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2021年9月28日火曜日

昭和の名人鈴木舟山

昭和の40年代の初め頃から急激に皐月盆栽ブームがおこり、根張のよい太物をいれるための、実用にも展示会のための鑑賞用にも向いた鉢が求められました。


舟山正方 間口43×奥行き43×高さ20cm

それらの需要に答えて人気が高騰したのが、ご紹介する舟山。


その舟山鉢の特徴は

①支邦鉢に似て堅牢で雅味のある土目。
②重厚な構図からくる品格ある造形美。
③持ち込むほどに深い時代感を発揮する。


支邦鉢同様一発仕上げのシンプルな作風も特徴です。


長い年月の使い込みによる時代感も舟山鉢の特徴です


実用鉢だけに水穴の数は支邦鉢よりは多めに空けられています。


「舟山」の落款


緩みのない構成力が舟山の人気の秘密でしょう。故に大型鉢だけでなく小鉢においてもその作品の力強さはかわりません。

 

2005年2月22日火曜日

舟山鉢 2

舟山鉢の人気の秘密を幾つか具体的に挙げてみましょう

1 支那鉢の伝統に倣い、一発仕上げの手作りの味
2 盆栽を引き立てるための鉢の要素、つまり程よく制御された格調のある姿
3 実用鉢としての機能(奥行きなど)が優れている
4 土目が渋くなお且つ堅牢、しかも豊かな質感をもっている
5 その胎土の性質から、使い込みの時代感がのりやすい

おおよそこんなところでしょう

1については前項で解説しましたね

2に関して

盆栽鉢にとって基本的な要素であることは、論を待ちません

3に関して

舟山は自身が熱心で優れた盆栽愛好家であったため
現代盆栽界の潮流である太幹盆栽向きに、機能美を失わないギリギリの線まで
奥行きのある長方鉢に取り組みました

舟山は支那鉢に倣いそして挑み、それを超えたのです
その先見性と支那の定石を覆すほどの大胆な行動力には頭が下がる思いです

4と5に関して

前項とこの項の作品を見ていただければお分かりになると思います
また、この2点の作品に限らず、数十年の使い込みのよりかなりの時代ののりを見せます


舟山作  鋲打太鼓胴丸鉢  間口10.5cm





2005年2月19日土曜日

舟山鉢 1

東福寺や平安香山亡き後の日本の鉢作家を代表するといえば
まず第一に「鈴木舟山」の名が挙がるでしょう

それまでの鉢作家といえば、活動中には評価されず
亡くなってかなりの年月をおいて再評価、という形で人気が高騰するのが普通のパターンだったし

またそれが、作家の宿命ともいわれたのですが
この舟山に限っては、その常識には当てはまらなっかたのです

とにかく昔から高かったですね
とてもやわな盆栽を入れられる値段ではなかったのです

没後約20年、さらに人気は上昇、名実ともに日本実用名鉢界の最高峰と
その名を欲しいままにしている舟山鉢の秘密に迫ってみましょう


舟山作  焼締外縁雲足丸樹盆  間口8.1×奥行8.0×高さ3.0cm

中国の清朝末期に、日本向けの盆栽用樹鉢として様式が完成されたされた、中渡りの泥ものもの作品
舟山はそこに範を求め胎土と形の研究をし尽くしたといわれています

それだけに、舟山作品は中渡りの特徴を余すところなく受け継いでいて
このミニサイズの丸形樹盆も一見すると、支那鉢のような端正さとピント張り詰めた強靭さとを併せ持っています

使い込んだ時代感が引き立つ土の味
間口と奥行きと深さのバランス

すっきりとしたこの鉢姿が支那鉢に倣った舟山鉢の特徴なのです


胴の部分のタタラの合わせ目(継ぎ目)が一見無造作に残されていますね
中渡りの支那鉢にもよく見られることで、手際よい一発仕上げであることがわかります

また、縁内側への折り込み部分にも手作りの痕跡が濃厚の残され
名人・舟山の練達した技が、いかに手早くそして優れたものであったかを物語っているのです

予断ですが、この特徴は、平安東福寺にも共通しています




鉢裏にも特別に「こねくり回した」痕跡はみられませんね
仕事は手早く、それがすっきり感を生む元なのです


鉢の胴の最下部の仕上げですが、やはり折り込みの部分は、手作業の痕跡が濃厚ですね
これが微かな下紐のようなアクセントにもなって、全体の鉢姿に締まりを与えているのです

さすがです

最後に雲足です

他の鉢にも同形、同サイズの雲足があることから、型を使っていたようですが
そのヘラ痕には、手早く仕上げた「角・かど」があり、手練の技の魅力が伝わってくるのです