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2021年11月10日水曜日

紅千鳥取り木外し

大して広くもない我が家の庭ですが、もちろん盆栽や種木素材でいっぱいになっています。それらの植物はほとんど鉢や苗木の培養箱に入っていて、2メートルくらいの紅千鳥もみじ以外には庭に根をおろしたいわゆる庭木は一本もありません。
この紅千鳥は、今から10年ほど前に取り木の材料にと小さな若い苗を庭に植えたものです。
この数年でやっと頭に勢いがついて、その頭の部分に取り木をかける気になりました。


樹高35㎝で足元の直径が約3.0㎝くらいの株立樹形が取り木できました。
5月末の施術だったと思います。


環状には皮を剝かないで、部分的に水吸いを残したので発根がやや弱い感じですね。その分安全策を優先させたといえるでしょう。


水苔は来春に本植えと同時にきれいに取り除きます。今はどんな細いひ弱い根でも大事に扱います。


来春まで仮植えして養生する。


鉢穴から針金を通して固定するとどうじに、足元をビニール紐でしっかり結束しておく。

 

2017年7月8日土曜日

スクール速報・舞姫もみじの取木

3週間前に取木をかけたクロちゃんの舞姫超ミニ
ためになる話題なので皆様にご紹介いたしましょう

クロちゃんが超ミニをゲットする目的で素材の2箇所に取木をかけたのが6月11日
この写真を撮ったのが3週間後の7月2日です

今までの経験から、発根が始まるのが3週間くらいとおおよその目途を立てておいたのでしょうね
クロちゃんが発根もよく確かめずに案外無造作に水苔を取り去ってしまうと

ご覧のように当然発根はまだまだ状態ですから
水苔部分はもろくも簡単に崩れ去って施術箇所が剝き出しになってしまいました


そして、まだカルスが未分化状態のこの時期に
親木から切り離して挿木をするような感じで植え込んでしまいました


ありりり、発根まだじゃん、ちょっと気が早すぎじゃん
とみなさんは思うでしょうが、あまり心配することはありません


環状に剥皮した箇所のカルスが形成されています
そこから数本の根が分化しています

すでに分化した立派な根ですから
親木から切り離しても十分に生きいけるでしょう


発根部分の拡大図


矢印の先が分化した根です
根数を増やして生き残ろうと必死に頑張っています

他の場所からも再生のための新しい根が
続々と出てくるはずです


仮にもしこのあと2週間ほど放置したとすると、このように発根過多となり
立ち上がりの整理に手間がかかると同時に、きれいな仕上がりが難しくなると思います

ゆえにクロちゃんは、根の数よりも後々の段取りと仕上がり具合を考慮して
あまり根が出過ぎないうちに親木からの切り離しを敢行したのです

舞姫のように根の出やすい樹種では、発根の時期を逆算して推測し
あまり発根数が多過ぎないうちに親木からの切り離しを図ることも大切な技術の一つです

それによるメリットは先ほど申し上げたように
仕上がりのきれいさ、作業の段取りなど、計り知れないものがあります

では!

2017年3月21日火曜日

舞姫もみじ超ミニ取木素材

この数年に力を入れている舞姫もみじの取木用の素材がかなりの数になりました
数を増やすと雑な仕事になりやすが、やや手に余るくらいの数は欲しい

ある程度の数が揃っていれば、よくもわるくも例証なども得やすいし
気持ち的に張り合いも出るからだ

というわけで、これからはやや手に余る数の素材と格闘することになるが
ここで早くも気持ちのスイッチだけは少数精鋭へと切り替えておくことにします


まっすぐに伸びた頂上の芽(芯)を摘まみ込んで
節間を短く詰めてから取木をしました

昨年の入梅前に施術、夏ごろに親木から外して仮植え後
今春に正式に根さばきして本植えします

根の下部にはまだ台木がついてままですから
これから↓のように処理します

植え方など参照して下さい


樹高は4.0㎝で鉢の直径も4.0㎝
足元は水苔で隠れていますが、思ったよりもガッシリしていますよ


根の底の黒い棒状が取木の台木部分
↓のように切り離します


このように枝先まで柔らか味のある素材もあります


台木の先端を取木したのでこのようにやわらかい姿がすぐに見られるんですね
樹高は5.0㎝、鉢の間口は約3.5㎝ほどです


木のヘソにあたる部分
短めに切り込んで肉巻きを促進させましょう


根の切り込みは勇気をもってやや強めに
小さい鉢に収まらなくては超ミニ盆栽の資格はありませんよ


植替え後の管理さえ間違わなければ
このくらいの根の切り込みは大丈夫です

それではみなさん、舞姫もみじは超ミニに向いた優れた性質を持っています
取木や挿し木で繁殖して可愛い超ミニ盆栽をたくさん作ってください

植替え後の管理

1 一週間ほど半日蔭
2 水切れは厳禁
3 肥料も厳禁(二ヶ月間)

