葉後には子幹の配置や数についてついて検討することになるでしょう。

後から見ても根と幹のバランスは申し分ありません。何より嬉しいのは切り込みの傷っけがまったくないことです。傷っけのないことは完成度の高さを示しているわけですね。

後姿の足元拡大図です。将来の名品候補の優良品です。じっくりご覧になってご自分の樹作りの参考にしてください。

ちなみに楓の枝作りの管理についての第一のポイントは葉刈り。
樹勢をよくして入梅前の5月と6月に全面的な葉刈りを2回、樹勢がよければ入梅明けに半葉刈りを1回行う。つまり合計2.5回実施するのが理想的です。ともかく樹勢と相談しながら実行しましょう。