ラベル 盆栽の育て方 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 盆栽の育て方 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年4月25日水曜日

できの悪い子供ほど可愛い(舞姫三幹)

前の年に取木した細い苗を去年(2017年)の春に、宗像一蒼さんの4cm鉢に入れた細い舞姫もみじですが、持ち込みの時間の経過というものはたいしたもので、やはり今春化粧鉢にいれたものより盆栽年齢的に眺めると、グーンと年上に見えます。

何時も思うように、やっぱり盆栽年齢は太さやサイズよりも持ち込みの古さからくる古色感、つまりは落ち着きから滲み出てくるものなのですね。幹の太さはわずかに2.5mmくらいですが、木肌や枝のゆすりなどに何となく自然味と古さが感じられます。


ところで、「自分の子供でもできの悪いのは心配でついつい可愛がってしまうもんだし、反対にできのいいのはほおっておいても何の心配もないので、かえって手がかけられないもんだ」と亡くなった母親がよく言っていたのを思い出しますが、自分で営業で作っている盆栽素材にでも、そのままあてはまるような気がします。

今日お見せした売れ残りのやせっぽっちの舞姫三幹も、できのいいのから売れてしまし、悪いのはどうしても長い年月手塩にかけることになってしまい、面倒見ている間に次第に愛情が濃くなってしまうという訳ですね。まあ命あるものですから形の優劣だけで差別をしないで、できるかぎり愛情をかけて育ててやりたいものですね。

2014年9月23日火曜日

初級・中級盆栽集中講座(4):黒松芽摘み

超初級から中級くらいまでを中心に(たまには上級編もまじえて)盆栽の手入れに関するご指導する初級・中級盆栽集中講座シリーズです。
  • 時期:6月中旬から7月中旬頃まで適用樹種 黒松・赤松
  • 目的:短期間に小枝をふやす・徒長させない・冬の鑑賞期に短い葉に揃えて観賞価値を高める
  • 道具:剪定小鋏・ピンセット
  • レベル:超初級から達人まで絶対必要な盆栽技術(短葉法なくして黒松・赤松盆栽なし!)
  • ここがポイント
    • 内側のふところ芽は力をつけるために葉を多めに残してもよい
    • 作業後日陰で管理してはいけません、普段どうりの日当たりの良い棚に置きます
    • 事前に肥料を多めに与え、樹勢をつけておく

作業開始前の姿
春に伸びたろうそく芽は既に葉が開いている
元気はいい
まずは勢いよく伸びた今年の新芽をあらかた切り取る


切り取った新芽


場所によっては去年の芽の部分から切る
理由は枝をより短く作りたいときに、そうするのです
三叉の下は去年の枝です

ざっと切り取った後の姿
さて、これからが肝心!
これで終わってはなんにもならない
でも黒松の芽切は、新芽を摘みさえすれば完了と思っている人も、けっこういますね


新芽を切り取った先っぽの拡大図
原則として去
今年の新芽を切り取ったままでは、このように何本も葉がついた状態です
このままだと、新しく芽が出てもその芽が多すぎたり、不均衡に芽吹きしたり
それにふところの奥の芽に日があたりません


ですから、このように3~5対の数に減らします
その際、適当に散らした場所の葉を残すことが肝心です
葉のあるところから芽が吹きます
こうすればある程度欲しい所に芽を出させることができるんです




さて、この枝はもう少し伸ばしたいと思うものは
新芽を元から切らずに、途中から切ります
その先も同じく葉数を減らしておきます


根気よく一芽ずつ、芽先を処理していきます
小品の場合は、ピンセットで引き抜くのではなく
小さいハサミで一葉ずつ、葉の元を5ミリくらい残して、切り取るほうが安全でしょう
この写真は途中経過


たいぶ仕上がりに近くなりました
根気がいります
ちょきちょき


全体も見渡して、葉数のバランスもいいでしょう
初めの写真と見比べて下さい
まるで夏向き
丸裸
でもこの作業をしなければ、黒松や赤松の盆栽作りは、不可能です
一ヶ月もしないうちに新しい芽が、ちくちくと吹いてきます
その芽が秋になるまでに、葉になるんです
そうすれば短くしまった葉で冬の鑑賞期ちょうどいい感じ
枝は伸びないし、枝分かれもできるし、枝先の弱いところを助けてもやれるんです
これを黒松の短葉法といいます
勇気をもって、実行!
丸坊主!

