2011年4月23日土曜日

紅千鳥挿し木(その後Ⅱ)

4月15日の段階で、3鉢のうちの1鉢に病気が入ったと報告しましたね

その段階では1から3番までのうち、2番鉢だけに病気が入っているのを確認し
さっそく治療と予防のために、3鉢とも殺菌消毒を実行しました


4月15日撮影

上部が黒く変色して芽の動きが鈍い挿し穂を引っこ抜いてみると
案の定、元の切り口部分も変色しています


挿し木を成功させるための高温多湿の環境には、病原菌がはびこりやすいんですね
しかし、ここは何としてもこれ以上の蔓延を防がねばなりません

ビニールハウスから出して棚上に出せるのは、早くとも連休明けくらいですね
そのあたりまで元気でいられる挿し穂が、最後まで生き残るわけです

病気はおそらくカビの菌による炭疽病の一種でしょう
ですから、薬剤の効能書きに「カビ類」に効く、と書いてあるものを使います

植物の病気の原因は大きく分けて
カビ類、細菌、ウイルスの3つと覚えておきましょう


今回はトップジンの乳剤を使ってみました


4月15日撮影

1番鉢は、この段階では病原菌に冒されているようすはありませんでした


4月23日撮影

ところが、今日(23日)によく観察すると
棒で指したように上部先端が黒っぽく変色しているのが数本見つかりました

む、む、む、むl・・・こっちにも来たかッ!
いやな予感がしますね

このように変色した挿し穂をみつけたら、すぐに取り去り焼却処分にすること
ほっておくとどんどん蔓延してしまいます

そして、ただちに2回目の消毒(上記のトップジン)
前回よりも入念に、鉢底から消毒液が流れ出るくらいにやりました


現在の環境は、ビニールの扉を開け放ち
ドームの下にかいものをして、やや外気に触れるようにしています

連休明けまでのあと2週間くらいが勝負
がんばりまーす!

2011年4月19日火曜日

姫りんご交配

丈夫で育てやすく、しかも本格的な盆栽にも作り込めるため
初心者からベテランにまで広く普及している姫リンゴ

しかし、ミニ盆栽としてしめて作り込むと花芽はそうたくさんは付きませんから
せっかくの花芽は大切にして結実させねばなりません

ふつう、交配用に深山カイドウを近くに置いての自然交配でも充分ですが
開花期がずれたりしてうまくいかないこともあるので、人工交配をしてやれば確実です


深山カイドウの花弁が開かないうちに、ピンセットで花弁を取り去る


中央にある雌しべを切り取る


姫リンゴの雌しべに受粉


まだ開ききらない姫リンゴにも花弁をピンセットで開いて受粉する
(もっと丁寧に、綿棒などを使う人もいます)

この方法なら姫リンゴと深山カイドウの開花期が少々ずれても大丈夫ですね
是非お勧めしますよ

さてしかし、しっかりと人工交配しても途中で実が落ちてしまった
そういう嘆きや相談が案外に多いようです

その原因はたいがい次の2つにあります

1 水切れ
  開花期から結実が安定するまでの1ヶ月間くらいは特に気をつけましょう

2 肥料過多
  同じ時期には肥料をやや控えるのが定石です
  
※ 上記の2つは他の実もの盆栽樹種でも同じことです

それでは今日はこれでバイバイ!

2011年4月15日金曜日

紅千鳥もみじ挿し木(その後)

紅千鳥もみじ挿し木の経過報告です

2月26日に挿し木、その後1ヶ月くらいして挿し穂の芽が動き始め
4月に入ってはそろそろ芽がほころびかけ始め、とうとうこの1週間(桜満開)で新芽が伸び始めました


4月4日撮影

戸外に置いてある親木の芽の様子
この親木から挿し穂を採取しました


4月4日撮影

挿し穂の様子


4月4日撮影

冬芽がついにほころんで芽が動き始めました

ビニールハウスの中の棚下に置かれ、さらにビニールドームで覆われているので
戸外で春の陽光を浴びている親木とは芽の色が違いますね

でもとにかく、挿し穂は色つやもよく
伸び始めた新芽もいきいきとして、希望がいっぱいの感じです

さて、現在はどうなっているでしょう?


4月14日撮影

ビニールドームごと棚の奥からやや日の当る前面に置き場所を移しました


4月14日撮影

どうです!みごとに芽が上がっているでしょ
この一週間くらい気温が上がったので、たちまち芽が伸び始めたんです

ただ喜びすぎてはいけませんよ
まだ発根してはいません

いま穂木は必死で生きようし、切り口から水を揚げ、穂木に蓄積された養分でやっと芽を伸している最中で
やがて、葉で作られた養分が穂木の元へ下がって発根するするわけです

おおよそあと半月くらいが峠で、発根すれば水揚げはさらに容易になり
それにより葉においての光合成はさらに活発になり、さらに根が発達するという仕組です

現在はそうしたイイ循環になるまでの我慢のとき
がんばれ~、紅千鳥!


4月14日撮影

早い穂木は3節も伸びていますよ


4月14日撮影

ところが、挿し木をした3鉢のうちの1鉢に病原菌が侵入した形跡がみつかりました
赤矢印で示した穂木が黒っぽく変色していますね

よく観察するとこれらの穂木の芽は動いていませんね
これが怖いんですねー、蔓延すれば全滅もありえますねー

これからも鉢内の過湿は厳禁です
水やりは10日に1回

という現況です

2011年4月13日水曜日

真柏ジン掃除

盆栽の手入れというと、剪定や針金かけ、それに植替えや芽摘みなど
どうしても切ったり曲げたりすることのイメージが強いですね

それで、どうしても盆栽の日々の地味な手入れの部類に入る「掃除」を軽視しがちですが
しかし、「掃除」は日々の水やりや施肥や消毒と並んで、もっとも大切な作業なんです

みなさんも、鉢内の雑草取りはもちろんですが、鉢底の点検を見落としたために
蟻やダンゴムシに進入された苦い経験があるでしょう

ある意味で、盆栽の管理は清掃に始まって、清掃に終わる
といっても過言ではありませんね

このことは全ての樹種にあてはまることなので
今回は真柏の剪定と植替えをかねてジンの掃除をしてみましょう


愛知のKさんからお預かりしている真柏
昨年いっぱい充分にに肥培したので、枝葉もよく繁り水吸いも目立って太りました

さてそこで、剪定の前にジンの掃除をして水吸いとの絡み具合を確かめてから
基本樹形の構想を練るのが正しい手順です


手動のルーターに彫刻用と清掃用の先端具を用意します


正面の水吸いは新しく削り込む部分はほとんどなく
高速ルーターに装着した金ブラシなどで掃除しました

きれいになったでしょ!

ジンに絡んだ真柏特有のおもしろさがハッキリと見えてきて、意欲を刺激してくれます
また苔や汚れはジンの腐食の原因ですから、常に清潔を心がけましょう


裏面には、水の通っていない水吸いの表皮が多く残っていたので
水の通った生きた水吸いとの境目をはっきりさせるために、彫刻を兼ねて掃除しました


剪定と植替えの作業も終了
植付け角度がやや変わって新しい構想もわいてきました

思い切って葉を透かしたので、フトコロにも新しい芽が期待できますから
夏いっぱいは肥培に努め、秋口になったら本格的に針金で整枝します

では

注)ジン掃除の道具について

高速のルーターなどは必携の道具ではありません
柔らかめの金ブラシや歯ブラシなど、身近にある道具でも充分役に立ちます