2015年4月17日金曜日

極性もみじの7年間

何年になるでしょう?
愛知県のKさんに買っていただいて

当時はいわゆる回復期であり改作の途中でもあったので
そのままお預かりして何年も過ぎています

葉は小さくて形もすっきりとして、いわゆる優良の葉性
節と節の間、すなわち節間(せっかん)が間延びしないのが特徴です

このもみじを手に入れたばかりに書いた盆栽つれづれ草が
2008/11/24の項にありますから、それから7年半も松戸の宮本盆栽にいるわけです

Kさんに買っていただいたのが何年かは覚えていませんが
とにかく辛抱強く待って下さったおかげで、かなりよくなってきましたよ


現在の画像 樹高約10cm


2008年11月の画像 樹高約10cm

樹高は約10cmでほとんど変わりませんが、幹はかなり太くなったようです
一と二の利き枝は勢いをつけるため徒長させたので、これから数年かけてもっと短く締める必要がありますね

その点がこのもみじの最大の課題でしょう
盆栽というのは生き物で常に成長するものですから、課題も常につきものですね


今年の手入れは、まずは芽摘みから
1~3芽くらい伸びた小枝の先を1芽だけ残して摘み込みます


爪の先で摘める程度の時が適期です


毎日芽先を観察して芽摘みを繰り返します
特に左右の間口がやや広がっていますから、この幅を縮めるのが先決ですね

Kさん、芽摘みと片葉透かしなどが終った時点で
お送りしますね

骨格の改作が終わったので
そろそろタッチ交代しても大丈夫でしょう

では、雑木手入れの大切な時期ですから
みなさんも気合いを入れていきましょう

2015年4月13日月曜日

椿について

おもに盆栽に仕立てられる椿の品種と云えば
花は一重で小輪、葉もしまった感じのものが似合います

今日ご紹介するのは藪椿の系統に属する品種で出雲大社
小さめで筒咲きの濃紅な花弁が美しいことで知られています

他には詫び助なども有名で、その中でも赤詫び助、白詫び助
さらに胡蝶詫び助なども盆栽向きです


出雲大社の模様木

出雲大社は藪椿の中から発見された超優良品種ですが
他にも日本各地に自生する藪椿の中から、花の色や形が優れた品種が発見されています


一重小輪筒咲きの椿(出雲大社)、濃い紅色が鮮やかな名花です
枝も葉もこじんまりとして節間もよくつまるので盆栽向き

耐寒性にも優れ性質は丈夫ですから
培養的には楽な品種です

植え替えは花後の4月に剪定と同時に行います
夏場の乾燥にも強いのですが、水は多めにやった方がよく育ちます

あまり樹形にとらわれず自然体の樹形が似合います
ぜひ一鉢持っていただきたい樹種ですね

2015年4月11日土曜日

十月桜について

日本の花はと聞けばほとんどの人は「桜」と答えるでしょう
開花の華やかさはもとより散り際の潔さもふくめて愛されているのですね

「敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花」

また、その開花期は農業や園芸の作業時期の目安として
私たちの生活の中にも深く根付いています

現に、このつれづれ草をお読みになっている盆栽人の中にも
「桜が咲く前に雑木類を植え替えよう」とか

「桜が咲き始めたから松柏類の植え替えにかかろう」など
桜の開花時期を植え替え時期の目安としている方がいらっしゃるはずです

ちなみに、私も桜と
それよりよりちょっと早めに開花するコブシとの二つを目安にしています



ところで、今日紹介するのは十月桜

盆栽に仕立てられている桜は幾種類かありますが
富士桜とならんで花も枝ぶりも矮性なのでミニ盆栽向きです


秋10月と春4月の二季に咲くところから
十月桜と呼ばれますが

やはり春の開花の方が花が大きくって色も濃厚ですね
春爛漫の雰囲気を満喫できますよ

ぜひみなさんに楽しんでいただきたい樹種です
管理もやさしく丈夫ですよ

2015年4月3日金曜日

黒松植え付け

関西から東京へ赴任したおり可愛がっていた幾鉢かを連れて来たけれど
仕事が忙しくて手が行き届かないという愛好家さんが手放された黒松

なんかパッとしないんだな
古くって木肌もよく荒れているし、いいとこあるのになー!?

そんな中途半端な印象を持ちながら
数日眺めていたんです


樹高約20cmで全体としては双幹体になっていて
ご覧のように鉢持ち込みが古いため、、松柏類には珍しく根は盤状に発達しています

ただ、お仕事がメッチャ忙しいため水やりが不均衡とのことで
全体的に樹勢が抜群とは云い難いところです

このように新しく手に入れた盆栽は、おおよその培養計画が見えてくるまで
じっくりと観察を続けることが大切です


ということで、この黒松は植え替えを行うことが決まり
今年一年間の樹勢回復を目標にします

根全体にバクテリアがビッシリと繁殖して予想外の良好状態
正直、鉢から抜いて根を見るまでは、てっきり根腐れしていると思い込んでいたんですよ

これじゃ、ちょっと値段が安す過ぎましたね
悪いことしちゃいましたm(_ _)m


この黒松の植え替えのポイントの第一は、植え付けの高さ
今までの植え付けが低めなので、せっかくの足元の力強さが目立ちません


ですから、土と根をほぐす場合に底をあまり追い込んではいけません
反対に鉢の表面、つまり上根(うわね)の部分をできるだけ削り取るよにします


土と根のほぐし完了


あらかじめ鉢底にゴロ土と粗めの用土を
やや多めに敷いて高めに植え付けます

植え込み完了の図↓を一番上の作業前の図と比べてください
盤状に発達した足元がよく見えてグーンと力強く感じられますね


植え込み作業完了の図


後ろ姿

ちなみに、黒松の植え替えは今が最適ですね
バンバンいきましょう!!