2012年10月18日木曜日

きんず培養法のポイント

小品やミニの実もの盆栽として、たくさんの魅力をそなえているきんず
品種的な人気も高く、愛好家が一鉢は持ちたい樹種のひとつには必ず入るでしょう

実生の発芽率もいいので、繁殖はいたって簡単だし
取木も発根しやすいので、初心者でも容易にいい素材がゲットできます

晩秋から冬にかけて、黄金色に熟した小さな実と濃い緑色の葉との対比がじつに美しく
培養を重ねるごとに、木肌は暗褐色となり次第に縦縞が入って古色感をおびてきます

なのになぜか、大品中品はおろか小品やミニの世界においても
市場に出回るきんず盆栽の数は、他の樹種に比べて極端に少ないのが実情です

また、愛好家さん達にもきんずに対する苦手意識を持つ方も多くて
手を出すのを躊躇しているのに、よくお目にかかります

これはひとえに、きんずの正しい培養法が
しっかりと愛好家さんたちに伝えられていないためだと思われます

専門家のプロの間でさえ、「きんずは寒さに弱い」
ただそのことだけがいい古された合い言葉になっていて、もう一つの肝腎なポイントについてはあまり話題になりません

きんずは温暖な気候を好むと同時に
根の過湿(過水)を極端に嫌う性質があるのです

ですから、具体的なきんずの培養法としては、冬の寒さを防ぐとともに
入梅や冷たい秋雨などには、ぜったいにあててはいけません

長雨による過湿で根の活動が悪くなって衰弱の原因になります
また、いちど衰弱した根はその年のうちにはなかなか復活しにくいものです

しかし、水は好みますから、水はけのいい用土で植替え
乾いたらたっぷりと水やりをやることは必要なことです

これらのことが、具体的に専門から愛好家さん達に伝えられていないために
せっかくの愛樹を弱らせたり枯らしたりして、きんずから遠のいている方々も多いと思います

私は、春から秋までの生育期間中、日当たりのいい雨のあたらない軒下のような場所に置き
過湿にならないように気をつけながら、乾いたらたっぷりと水をやり

冬は厳重にムロ囲いをします
その場合は、霜に当てないことと凍らないことが最低限の条件ですね(5℃以上なら理想的)

くどいようですが

1 寒さ対策
2 成育期の鉢内の過湿

このふたつを克服すれば、きんずは絶対に元気に育ちます
それを信じて、この魅力あふれる樹種に親しんでいただきたいものです

過去のつれづれ草でもこのことはお話ししたつもりで、重複すると思いますが
みなさんにきんず盆栽に親しんでいただきたく、再び取りあげた次第です

過去の徒然草へ

2009/5/19   2009/6/19   2009/8/2



超ミニのきんず

甲羅状の足元が魅力的です
徒長させている新芽の色もいいですね

このきんずの超ミニ
さる愛好家さんから放出されたものですが

じつは、植替えのさいに確かめたところ
こんな大きな甲羅なのに子根が数本しかなかったそうで、慌てて仕立鉢に植えて養生していたところです

葉色や芽の勢いがいいので、子根が少ないのを承知しながら
自分のお楽しみ用に買ってきたものなんです



きんず専用の置き場に収って1ヶ月以上経過、秋も深まってきましたが、元気元気
来年の雄姿をみなさまにお見せすべく、この冬はしっかり面倒見ますよ



後ろ姿



将来はこんな風に作り込んだらいいな
きんずのいいところは、他の樹種よりも極端に形成層が厚いため、かなり大きな傷を作っても肉は巻きます



樹髙13㎝

入梅にも冷たい秋の長雨にもあてないで育てれば
こんなに葉色もよく、樹勢は順調です、鉢内もよく乾きますよ



今月の初めごろに入手したきんずの中品
きっと、ありきたりの培養をしてきたのでしょう、樹勢は良くも悪くもなく、ふつう程度

でも、このくらいでは飛躍的な成長は望めませんよ
秋になったからといって、ご覧のように簡単に古葉が黄ばむようでは、樹勢がノリノリとまではいきません



来年の今ごろには、深い緑色の葉がいっぱいに繁っているような作柄にしたいもの
それには、冬の保護を厳重にして、5月頃に植替え、入梅や秋の長雨にあてずに、きんず培養のセオリーに従います

よろしいですか、みなさん!

