2021年9月29日水曜日

一陽の釉


東福寺、香山と並んで大正期から昭和の初期にわたって活躍した一陽。この白い釉は白交趾と表記されることが多いようです。



一陽白交趾外縁段足木瓜式
間口17.5cm


 ただ残念なことに正面に僅かな浅い釉切れ(くすりきれ)があります。私の親しい愛好家さんが、どこかの売店でうっかり見落としてしまったそうです。


この角度だと光線の加減で目立ちますね。使い鉢としては十分でしょう。


落款は「三琇一陽」(さんしゅういちよう)
作風は一陽の人柄に似て、温もりがありあくまで穏やかです。



中央の縦線が釉切れ(くすりきれ)です。
 

2021年9月28日火曜日

昭和の名人鈴木舟山

昭和の40年代の初め頃から急激に皐月盆栽ブームがおこり、根張のよい太物をいれるための、実用にも展示会のための鑑賞用にも向いた鉢が求められました。


舟山正方 間口43×奥行き43×高さ20cm

それらの需要に答えて人気が高騰したのが、ご紹介する舟山。


その舟山鉢の特徴は

①支邦鉢に似て堅牢で雅味のある土目。
②重厚な構図からくる品格ある造形美。
③持ち込むほどに深い時代感を発揮する。


支邦鉢同様一発仕上げのシンプルな作風も特徴です。


長い年月の使い込みによる時代感も舟山鉢の特徴です


実用鉢だけに水穴の数は支邦鉢よりは多めに空けられています。


「舟山」の落款


緩みのない構成力が舟山の人気の秘密でしょう。故に大型鉢だけでなく小鉢においてもその作品の力強さはかわりません。