2010年4月21日水曜日

地元の盆栽会

私の住む松戸市に日本盆栽協会の支部が結成されて40年
今年の2月に40周年を祝して記念展示会と式典を行いました

その続編として、収益(売上げの10%)を記念事業費の足しにするため
会員の親睦も兼ねた盆栽交換会を4月4日に開催しました

アマチュア同士の交換会は、参加者がセリ方式に慣れていないため
えてして雰囲気が盛り上がらす、なんとなく低調になってしまうことも多いのですが

松戸支部の場合はその心配はご無用!
(その道のプロのプロである私がいるからです・エッヘン)

出品物(盆栽や鉢類)の評価鑑定力や、売り手と買手の折り合いをつける説得力やタイミングなど
会場の雰囲気作りはセリ人の腕にかかっています(プロ専門の交換会だっておなじです)

そういう訳で、参加者約35名ほどで盆栽を囲んでワイワイガヤガヤ
会員同士の親睦と資金補填の目的を十分に果たせた有意義な一日でした



終了後に役員会を行い、その後に主だったメンバーで記念撮影(宮本撮影)
前列中央が支部長(会長)の真嶋誠一さん、交換会場は真嶋支部長宅のトラックのガレージだから雨天でも心配なし

ところで、画像をご紹介するにあったってよくよく眺めていたら
あれれ、撮影者の私を含めて16名のうち、50代以下の会員はわずかに3名で、あとは全員60代から70代です

全員で40名ですが、残る会員の中にも50代以下は数えるほどだ
30代が1名いるけど、うーむ、ここでも高齢化がかなり進んでいます

才能はもちろんですが、経験がものをいう盆栽界だから、高齢化は問題外とする見方もありますが
それにしても若い層が少ないことは後継者がいないということで、心細い限りですね

創立当時、私を含む数名は20代だったし
30代から60代、70代まで、年齢層はまんべんなく揃っていたはずなのに、いつのまにか・・・・

こりゃいかん
これじゃあ10年先が思いやられてきました

今回のように、当たり前のことに気がついて改めて唖然とするのは
私が小品盆栽やミニ盆栽を通じて、普段から若い愛好家さんに接しているせいでしょう

私のところの盆栽フリースクールには
30代の方が5名もいるので

自分の年を忘れちゃってるんですね、ミニ盆栽のおかげです

そして、この平均年齢の差が、普通サイズの盆栽界と小品盆栽界の元気の差となり
それが盆栽価格などに反映されているのでしょうね

この数年、しょうじき普通サイズの盆栽は値下がり気味なのに
中品サイズ、小品サイズ、とくにミニサイズはずいぶんと値上りしてます

ということで、今日は少々湿っぽいお話でした
みなさんの周囲はいかがですか? 若者はいますか?

今日の一言

高齢化、高齢化と言われているけど
高齢者が長く盆栽を楽しみ経験を積み重ねてきたことを誇るべし

ただし、その伝統を受け継ぐべき若者がいないことには、後が続かない
そして、後継者を育ててこなかったのは、まさしく高齢者の責任ではある

盆栽界においては、特にその責任は業者にあることは一目瞭然で
私もその一員であるからには、なんらかの責任を果たしたいと考えています

2010年4月20日火曜日

記録的降雪

10日にムロ出しを完了し、15日にその報告記事の中で

3月下旬のあの強風のように、4月に都心に雪が降ることだって過去にありました
突然なにが起こるかわかりませーん!

といった時点では、まさかほんとうに雪が降るとは思ってもみませんでした
41年ぶりの遅い降雪記録だそうで、ほんとに驚きましたね


16日(金)の午後からの予報が、関東地方に雪が降りそうだと報じ始めましたが
大骨おってムロ出ししたばかりだし、この時期の雪は信じたくないし、まさかという気持ちも濃厚ですぐに動く気にはなれなせんでた

しかし、夕方になってどこのテレビ局の予報も雪が降るのは確実な感じになってくるし
加えて、17日(土)には延期できない仕入れの仕事があり、朝8時から出かければならないし・・・

恨めしい気持ちで仕方なしなし、数日前に出したばかりの盆栽の避難にかかりました
これが案外めんどうくさいし、寒いし、くたびれるんですね


すでにムロは片づけてしまっているので、スクールに使っているビニールハウスが緊急避難所
私が雨に濡れながらフウフウいってるのに、カミサンは夕食後のくつろぎ時間に入っちゃってまったくのシカトウです

約1時間半ばかりかかって雑木類は全員避難完了
寒ーいし、疲れた!