きんず培養のポイントは、寒さと長雨対策ですよ

2011年9月23日金曜日

初級・中級盆栽集中講座(2):雑木類の植え替え

超初級から中級くらいまでを中心に(たまには上級編もまじえて)盆栽の手入れに関するご指導する初級・中級盆栽集中講座シリーズです。

  • 時期:3月上旬から4月上旬頃まで(冬芽が色づいてきた頃から開きかけるまで)
  • 適用樹種:もみじ類・楓類・けやき・姫しゃら・ブナ・赤芽ソロ・カナシデ、カリン、梅、りんごなど(花物、実物を含めて落葉する樹種
  • 目的:古い根を切り土を取り替え活性化をはかる(植え替えこそが長年小さい鉢の中で盆栽が生き続けられる秘密です)
  • 道具:剪定鋏・ピンセット・針金きり・やっとこ・竹箸・金ブラシ・フルイ・こて・針金・土・底網など
  • レベル:超初級から達人まで絶対必要な盆栽技術(植え替えなくして盆栽なし!)
  • ここがポイント
    • 植え替え前には事前に鉢の水を切って乾かし加減にしておく
    • 針金で根を鉢に固定する
    • ゴロを使う
    • ミジンを抜いた土を使う
    • 隙間なく用土を入れる
  • その後の管理:日当たりのよいところへ置く、水を切らさない、風を避ける(日陰に置くと過保護になって何時までも活着が遅れます、せめて半日陰です)

実技教材・箱根サンショバラ



本日の教材は箱根サンショバラです
それらと兄弟の盆栽素材です
素材といってもけっこう古い木ですから
吹流し風な懸崖で充分楽しめます



植え替えのときは手入れの機会でもあります
剥けかけた古い木肌を金ブラシやピンセットで取ってやります
サルスベリのようなきれいな肌が出てきます
実にきれい
でもあまりこすり過ぎて擦り剥けないように注意!
サルスベリ、楓、カリン、しゃらなどは古くなると上側の肌が落ちて
下からもっと時代をおびたきれいな肌が現れます
これが本当の盆栽としての木肌です


お肌の手入れが終わったら本番に入ります
鉢底をみると本格的に仕事がしてあります
太い針金を支点にして細い針金を水穴に通して根をしばってあるのです
こうすればグラグラしないですぐに活着できます
しばっていないと白根が出ても揺られて切れてしまい
植え替え失敗の大きな原因になります
必ず実行!


その針金を切って鉢から抜いてみます
きれいな根がぐるっと廻っています
元気な証拠です
まず根をほぐす前に根張りを掻きだします
傷つけないように!
ほら、土の中に隠れていた根張りが出てきました
これだけの作業で足元は見違えるように太く逞しくなりましたね


根をほぐします
残す目安は雑木の場合は半分くらいです


こんな風に根を切ります
こんなに根を取っちゃって大丈夫?
このくらい取らなきゃダメ!


次にやることは植え込むための鉢の準備
新しい(古いけど)鉢を選びました
針金でこのような形を作ります
知恵の輪みたい!


鉢底にひいた網がずれないためにする、だいじ~なポイント!
初心者は覚えといて、必ず実行!
これをしないと水穴から網がずれて、土がこぼれっちゃう!
でもよく見かけることです


小粒と大粒の用土・赤玉土8に桐生砂2くらいの割合で混ぜたもの
大粒はゴロといって水はけがよくなるように鉢底に敷く(深鉢鉢の場合は深さの2~3割くらいまで)
これも必ず実行!
小品盆栽の場合でもフルイの目で一ミリ以下の細かいみじんは使っちゃいけませんよ
これも鉄則!


