2017年4月30日日曜日

画像からサイズをイメージする

みなさんは通販で小品盆栽や小品鉢を注文されて
梱包をほほどき商品に対面したとたん

あれ、こんなに小さかったの(大きかったの)!?

こんな感想や叫びを口にした覚えはありませんか?

サイズは表示されていても
自ら描いたイメージにぴったりといかないことが、ほとんどでしょうね

世の中の傾向はますますネット通販化が進み
これなしではやっていけないほどです

さらに、消費する日常品だけでなく、盆栽のような趣味の鑑賞物までが
当たりまえ化していますから

われわれはできるだけ、正確な情報の伝達術に(発信も受け取りも含めて)
熟練する必要があると思う今日この頃です

そこで、実物ではなく画像を見て盆栽のサイズのイメージを推測するときの
ポイントを考えてみましょう


最近手に入れた真柏

樹高は6.0㎝で左右の幅は9.0㎝です
みなさんが想像しているイメージよりも実物はかなり小さいと思います


正面の拡大図

よろしいですか
樹高は6.0㎝で左右の幅が9.0㎝ですよ


後姿です

この6.0×9.0㎝の真柏を基にしてが画像を見て↓の杜松(11.5×17㎝)を
イメージしてみましょう


この杜松の樹高は11.5㎝で左右は17㎝です
樹高も左右も先ほどの真柏のやや倍のサイズです


正面の拡大図


後ろ姿

さて、みなさんが頭に描いた杜松のサイズのイメージを
真柏と比べてみましょう


真柏のサイズは樹高6.0×左右9.0㎝
杜松のサイズは樹高11.5×左右17㎝

ですから、だいたい真柏は杜松の半分の大きさになりますね


両方を並べて正面から比べてみます
ずいぶんと大きさが違う感じがします・・・!?

そうそう、画像の面積でいうと杜松は真柏の2倍ではなく
4倍になるんでしたね

つまり、サイズが2倍でも平面の面積なら4倍
さらに立体をイメージ(↓)すれば8倍になっちゃうんですね


ですから、小さい方を基にして大きいものをイメージする場合は
やや大きめなものをイメージし

反対に大きいものを基にした場合は
やや小さめにイメージする

このような感覚を訓練する必要があるようです
みなさん、いかがですか!?

特に席飾りの段階に入った方や
サイズの好みに厳格な愛好家さんなどは気をつけましょう

では、また

2017年4月21日金曜日

椿(胡蝶侘助)

椿の盆栽はあまり一般的な樹種とは言えませんが、地味ながら根強い人気があります
一般的でないのは、逸品と呼べるような本格樹形のものが少ないせいかもしれませんね

ただ、真冬から春にかけて濃い緑色の葉陰でひっそりと咲く風情はたまりません
そのあたりが日本人の好みにあうようです

盆栽人がおもに好むのは単色系の藪椿や小輪系の侘助などで
枝打ちが細かくて樹形が整いやすい品種です

今日はその椿を採りあげてみました
つれづれ草ではおそらく初めてだと思います


椿(胡蝶侘助) 樹高40×左右50㎝  幹の直径約6.0㎝

隣市の愛好家Sさんが山取りした藪椿のボディーに
接ぎ木を繰り返して胡蝶侘助に衣替えしたもの

この椿の見所は、如何にも山取りらしく捻転した根上り状の根っ子から
強く曲がった幹筋の様子です


立ち上がりから根上がり状の幹筋は、1の矢印手前までは山取り部分で
それより上部の1以降の幹や枝は、すべて衣替えで作ったものです

1と2の幹筋付近にもっと強い模様が欲しいのですが
椿では針金で曲がりませんから、芯の付近に強い曲をつけてバランスをとりました

また1あたりに不定芽が出そうなので、切り込みを強行して
幹の芯を建替えるという手もありましたが、ちょっと時間がかかり過ぎるようですから

今回はこの手でいきましょう


後姿


Bの部分は呼接ぎの接合部分
目立たなくなるにはさらにあと数年かかるでしょう

Cの赤矢印は、山取りの際の古い切り傷です
この傷も完全肉巻きは難しい感じですが

ただ、辛抱して培養を続ければ
自然に朽ちた山取り独特の味わいが出てきます

椿盆栽の培養ポイント

1 4月から5月にかけてが植替えや切り込みの適期

2 この椿のように、今頃に葉刈りを敢行して枝を追い込むといい

3 肥料も忘れずに(多肥・多水)

2017年4月19日水曜日

作る・チリメン桂

育ち(太り)の遅い樹種の代表であるチリメン桂は、種々ある盆栽樹種の中でも
特に希少品とされ樹格の高い高級品とされています

培養技術の発達した昨今では価格もリーズナブルになりましたが
私達の若いころは現在とは比べ物にならないほど高価でしたね

とはいえ現在でも、木筋の通った優れた商品の数は少ないことは相変わらずなので
これと思ったものに出会えたとしても、そう簡単にはいかないでしょう(笑)