しかし、様子見をして横着していると、夜中に気になっておちおち寝付けないのが常のことです
雪が降ろうとなにが降ろうと、これで今夜は枕を高くしてして寝られます


翌朝6時、天気予報的中!
ごらんの通りの降雪です

昨夜の疲れは忘れて、あー、やっておいてよかった
そう思う瞬間です


戸外で夜を過ごした松柏類はご覧の通り
これが新芽の軟らかい雑木類だったら、かならず芽先が霜焼け状態に焼けてしまいます

盆栽たちは自分では歩けません
みなさんの愛情でしっかり守ってやりましょう

それでは

2010年4月16日金曜日

山もみじ枝作り

ある程度骨格の出来上がった盆栽になると、外見からは見えなくなってしまいますが
素材から盆栽の骨格を作り上げていく課程で、作者は幾度も勇気ある選択を迫られます

その試練は盆栽にとって一生背負い続けるものなので
若い成長過程での決断と適正な判断が求められることがあります

たとえば、今日の教材に選んだ山もみじの10㎝以下の素材ですが
大切な一と二の枝を処理を間違えると、先々の後悔は目に見えています


取り木で幹筋をゲットし、幹の切り返しで模様とコケ順もできました

ところが、一見いい位置に出ていると思われる一と二の枝が思うようではありません
そうです、胴吹きした芽に針金をかけて作ったのに、節間(せっかん)が長すぎるんですね

節間が長いとその途中には芽が吹きませんから、次の枝分かれを作ることが出来ず
樹髙を抑えても枝の長い間の抜けた樹形になってしいます


まずは右の一の枝から見てみましょう

1の枝が最初に作った枝ですが、節間が長くて使い物にはならないので
昨秋に途中から止めておきました

2の枝も節間が長すぎますね

今春、うまいことに1の枝元に芽が吹きました(3の芽)
このように後から胴吹きした芽はあまり徒長しませんから、この芽を一応新しい枝として作っていきます

さて、左側の二の枝です

やはり伸びすぎているので、もっと節間の短い枝に切替える必要がありますね
青点の箇所が芽の吹きそうな感じですから、やはり段階的に切り詰めることにしましょう


下の小さな芽に切替えるという決断をしたので、従来の枝は切り詰めます
この山もみじの将来がこの小さな胴吹き芽にかかっている、そういっても言い過ぎではないほど大切な一芽ですね


切り込んだ枝元は今すぐに削り込む必要はありません
新芽がもっとしっかりし木質化してからにしましょう


左側の二の枝も、新芽が期待できる位置の手前まで短く切り詰めました
枝の途中にうまく芽が吹いてくれれば幸いです

今日のポイント

素材から盆栽を仕立てていく課程で、節間の長すぎる枝は、思い切って追い込むか切替えるかしましょう
もったいながって早めの決断ができないと、先々後悔しますよ

2010年4月15日木曜日

ムロ出し一応完了

4月に入っても天候が定まらず気温が乱高下
春先の陽気の不順は毎年のことですが、今年は格別のようです

寒暖の差が10℃以上あると、暖かい日じゃ嬉しくなりながらもなんとなくかったるかったり
寒い日には真冬のように厚着で暖房したりと、けっこう自己防衛にも忙しい

だがとにかく、この季節の盆栽人にとっては
なんといってもムロ出しのことが頭から離れませんね

毎年3月中旬になるころから、習性として気にはなり始めるのですが
今年のように桜開花予報が大幅に外れるようだと、ムロ出しのタイミングが非常に難しい

暖冬のうえ早めとの桜開花予想が出て、今年は例年より早めのムロ出しかな、と思っていたら
桜の蕾が膨らみかけたころに思いがけない強風が2回も吹きました

そのあとは寒暖の差が激しい日々の繰り返し
これじゃたまらん!

とはいえ、盆栽たちの季節を計る時計は狂ってはいません
こんなめちゃめちゃな気候にもめげず、しっかりと時を刻んで春の爛漫を迎えつつあります

先週の土曜日(10日)にムロ出し完了
でも「一応」の但し書き付きは例年通りのことで、まだまだ油断はしていません

いつでも逃げ出す心の準備は怠ってはいけません

3月下旬のあの強風のように、4月に都心に雪が降ることだって過去にありました
突然なにが起こるかわかりませーん!