ゴロの上に植え土を少し入れてから、木を入れます
周囲に植え土を入れ、根の隙間に土が行き渡るよう竹箸などでつつきます
忘れてる?
そう!
針金で根を固定する作業です
でもご心配なく
今回は簡単で確実な別の方法をご披露します


ご覧下さい、小さい盆栽によくやるんですが
底穴から針金を通して表面に出たらその先端をピンのように曲げます
写真のように針金を支えにして下から引っ張りはちの穴にところで曲げれば出来上がり
余分部分は切れば邪魔になりません
これを二ヶ所やれば完全です
わかりましたか?


最後に鉢の表面にやや細かい化粧土をまいて
コテで仕上げます


そっと如露で水をやって仕上がりです
よくなったでしょ!
初めの姿と比べてみて下さい(エヘン)

2010年10月22日金曜日

初級・中級盆栽集中講座(1):雑木類の新芽摘み

超初級から中級くらいまでを中心に(たまには上級編もまじえて)盆栽の手入れに関するご指導する初級・中級盆栽集中講座シリーズです。

  • 時期:3月下旬から5月上旬頃まで(二番芽,三番芽と吹いてきたら夏まで続けることもある)
  • 適用樹種:もみじ類・楓類・けやき・姫しゃら・ブナ・赤芽ソロ・カナシデなど(花や実よりも主として枝先の細かさを鑑賞する樹種)
  • 目的:小枝をふやす・徒長させない・内側の枝(ふところ枝)を守る
  • 道具:剪定小鋏・ピンセット
  • レベル:超初級から達人まで絶対必要な盆栽技術(芽摘みなくして盆栽なし!)
  • ここがポイント:内側のふところ芽は充分力をつけてから摘むか鋏で切るようにする

実技教材・山もみじ三幹


新芽がほころんできた
今がチャンスです
もう少し伸びてからでは遅すぎる
理想は鋏を使わず、ピンセットで摘み取れる新芽の柔らかいときです


ほころんだ新芽をよく見るとたいがい三節あります
元の一節を残して先端の二節を摘みます
もっと伸ばしたい枝は一節だけ摘んでもよい


先端と手前の二節がピンセットで簡単に摘み取れました


枝によって芽吹きが早いところと遅いところがあります
開いた芽をあちことさがしては摘みます

ここにもありました
ピンセットの先でほころびかけた新芽をさぐりなが、らどんどん摘みます
ふところ芽は外側の芽に比べて弱いのでなるべく摘みません
これがポイントです


外側の強い芽は全て摘みました
これでまだほぐれていない芽に勢いがつきます
この作業を何日かおきに繰り返します
全部の芽が開いて芽摘みが終わった頃には
若葉がそろって、新緑の季節になります

消毒
薬剤 殺虫剤・オルトラン乳剤(他にマラソンやスミチオンの乳剤も可)
方法 250倍から500倍に薄めて噴霧器で散布(小さいものはバケツに入れた溶液に逆さまに漬けてもいいですよ)
回数 月に一回以上4月上旬から10月末まで
ここがポイント 葉の表面と裏面、幹枝にたっぷりと(少しくらい鉢の表面に沁みても大丈夫です)
希釈倍数を間違えないこと
例・1000倍液とは水1,000ccに乳剤1cc
500倍液とは水500ccに乳剤1cc
ですよ!
もう一つポイント 濃い溶液で回数が少ないよりも、薄目でちょくちょくの方が効き目があって安全
朝よりも夕方にやるとよい(温度が下がっていくので薬害がおこりにくい)

2009年1月3日土曜日

冬季の植替えと保護

「盆栽は何時ごろ植替えるの?」と聞かれたらほとんどの盆栽人は「春の彼岸ごろ」と答えるでしょう

私も初心者に質問されれば、必ずそう答えていますし
事実、ほとんどの樹種にとってそのころが最適期であることには違いありません

しかし、手持ちの盆栽の数が多い場合は最適期の短い期間だけでは間に合いません
植替え後の管理がきちっとできれば、遅いよりも早めの方がその後の結果はいいのでお勧めです

