2021年8月29日日曜日

百日紅の花の色

一ヶ月ほど前に東京から私の処へ来た百日紅の花の色があまりに鮮やかなので、これはどうしても皆さんにおめににかけたくて、今朝写真を撮りました。
百日紅の花にいろは淡いピンクや紫紅色が多く、中には純白のもあります。
しかし、このように純度の高い鮮やかな濃いピンク色のものは、ありそうでなかなかお目にかかれないのが現実なんです。


ところで、百日紅の盆栽の見所と云えば、持ち込むほどに飴色に輝く木肌の美しさも忘れてはいけませんね。
花の色の大雑把な見分けは、花の咲いていない時期でもおおよそは推測が可能です。白花の場合など木肌はあまり濃い飴色にはなりません。それに白花の方が小枝の先がやや太めのようです。ということは、花の色が濃い方が矮性であり盆栽向きといえるのですね。



真夏の抜けるようなあおい空と百日紅の紅い花。よく似合いますね。



 

2021年8月16日月曜日

百日紅

入梅があけて酷い猛暑が数日間列島を襲ったと思ったら、頑固で強烈な線状降雨帯が九州に居座り続けて、西日本を中心に甚大な水害をもたらしています。
不幸中の幸い、とでもいえるのは40度近い暑さから盆栽たちが避難できたことくらいで、まあ、日本列島北から南までメタメタ状態です。



珍しく枝葉の状態もよい取り込んで眺めようと思っていたら、長雨のおかげでまだ蕾がほころんできません。



数年前に東京の板橋の「だるまさん」から分けていただいたものだと記憶しています。
傷のない素直で百日紅らしい文人木です。








 

2021年8月15日日曜日

天竜石仙の辰砂釉窯変

胴に独特の篆刻文字をあしらった作風で知られる天竜石仙の作品。形も多彩で用いる胎土も幅が広くて個性十分です。そんなわけで、天竜作品は地味ながらなかなか捨てがたい味があり、隠れファンも案外たくさんいるんですよ。
現在ヤフーショッピングの私のお店で販売中の辰砂の窯変ものも値段のわりに楽しめる佳品です。


間口8.0cmの天竜石仙鉢


うまい具合に辰砂釉が窯変して味わい深い色彩となっています


それにかなりの時代感


僅かながらの緑色の窯変が効果抜群です

 

2021年8月12日木曜日

新しい家族(その三)





山もみじ 樹高6.0㎝

頭のあたりに芽がたくさん吹いてしまっています。来春の植え替え時に芽抜きをしましょう。


古い木ですね。樹齢はどのくらいあるでしょうね?15年?それとも20年?
芽抜きをして筋を通せば見直すでしょう。


後ろ姿


宮様楓 樹高12.㎝

唐楓とは一味違った味のある樹種ですね、古色感あふれた趣が
格別です。



木肌のようす


後ろ姿

 

2021年8月10日火曜日

新しい家族(その二)




楓 樹高8.5㎝



8.5㎝のわずかな樹高の足元から先端まで、しっかりと幹模様が入っています。時間を何倍もかけて作りこんだ貴重な作品です。枝葉も小さく矮化して品よくまとまっています。


後ろ姿


琴姫 樹高6.5㎝(予定)

獅子頭もみじと思っていたら、どうやら琴姫もみじのようです。ミニ盆栽として流通している数量は琴姫のほうがはるかに希少だと思います。珍しいッ!


ちっちゃいけれど足元は本格派です。


後ろ姿


竜神づた 樹高8.0㎝

本格派の模様木です。この濃い緑色に赤系統の鉢が似合いそうです。来春までには見つけ出して植え替えをするつもりです。




後ろ姿

続く(新しい家族その三)

 

2021年8月9日月曜日

新しい家族(その一)

ある方(Iさん)のご好意により、新しいミニ盆栽の家族が増えましたのでご紹介いたします。

いずれもやや小さめの鉢に持ち込まれた古木ばかりで、おまけに各々が個性的な雰囲気を持っています。それでは!


楓 樹高10㎝

立ち上がりの根張りの動きに個性があります。ミニ盆栽らしく緩みのない幹筋の迫力が見どころです。 


桜 樹高15㎝


花の季節にならないと種類がわかりませんが、おそらく山桜の系統だと思われます。
桜の樹形つくりは難しい。長年の培養のご苦心がしのばれます。


ちりめん桂 樹高8.5㎝


丁寧な培養により枝葉の先端までやわらかくほぐれています。実に行き届いた管理ですね。


来春迄には似合いの化粧鉢を見つけてやりましょう。


夏づた 樹高11.5㎝



このようにまとまった樹形に作るのが非常に難しい性質の夏づたを、長年の丹精により上手に仕上げましたね。努力と熱意の勝利といえるでしょう。

(続く)

2021年8月4日水曜日

自然風寄せ植え

 鉢の左右の間口は15㎝ほどで、樹高は約30㎝の楓の寄せ植え。推定の樹齢はおおよそ7~8年生でしょう。おそらく2年生の苗のころに寄せ植えしたものでしょう。

気どらず自然のままに植えて、あまり肥料もやらずに、とにかく自然流にまかせたのが効果を上げたようで、案外に趣のある風景となっていますね。

このような寄せ植えの場合はあまり肥培が過ぎると、特定な幹に勢いがついてしまって、偏った太り方をしてバランスが悪くなってしまいがちです。あまり肥料はやらずにやせ気味に育てるのが定石でしょう。



樹高30㎝ 楓寄せ植え



あまり気どらずに自然風な感覚でさりげなく植えているのが、かえっておもしろい。


寄せ植えは奇数本を植えるのが定石とされています。試しに本数を数えてみると11本です。
まあ、私は5~6本以上なら偶数であっても気にしないことにしています。あくまで全体のバランス優先ですね。


幸い力のある主幹(しゅかん)がありますから、この幹を中心に全体の構図を組み立てていけばよろしいと思います。


後ろからの姿にも奥行きと遠近感が感じられられます。
来年は植え替えて小枝作りにかかりましょう。あと2年も可愛がってやれば、見違えるようになるでしょう。



2021年8月3日火曜日

舞姫超ミニ逸品

「木は木なりに作る」とか「松は松らしく、雑木は雑木らしく作る」などの
格言は、我々が若いころに大先輩から教わり今でも大切にしてきた盆栽の心得です。
そんな大先輩に、このようなズングリムックリしたもみじを見せたとしたら、どのような批評をされるでしょうね?
「こんな奇形は不自然で、美しくない」
「もみじらしい優しさが感じられない」
「不自然で人工的なかんじがして風情がない」

明治、大正、昭和前期のあたりまでの盆栽の勃興期には、自然と人工の技術のほどよいバランスが珍重され好まれました。
ところが戦後の隆盛期になると、肥培技術や整形技術の驚異的な発達により、盆栽の概念もかなりの割合で変化してきたようです。
自然な風情よりも力強い造形美が好まれているようですね。



樹高13.5㎝ 舞姫もみじ


足元の直径 5.5㎝


昔ではこのような樹形は欲しくってもできなかったのです。
肥培管理や極端な整形による衰弱からの養生法などが未発達だったんですね。
この舞姫はこれほどの竹の子幹の特殊な樹形であっても、幹の傷はすべて癒えています。



後ろ姿


舞姫特有の切れのいい美しい葉形が印象的ですね。
ボディー作りはほぼ終了の段階です。やや間口が広がり過ぎてしまったので、左右をもっと締めていきます。