2012年1月17日火曜日

スクール速報・けやき

何年か前に、このけやきの古木の骨格をクロちゃんから見せられたとき
これはひょっとすると意外な大もの君になるぞ、と思った記憶があります

素材の骨格を見抜いたクロちゃんが
大手術を施してまったくの種木から仕立て上げたものです

「けやきは箒作りと段作り」が定番で、模様木などそれら以外の樹形は盆栽界で認知されにくい
そんな風潮が存在するのは確かなことです

しかし、足元の力強さといい、幹模様の自然さといい、繊細な味わいをみせる枝振りといい
古木感にあふれた堂々たる風格はみごとで、決して不自然さは感じられません

樹種により自然界にはありにくい樹形であっても、そのような例は他の樹種ではいくらでもあって
何の抵抗もなく盆栽界に受け入れられています

このけやきは、盆栽界の固定観念に対して
こだわらない自由な精神で挑んだ力作であり、みごとな成果を上げていると思います

けやきばかりが何故故に定番樹形でなければならないのか、そんなのおかしい、もっと積極的に評価すべきだ
そう思うのは実物の迫力と持ち込みのよさが放つ風格のせいでしょう


2011年の12月撮影

昨年の暮れのスクールにクロちゃんが持ってきました
おもに鉢あわせの相談です


ボディー正面の拡大図

大手術の傷はほとんど癒えて、肉巻きの痕は幹味を醸し出すほどになっています
盆栽においての持ち込みの古さの大切さを、改めて思い知らされますね


後ろ姿


盆栽屋.comからのアドバイス

一、二の枝にもう少しボリュームをつけて予想図のような輪郭線にする
鉢は極力コンパクトにし、次の植替え時には根の底を攻め、現在よりもやや低めに植付ける(もう少し深めの鉢も可)

その2点でした

あと数年で展示会に飾れるレベルに成長するでしょう

ちなみに樹髙は23㎝くらいですから、けやきを主木とした三点飾りか
中品の添えとしてもいいでしょうね

クロちゃん、自信を持ってがんばってください
みなさんも参考に

では

2012年1月12日木曜日

姫柿取木素材

今年はじめてのつれづれ草です

気がついてみたら、昨年の12月中のつれづれ草は皆無
新年早々怠慢の我が身を恥じてしきりに反省しているところです

今年「も」ではなく、「は」がんばりますので
お見捨てなく、どうぞよろしく


昨年の10月にPart199でご紹介した姫柿の取木素材
(過去に販売した商品です)

松戸市内の親しい愛好家・Mさんが、数年前に私のアドバイスに従って取木をかけたものです

ところが、アドバイスした方の私はすっかり記憶喪失(笑)
でも、忠実に実行した愛好家・Mさんはしっかり覚えていました

さて、譲ってもらった当初はこちら側を正面にして作り込むつもりでいたんですが
スクールのクロちゃんが、反対の正面もある、そう言うので結論は植替えまで待つことにしていました


クロちゃん推奨の正面

植替えと剪定の段階になったので、すべての葉を落としてみると
どうもクロちゃんの意見が正解のような気がしてきました

私は樹髙の短縮ばかりに拘りすぎていたようですね


まず土を全部落として根の具合を確かめます
八方から発根しており、素晴らしい根張り、これを見たから嬉しさ倍増


ここが一番の急所である台木から取り外した箇所を検証すると
1.5㎝ほどの台木の切り残しがありました


白線にしたがって切り残し部分を元までしっかり削り込みます
取木素材ではもっとも肝腎なことですから、決して手を抜いてはいけませんね


新しく見出したクロちゃん推奨の新正面です

図のように、各枝は先端に水揚げのための芽をいくつか残したままの荒切り状態にしておき
春になって芽が動き出す直前に、↓のように再び切り込み直します

その理由は、寒中よりも芽出し直前まで待って切り込んだ方が
不定芽が多く吹きやすいからです


再剪定の予定図

切り込み位置の高さは12.5㎝


骨格の予想図

こちらの正面の特徴としては、傷っけの少ないやわらかな幹模様
枝順のよさなどが上げられます


後ろ姿

みなさも姫柿の取木(環状剥皮)で、姫柿の素材をゲットしてください
このような素晴らしい模様木が短期間で手に入りますよ

それでは