それでは、冬季の植替えとその後の管理についての注意点
みなさん、しっかりマスターしてやってみましょう

1  休眠期なので、必要があれば根の処理は最適期のころと同じように、トコトンやってもよろしい

2  必要ならば根洗いも怖がることはありません

3  大きめの鉢から小さい鉢に移す素材など、根を大幅に追い込むことも可能

4  植込みの用土も普段と同じ、植込みの方法もまったく同じ

5  違うのは置き場です、これは必ずムロの中に囲うこと

6  落葉用のムロは直射日光を遮って、日中と夜間の温度差を少なくする工夫をし(薄暗い感じでいい)

7  松柏用のは、日中にやや日光が当たるようにして、やはり昼夜の温度差を少なくする

8  いずれも、冷たく乾燥した風が直接当たらないことが一番大切

9  夜間の温度は0度になっても心配なし、目安でいうと「鉢土の表面がショリショリに凍る」くらいは大丈夫です
   あまり温度の高いムロでは、春の芽出しが早くなりすぎ大変な苦労をすることになります

10  鉢内はもちろん、日中には湿度を保つための葉水を心がける

以上たくさんの注意点を挙げましたが
要約すると、強い凍結と冷たい風による乾燥を避けることが、まず一番に大切なことです


盆栽屋.comの雑木用ムロの中

これから植替え予定の盆栽たちがいっぱい
植替えた後もこのムロの中で春を待つのです


ちなみに早朝の温度はやっと1度

これから寒に入るともっと下がって氷点下になり、鉢土の表面が薄く凍ることもありますが
日中にやや気温があがってすぐに融けてしまうので、大丈夫、心配いりません

2008年12月13日土曜日

冬囲い(重要)

みなさん、冬囲いの作業はすみましたか?
すんでいないひとは、年内くらいにはやっていただきたいですね

私の住む千葉県の内陸部では、初霜の降り始める12月の初旬ごろを目安として
毎年、遅くとも年内に終わるように心がけています

しかし、早すぎてもいけない
強い霜に2~3回当てて、盆栽たちがしっかり眠ってから囲うようにします

冬囲いの設備や置き場所の最低条件は

1 霜や雪が当たらない
2 冷たい北風に直接当たらない
3 鉢内がひどく凍らない程度の温度が保てる
4 日中と夜間の温度差が小さい
5 適当な湿度がある

などを満たせば十分です
それでは、挙げた5項目について詳しく解説してみましょう

1については、みなさんおわかりですね
ですから、他の4項目がやや満たされていれば、片屋根のベランダの隅でもいいわけですね

2は大切な条件ですよ
枝先の繊細な雑木類などは、冬の乾燥した冷たい風が大嫌いなのです
簡易な施設であっても北と西側は必ず風除けをしましょう

3は案外に誤解されたいる条件です
これは、「表面がやや薄く凍っても日中には必ず解ける」という程度
ですから、許容条件はかなりゆるくて、少々凍ったって大丈夫
つまり、冬囲いの施設は温室でなくってもいいので
「過保護は禁物」

4も大切なこと
人間も植物も同じで、激しい温度差が身体にこたえるのですよ
ビニールやガラス戸は遮光ネットなどを張って、日中の温度を上げないように工夫しましょう
もっとも松柏類には日光を当てたいので、雑木類と区別して保護する方がいい

また日中の温度が上がりすぎていると、来春早くに芽が出てしまい
徒長の原因にもなるしムロ出しのタイミングも難しくなります

5も大切
繊細な枝先などは乾燥には弱いものです
冬であっても日中の暖かい時間帯に霧水をやるなどの配慮も必要でしょう



盆栽.comの冬囲い

棚の上と側面をコンパネとビニールで囲い、南口を開けたムロと
コンパネの片屋根の組み立て式ムロ

夜間は南口はビニールを幕のように垂らして防寒しますが
松柏類には防寒幕は使いません



棚下のムロ
下が地面なので湿度が保てます

しかし、寒中には鉢土の表面がやや薄く凍ることもありますが、日中には解けます
盆栽にとってはこのくらいが最適な保護なのです



片屋根式のムロ
寒い日にはビニールの防寒幕は開けないでおきますが
晴れた日には温度が上がってしまいうので開けっ放し

それでは、まだ冬囲いをしていない愛好家さんたちは、そく実行!

