2020年1月9日木曜日

山もみじ復活

一年ほど前になると思います。近隣で月に一回行われている小規模な交換会で見つけた山もみじ。足元に古傷があってその部分がやや凹んでいます。このように欠点があると競りの最中に、結構駆け引きの野次が飛んだりして、自信をなくして廉く手放しちゃう出品者もいらっしゃるので、たまにはおいしいこともあるんですよ。


欠点のない木なんかないんです。肝心なのは、その欠点が技術と時間によって解決できるかできないかなのです。


ひと目見たときから、私はこのもみじが将来の大物君であると確信していました。足元
の傷は年月をかければ必ず治癒する性質のものです。また、足元の傷は比較的早く治りやすいのです。


こうやって眺めて見ると、幹と枝の動きは力強く、しかも枝ほぐれの柔らかさも申し分ありません。


後姿の力強さも申し分ありません。


足元の黒い部分は左右から肉が盛り上がってきています。今年一年間はひたすら肥培して肉巻きの促進をはかります。ただ、ゴツクならないようにしっかりと枝先の勢いを制御することを忘れてはいけません。


真上からの図。
主要枝はほとんど決まっていますから、今後は小枝の充実に努力します。
根張りなどの手入れや施術は数年後になるでしょう。つまり根張り作りは、足元の肉巻きが完了してからの最終段階の仕事になりそうですね。
最低3年、できれば5年くらいの計画でじっくり取り組んで、名木へチャレンジです。



2020年1月8日水曜日

鉢の修繕

盆栽鉢のニューやホツレなどの欠損の修繕(直し)には、金継ぎ(きんつぎ)や共直し(ともなおし)、さらに、鎹(かすがい)留めなどが挙げられます。


この朱泥袋式は金の鎹(かすがい)留めによる修繕(なおし)素材は必ずしも金でなくともかまいません。


金属の鎹(かすがい)でニューの傷を数箇所止めるこの方法は、丈夫で実用性のある陶磁器には非常に有効です。また、修繕の痕跡が隠されていないので、悪用される心配もありません。


この紫泥長方鉢にはニューの箇所への共直しの痕跡が見つかりました。持ち主さんは購入するときには気がついてはいなかったようです。


赤矢印で示した箇所が、その前後の質感とやや異なり、テラテラと光っているように見えますね。


拡大して見ると一目瞭然です。この部分にニューがあったのでしょう。共直しを施して目立たないようにしてあります。もちろんこれくらいの仕上がりであればプロの仕事ですから、アマチュアの愛好家さんでは見破れないことが多いと思います。


角度を変えて見ましょう。わかるかな?指の表面でやわらかく撫でてみると直しの箇所はツルツルとした質感であり、慣れてくと見破れるようになります。視覚に触覚もプラスして見破れるようにトレーニングしましょう。