そこで皆様にお勧めするのが、優れた骨格の種木を探して
サイズダウンの切り込みを敢行し、本格的なミニの模様木を自ら作ることです

切り込みは4月の半ばから入梅前までが適期です
夏以後や秋から冬季は適していませんから、時期を必ず守りましょう


樹高20㎝で足元の幹径は2.0㎝くらい
樹令は不明ですがおそらく20年ほどは経っているでしょう

今月の初めごろに市内の小さな交換会で3,000円(安い!!)で落札しました
あまり太くはありませんが、足元から中ほどにかけての幹模様が器用で、枝順もほぼ順当です



1  一の枝候補

2  二の枝候補

3  三の枝を兼ねた裏枝候補

4  使える枝です

5  使える枝です

赤点で示した三つ枝は↓で解説します


後姿も幹模様が強くて魅力的です


骨格をよく見定めておいて先端の枝葉を思い切って切り落とします
その際、重要な骨格部分の剪定は慎重に行います

ここへ来て、今まで保留にしておいた芯の部分の剪定計画ができ上がってきました
樹高12㎝の位置に新しい芯を立てることに決定です


切り込み作業完成です

今年の切り込みを第一次として
来年再来年まで、第三次までの作業を行う予定です


後姿

この後の管理のポイント

1  切り込みご1~1.5ヶ月ほどして芽が吹き揃ったら
   多めの肥料と水やりで肥培する

2  原則今年一年間は芽の先端を摘まず
   来春以降に針金で枝棚を作っていきます

3  来春に現在の6号鉢から4号鉢に移します
   根さばき方法は改めてその時に勉強します

みなさんも売店などで掘り出し物の素材を探して
改作にチャレンジしてください

2017年4月18日火曜日

芽だしの季節・山もみじ

遅めの春がやっと盛りを迎え本格的な芽だしの時期になりました
中でも山もみじとなると色彩や葉形(はがた)などが一本ずつ異なっていておもしろいほどです

赤く細い芽先のもあれば緑がかった芽先のものもあります
正確にいえば実生苗である限り、一本たりとも同じ色彩と性質のものは存在しないわけです

ですから、同じ親木から採取した種子の実生苗の寄せ植えでも
よく観察すると一本一本微妙な違いがあるものです


さて今日は、最近手に入れた山もみじの単幹模様木
樹高48×左右68㎝

プロの盆栽師に手によって
おおよそ40年近くの年月をかけて作り上げられたもの

ずーっと長い年月の間、同一の製作者が面倒を見てきたもので
そもそもは半完成品の頭の部分を取り木して独立させたものだそうです

40年と一口にいっても、凄い年月ですよね
ひとの一生とはいかなくとも、半生分はたっぷりあるわけで

まあ、盆栽の一鉢一鉢をこのような観点からみると、40年間一日も休まずに
この山もみじと対峙してきた作者に対し敬意を表さないわけにはいきません

ところでまず第一印象で目立つ特徴は
新芽の色彩がかなり黄色っぽいこと

やや肥料が切れ気味なのでしょうが
それにしてもこれは持って生まれた性質という他はないでしょう

ですから、山もみじの場合、新芽と新葉が細かければ色彩はあまり気にする必要はなく
樹形優先で評価すればよろしいと思います


まるで秋に黄葉するイチョウのようですね


拡大して見るとやはり山もみじでした(笑)


平均して3芽から5芽ほど伸びていましたから1~2残して芽摘み
このくらいの大きさのものは一回の芽摘みでは不十分です

摘み残しや後から伸びる芽もあるので
入梅までに最低3回くらいはしっかりと摘んでやりましょう

2017年4月8日土曜日

もみじ芽摘みと切り込み

暖冬だったわりに今年の桜前線は、関東で平年並みかやや遅めな感じで
私の住む千葉県松戸市あたりでは、この週末が満開の時期のようです

さて桜はもちろんですが、盆栽人にとって
それ以上に気になるのは、春の芽だし加減とこの時期の気温ですよね

参照ページ 2010/04/15  2010/04/20  2013/04/13

過去のつれづれ草を振り返ってみても、霜はもちろん雪が降ったりして
けっこう凄い気候のときもあったんですね

今年も春先のいっとき、真冬並みの気温も経験して震えあがったことがありましたが
例年に比べてもまあ穏やかな方だったような気がします


植替え後、順調に芽先のほぐれが進んでいる舞姫もみじ
芽摘みの適期となりました


1 芯にあたる部分ですが、芽摘みをします

2 先端の3節目も僅かに伸びかかっていますから
  1節を残して芽摘みします

3 先端の3節目が勢いよく伸びています
  これからも徒長しそうな芽ですから、1節残して摘みましょう


爪の先か小さなピンセットで丁寧に


引っ張らず、ピンセットの先端でツブス感じ


全体に1節を残して芽摘みして輪郭も整えました


まだ枝の骨格が十分にに出来上がっていないこの段階では
枝数はやや多めに残しながら徐々に姿を整えるようにします


樹高8.5㎝ 幹径3.5㎝

舞姫もみじとしてはかなりの太幹の模様木
芽が動き出したので、一度強めの剪定をしてから枝先作りに入る予定です


樹高6.0㎝ 

強い剪定で二回りほど小さくなりました
幹の力強さが目立つようになりました


この段階では芽の先端を摘みません
もう一段階枝の骨格作りが進んだ後に枝先作りに入ります

芽摘みはその段階に入ってからの作業ですね

慌てない、まずは骨格作りから!