関東では最低気温が5℃くらいまで下がる日があるでしょうが
遅霜と強風が予想されない限り、このまま戸外でがんばるつもりです

ムロ出し直後でもっとも気をつけるのは、その遅霜と強風と乾燥です

強い風が吹いたら葉水をやってください
鉢の乾燥にも気をつけてくださいね

2010年4月14日水曜日

フリースクール速報・金雀花

盆栽としては珍し樹種に属する群れ雀(むれすずめ)をご紹介します
持ち主は、昨年の秋フリースクール速報に一番バッターで(真柏ミニ)登場したマユちゃんです

フリースクール速報一番バッターへ

この群れ雀はマユちゃんの主力の10㎝サイズのミニよりもちょっと大きめですが
毎年花を見るためには、やはりこれくらいの大きさが適当でしょう

群れ雀は一名金雀花(きんじゃっか)とも呼ばれ
盆栽界ではこちらを使う方が多いようですが、どちらもすばらしい命名ですね

水と肥料を好み丈夫な植物ですが、小枝が伸びやすい性質のため
盆栽としてこのような小品サイズの骨格にまとめ上げるのは、案外難しいのですが

いちど出来上がってしまうと後の管理は切り込みだけなので
樹形の維持がぐーんと楽になります

花後に昨年の枝まで深く追い込み
夏の水を切らさないように管理します

また、初夏から夏にかけてぐんぐん徒長しますが、まったくの無駄枝以外の剪定は我慢し
晩秋に浅く切り込みをして春の開花を待ちましょう

夏季に徒長枝の先端をちょこちょこ摘むと
来春の花芽は期待できませんよ


2010/04/11撮影 樹髙12×左右20㎝

とぐろを巻いた根のおもしろさを利用した懸崖式
持ち込みにより最初は黒っぽかった木肌も、やや灰褐色を帯びて古色感がにじんできました

小さめの鉢を選んだので夏の水やりがたいへんでしょうが
堀江美功鉢の水色と鶴丸の赤とが、鮮やかな花の黄色をさらに引き立てています


花弁が開くと蝶形の鮮やかな黄色です
背景となる葉の深い緑もいいですね


灰褐色を帯びつつある根
持ち込みの効果が徐々に現われてきましたよ


後ろ姿

それではまた!

2010年4月5日月曜日

真柏取り木発根

取り木の魅力は、なんといっても早ければ半年
遅くとも1~2年で優秀な素材をゲットできることです

価格的にも、うまくすればタダ
購入したとしても取り木完成後と比べれば、材料の時点では超格安ですね

ですからその経験者は、常日頃から好素質の取り木材料をさがしています
取り木が成功したときのお得感はとうてい忘れられませんからね

そういうことで、昨年の春に出会った真柏10㎝サイズの好材料も
先日ムロ出しのさいに改めて検証したところ、11本在庫がある中の10本に発根が認められました

やったー、こりゃー、いけるぜー!
たちまち元気が出て、勇躍みなさまにお知らせするしだいです

昨年春の取り木作業  

そのとき、こんごの培養管理として

1 日当たりのよい置き場を選び、多肥多水を心がける

2 夏までは枝葉を切らずに十分に徒長させ
  夏に軽く枝に針金をかけて枝の基本を作ります

  その場合、必要な枝の先端は切らずに
  伸ばしたままで枝を太らせます

3 来春に軽い剪定を行い、さらに夏から秋まで徒長させる

4 来秋に発根状態を確かめながら親木から切り離します

5 本格的な植付けは越冬したあとの春先に行います

と申し述べましたが、(2)の軽く針金をかけて枝の基本を作る、の作業については
樹勢を上げて早めの発根を促すことを優先させたため、省略しました

そのもくろみがみごとに的中し、早めの発根という結果につながったようです
さて、それでは点検してみましょう


昨年春に取り木作業終了時の画像


一作(いっさく)後の今春の画像

昨年取り木後は(1)のように、日当たりのいい置き場で
どんどん水と肥料をやって肥培しました

真柏の取り木(針金結束式)は、枝葉で作られ根に送られる養分を針金でせき止め
その溜まった養分がはけ口を求めて発根に至るわけです

ですから、とにかく肥培が肝心で
やせているようでは発根はおぼつきません

枝葉はできるだけ多く繁らせましょう


赤点の場所が新しい芯の予定(完成予定樹髙は10㎝)
矢印は皮を剥いてジンにする予定です


ビニール内部が乾いているとわかりにくいのですが、水をやって濡れると見えやすくなります
つやつやの新鮮なモヤシみなたい根が見えますね

ほんとに根なのかなー?


ビニールをソーットめくってみましょう
まちがいなく、根っ子でしたー!

感動ですね

ただしですよ
手でさわってはいけませんよ

とくに根の先端の成長点に触れると
繊細な細胞が壊れて生育に支障をきたします

ソーットもとへ戻しておきましょう

今年もがんがん肥培して根の成長を促進させ
(3)で予定の剪定は入梅頃に実行するつもりです

この真柏を次にご紹介するのは、切り離し予定の秋になるでしょうね
それでは