2019年3月23日土曜日

紅千鳥もみじの種木

半月ほど前から、庭木の紅千鳥もみじの冬芽が次第に赤味が増してきたと思っていたら、ついにこの数日で綻び始めました。この紅千鳥は取木用の親木を兼ねて、10年ほど前に盆栽のなりそこないを植えたものですが、今では足元の幹径は10cmを超え、樹高も2mほどのりっぱな庭木に成長しました。
盆栽屋としては庭が手狭なうえ駐車上のスペースも4~5台分は確保したいので、いかに私がもみじ好きであっても、庭木はこれ1本と決めています。

お隣さんのスチール製の物置をバックに紅千鳥の赤が映えて春秋は特にきれいです。てっぺんの方を、伸ばしては切り込み、切り込んでは伸ばし、小品の素材をゲットする魂胆です。

昨年の夏から初秋に掛けて強めに枝先を剪定しておいたので、今年の入梅前には株立ち状の小品サイズの素材が10本くらいゲットできそうです。
集合住宅の方ならやや大きめの鉢へ、戸建ての方なら庭の隅に植え、庭木として楽しみながら盆栽の素材作りを兼ねてもいいでしょう。

このくらいの手ごろな感じの素材ができれば、張り合いも出てきますね。



2019年3月7日木曜日

実生と取木の根張りについて

ご縁があったのでしょう!前回ご紹介した山もみじの製作者から、あれと同じ年代の山もみじの古木が2鉢あるのでお譲りしても結構だ、というおめでたいお話が舞い込んできました。

山もみじ小品 樹高17.5cm
掘り出し物でご紹介した山もみじの小品。ムロに入っていたので新芽の動きが早いため、新しく手に入れたのと合わせて3鉢とも植替えました。

立ち上がりの強い癖を活かし全体の姿に弾みをつけるために、右に傾けながらやや高めに植え付けました。そのために仕立て鉢のときよりも樹高が数cm伸びました。結果として立ち上がりに野性味と迫力が感じられるようになり、一歩前進という感じです。

山もみじ小品 樹高18cm
樹形としては単幹の自然体の模様木ですが、やや株立ち状の樹形にもみえますね。このようにどちらにも見える自然体の樹形は、実生素材から作られた盆栽の特色であり魅力でもあるとも言えるでしょう。

斜めに立ち上がった足元の風情が自然な感じに仕上がっています。野趣味というか、朴訥な感じが独特ですね。このあたりに実生素材特有の力強さが溢れています。

後姿
後姿もなかなかです。時間をかければ裏表の交換も可能ですが、親幹の動きからやはり今の正面を選択することに決めました。

山もみじ中品 樹高26.5cm
典型的な単幹の模様木ですが、模様は人工的な感じがせずやや無骨な感じさえします。枝順もわりと自由な長短強弱の雰囲気に作られていて動きが感じられる姿です。この模様木にも作り過ぎていない躍動感のようなものが感じられます。やはり実生素材から作り込まれた特徴のある姿です。