そして、不十分と思う人は追加作業
過保護の人は↑の条件をよく読んでください

2008年7月4日金曜日

くちなしの保護(続編)

前項では安全第一の過保護ともいえる管理に徹してきたくちなし
今ではご覧のように順調に芽出しも進んでいます

今は保護室から出て屋外の棚に置かれています

ところで↓の画像を注意深く見てください
気がつきましたか?

そうです、鉢土の表面が乾いていますね

植替え後に根が活着するまでは土を乾かしてはいけませんし
また根が活動していないので、あまり乾かないものなのです

ところが根の活動が活発になるに従って
この画像のようによく乾くようになってきます

この乾き具合が根の活着や活動の目安になることを
みなさんに覚えていただきたく、今日の話題にしました



乾きの遅い鉢にどんどん水をやっていると
鉢土の温度が上がらないために、ますます根の活動が不活発になります

乾きにくい鉢は根の活動が鈍っているので
乾くのをまって水をやるようにするのが、ベテランの水やり法なのです

普通、元気のいい盆栽の鉢はよく乾くのでどんどん水をやり
乾きにくい鉢は幾分水を控えめにして様子を見ましょう

以上が水やりの基本です

2008年3月4日火曜日

楓石付大改作

セミプロや愛好家が月に1回集う市内の小さな盆栽交換会で
持ち荒らしたごく古の楓石付を格安で手に入れまし

このようなお楽しみの交換会にも、たまには掘り出し物が出品されることがあるため
車で10分ほどの近い場所だし、私は欠かさず顔を出すようにしているのです


枝は伸び放題荒れ放題、所々に枝枯れも見られかなり痩せています
虐待されてきたんですね、かわいそう、人間でいえばまさに瀕死の重傷です

しかし、石を噛んだ根の模様と古さは抜群のものがあります
生きている枝の芽先を観察すると、なんとか一命は取りとめることができると判断しました

それでは、作業に掛かる前の段階で
残して活用する骨格の部分と不要な部分との目当てをつけておきましょう


いかがですか、この古さは貴重ですね


白線内の骨格は活用し、外側は不要になります
幸い大改作の時期としては今が最高、荒治療が可能です

現在の樹高は足元から徒長枝の先端までは80cm超
切り戻しの目安は50cmくらいの高さです


まずおおよその構図を確かめてから、枯れ枝や不要枝から切り始めます
(小型の鋸と又枝切りが必要)


いかがですか
枯れ枝や不要枝を切り取るうちに、だんだんと構図がはっきりしてきました

構図は少しずつ見えてくるものなので
この段階では決して慌てて作業を急いではいけませんよ


おおよその剪定が終了
この段階でもう一度完成予想の構図を再確認し、最終的な作業を待ちます


第一段階の作業は一段落しましたが、これからが肝心な時間のかかる作業ですから
仮の傷口が乾かないよう癒合剤で保護することを忘れないように


木肌や根と石の絡み合った凹みなどの掃除を行います


幹の掃除や仮の傷口に癒合剤を塗ったりした段階で、ゆっくりと眺めてみましょう


3本の幹の芯の長さはまだ決まっていませんし、活用する利き枝の長さもまだ
その二つが将来の重要な決め手になるので、最後の作業にします


枯れ枝は元から切り戻します


ノミで削り、さらに切り出しナイフで滑らかに整え癒合剤を塗ります


最後に芯と利き枝を切り整えて作業完了
現在の樹高は48cmとなりました


植替え後ムロに保護(必須)

頭からスッポリとビニール袋で覆い、一日数回霧水をやって幹の乾燥を防いでやります
古木なので発芽まで約一ヶ月くらいかかるでしょう

続編をお楽しみに