2012年7月30日月曜日

初めての寒冷紗

盆栽人になってから45年が経ちましたが
今年の夏、はじめて盆栽棚に寒冷紗を張りました

30年に一度といわれた猛暑日の連続だった一昨年以来
夏の寒冷紗はもう避けられないと思い始めていました

それでも昨年は、もう一年とばかり様子見で延長しましたが、
やっっぱり今年は実行すべしと、思い切って実行することにしたのです

というのは、例を挙げると、冬の寒さにも夏の暑さにも丈夫という点では第一番と考えられていた五葉松でさえ
近年では夏の置き場所の見直しがされはじめていることなどがきっかけになっています

この20~30年間の温暖化の傾向は激しいものがありますね

過保護を避け、適度に厳しい環境で育てることが培養姿勢の基本であり
その代表的な樹種が五葉松だったのです

しかし、近年の夏の暑さは、その五葉松でさえ耐え難く
夏には寒冷紗の下でないと葉焼けを起こすようになってしまうほどです

というわけで、正直もう我慢できないという感じで、水やり作業の軽減というよりも
やはり盆栽の健康を第一に考えて寒冷紗を張ることにしたわけです


雑木類の棚はばっちり西日も避け
寒冷紗の遮光率は50%のものを用いました

五葉松以外の松柏類(黒松、杜松、真柏など)の棚には
寒冷紗なし

ただし、五葉松だけは寒冷紗の下で雑木類と同居


盆栽屋.comの水やりは、真夏日では平均一日に3回から4回に葉水など数回でしたが
寒冷紗のおかげで一日2回と中間の部分的な拾い水(乾いた鉢だけやること)と、
風のある日などは数回の軽い葉水、くらいですむようになりました

西日を避けるために短めのカーテンのようにつり下げた寒冷紗
通風のことも考慮して蚊帳状に下までは張らないようにしました↑↓


寒冷紗を張ってみてすぐに実感できた効果

1 乾き方がゆっくりなので、急激な乾燥でうっかり葉焼けを起こすことがなくなった

2 夏の暑い盛りは、急激な乾燥を恐れて、ついつい前倒しで水やりを行いがちだが
  「乾いたらやる」という水やりの基本が守れる

3 そのため、過水に陥る鉢もなく、全体に適度な湿り気を保てる

4 おなじく、過湿の傾向がなくなったので、ナメクジが少なくなった

5 枝や幹を太らせるための、徒長させる枝先の芽が焼けずに
  寒冷紗の下ですくすくと伸びている

などなど、水やり手間の軽減よりも
水の量が少なくてすむために生じる培養上の利点が主だったことでした

2012年7月4日水曜日

スクール速報(超ミニもみじ分身の術)

アニメ漫画の「ナルト」ではないがスクールのベテラン・クロちゃんが分身の術(株分け)を使って
親株からゲットした懸崖の超ミニ山もみじとその親株をご紹介します

クロちゃんはフリースクールの当初からのメンバーで、寡黙で一見のんびりした風貌に似合わずやることは大胆で
その発想はときに予想外のいい線をついていて、私自身も示唆を得ること多々ありです

きっと肩に力が入りすぎていず、自由に盆栽を楽しんでいる故に
あのようなおもしろい発想力が生まれてくるのだと感じています

それでは、まず親株の現在からご紹介いたしましょう


6月10日撮影 樹髙はおそらく5.0~6.0㎝くらい

樹齢20年くらいのだったのを5~6年前にクロちゃんに買っていただいたので
現在では、すでに25年以上になる

無理な肥培はしていませんが、培養のよろしきを得てずいぶんと太りました
とくに足元の座が大きくなったので、大木の相が感じられて、とても超ミニサイズとは思えませんね

幹のコケ順にうるさいクロちゃんらしく、太い足元から主幹にかけてのコケと模様のつながりはグーで
左の子幹が力強く構図を支えていて、まとまりもよし

山もみじのこのサイズでは文句なく逸品といえるでしょう
それに、葉性がすばらしいのも強みの一つですね

クロちゃんはこの完成に近い段階でも、さらなる大改作の構想を持っているようなのですが
私としては、あと数年は基本はこのままじっくり持ち込んでほしいと思い、強く押しとどめている次第です


足元の拡大図

主幹と左の第一副幹、それを囲む数本の細い子幹の関係がわかりますね
なお、このもみじは今年も葉刈りをせず、芽摘み、片葉透かし、葉切りなどの手入れで維持されています


ところで、右の足元の赤印の位置にあったんです、懸崖の超ミニは!

上側の子幹のように、株元にあった子幹の元からたった一本の細い根が生えていました
その子幹の姿と根に目をつけたクロちゃんが、親株からそれらをソーット切り離して育てたのが、↓の懸崖なんですよ

親株の元には肉巻きしたその時の痕跡がまだあります
4~5年ほど前のことだったと記憶しています


2011秋の画像 樹髙4.0㎝

現在この懸崖ミニは四国の愛好家さんに可愛がられていて、先日画像を見せていただいたところ、足元の立ち枝は既に切られていて
行く末の楽しみな本格懸崖樹形への道を順調に歩んでいます


ついでに親株の後ろ姿も見てください


足元、主幹、子幹の関係がわかりますね

この親子のさらなる成長と向上を楽しみにしています
また機会があったら親子揃ってつれづれ草に出演してほしいですね

それでは! (⌒ー⌒)ノ~~~