まずは小糸窯(こいとよう)のご紹介から。
飛騨高山三代藩主金森重頼のころ、京より陶工を招いて市西郊外の小糸坂に築窯した、いわゆるお庭焼が源と伝えられています。その後絶えていた小糸焼を終戦も間もない昭和21年、現代に復活させたのが小糸泰山なのです。
やがて従兄弟関係にあたる大宮盆栽村の園主・村田九造氏の勧めによって、第一期といわれる作品群200鉢と、その後の第二期作品群のやはり数百個がこの世界に残されることになり、異色かつ寡作の作家として知られています。
間口9.0×奥行き9.0×高さ3.0cmの小糸泰山・染付外縁隅切四君子図切足正方
四君子とは蘭、菊、梅、竹を植物の最も貴いものとして喩えた呼び方を云います。
四君子のうち菊
小糸泰山の作品郡は、織部、呉須、赤、緑などの釉薬を駆使し特異な雰囲気が持ち味であり、また同じ型のものであってもすべての絵付けが異なるという特徴をもっています。
四君子のうち竹
四君子のうち梅
四君子のうち蘭
正方鉢における内縁のていねいな彫り込みによる作柄も泰山特有の作風である。
外縁、隅入、四面の絵付け、高めの切り足など総合的にバランスが整って見事です。
泰山特有の隅入とやや高めの切足に格調があります。
かなりの使い込みの古色感がありますがうれしいことに、無傷完品です。
泰山の落款はこの他に筆書きによるものもありますが、本作品のような凸型の落款は「出べそ落款」と呼ばれて馴染まれています。
縁の周囲に描かれた細密な文様は泰山の本領が発揮されています。
「泰山」とはっきり読める出べそ落款。
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