2017年3月1日水曜日

舞姫取り木素材の鉢上げ

そろそろ植替え、植え込みの季節がやってきました
今年やらねばならない大仕事は、昨年の春先と入梅前にやった舞姫取り木素材の植え込みです

自分ひとりであればこれほどに欲張らないのですが
助っ人の手があったたので、およそ200本も頑張ってしまったのです

さて、本格的な本日の解説に入る前に過去の参考になりそうな記事をリンクしました
併せてお読みください

2013/1/13

2012/04/25

2013/01/30

2013/01/30

2014/01/20


昨年の夏の終わりごろに親木から外されて仮植えされた舞姫素材
本格的な根さばきと植え込みを待っています


昨年の夏の終わりごろに取り木発根済のものを
親木から取り外して仮植えしておきました

もし親木から取り外さない場合、新しい根は
水苔にくるまれたまま越冬することになり、ちょっと可愛そうですね

また仮植でなく、その時点で根さばきを敢行して本植えまでやってしまう手もありますが
その場合は根を傷つけやすいのでごく丁寧な作業を心がけてください


仮植え後に成長した根が逞しく伸びています


やや乾かし気味にして作業すると良質の赤玉土はよくほぐれます


根の底に黒く見える部のが取り木施術の際に剥皮した幹の部分です
さらにその上部には施術時巻いた水苔の固まりがこびりついています


又枝切りかコブ切りハサミで底に残った根の元をえぐり取る


大切なポイントです、深めにえぐる感じでやります


やがて周囲の白っぽい部分(形成層)に肉が巻いて傷口がふさがります


こんな感じ

大丈夫、取り過ぎではありませんよ


水苔はできるだけ取り除きます
たくさん残すと過湿で根腐れの原因にもなりますから


入梅前に切り込めば赤点のあたりから新しい芽が期待できます
それらの芽を使って超ミニサイズ(4~5㎝クラス)の舞姫を作って行きます


この時点でこのくらい思い切って根を詰める
根の追い込みが浅いと将来小さな鉢に入りませんね(ここも重要なポイント)


機械類で使うガスケットが案外に便利な癒合剤になる
速乾性なのがいい


小さな傷口に便利だ


赤玉土で植え込む
根を固定するのに麻ヒモが便利(入梅前後には腐ってしまうので木を痛めない)


十文字ではぐらつくのでもう少していねいに固定する


水苔で表土を保護しやりましょう

2016年9月24日土曜日

初級・中級盆栽集中講座(10):出猩々もみじの取り木発根後

超初級から中級くらいまでを中心に(たまには上級編もまじえて)盆栽の手入れに関するご指導する初級・中級盆栽集中講座シリーズです。
  • 時期:7月下旬から(根が出てから)秋の彼岸ごろまで
  • 適用樹種:出猩々もみじ・山もみ・楓など取り木をかけて発根したもの
  • 道具:又枝切り・剪定ハサミ・針金切り・ピンセット・切り出しナイフ・やっとこ・ミューム針金(一mm~3mm)
  • レベル:超初心者から達人まで
  • ポイント
    • 発根の状態を見極める・親木からの取り外しの時期を選ぶ
    • その後の管理 発根の状態や時期の関係を考慮に入れて、取り外すか、養生をして来春まで我慢するかを決定する
    • 置き場は普通どおりが理想、水の管理によっては半日陰も可
    • ただし肥料はやりません(親木の鉢の中もダメ)
素材 出猩々もみじ


入梅前に環状剥皮で取り木をかけた出猩々もみじが発根しました
モヤシのような根がビニールに当たって下へ伸びています
初めのころ出た根は既に茶色になっています


ビニールを取り外してみます


根が網の目をくぐって外へ飛び出してきています
植物の生命力を感じる瞬間です

もうと親木から外しても大丈夫です
充分新しい根で生きていけます

また早く親木から切り離した方が自分の力で生きる力がついて
もっとたくさんの新しい根を出す刺激にもなります


ところが今年は例年にない真夏日が続いています
慎重を期して、根の養生をしておいて
取り外しは来春まで我慢することにしました


まず大き目の網を用意します


今までの網は取り外しません
新根を傷めるないようにするためです


やや荒めの赤玉土に桐生砂を一割ほど入れた用土を
外側と内側の網の間に入れます
均等に入れましょう


出来上がりの図です

こうすれば新根は内側の網をくぐってのびのびと活動できます
秋までには外側の目からも根が飛び出してくるでしょう
冬は凍らさにように管理します
来春、彼岸ごろに親木から取り外します

その場合の注意点は
取り木をかける際に皮を剥いた親木は完全に取り去ること
その場所にカットパスターなどの傷口癒合剤で保護しておきます
つまりお尻の部分をきれいに処置して、親木から取り外した傷口が完全にふさがるようにします
底の部分からの腐り込みを防ぐためです

初級・中級盆栽集中講座(8):取り木(獅子頭もみじ)

超初級から中級くらいまでを中心に(たまには上級編もまじえて)盆栽の手入れに関するご指導する初級・中級盆栽集中講座シリーズです。

  • 時期:2月下旬から6月中旬まで(最適期は関東で2月下旬前後・それ以後も充分可能です)
  • 適用樹種:獅子頭もみじ・楓・山もみじなど(獅子頭もみじ以外は5月中旬が最適期)
  • 道具:ハサミ・ピンセット・切り出しナイフ・やっとこ・針金・ビニール網・水苔・用土
  • レベル:超初心者から達人まで
  • ここがポイント
    • 皮を剥く幅を怖がって狭くしない(幹の直径の1.5倍以上が目安)
    • 切れる刃物を使う
    • その後の管理 作業後、葉水をタップリかけて冬なら室へ、春夏は棚の上で培養
教材:獅子頭もみじ接木素材(取り木後完成予定樹高6cmの超ミニ)


取り木をかける個所を決めたら幹の直径の1.5倍を目安に
マジックで印しをつける


皮をむいた写真
ここでのポイントは形成層(アマカワ・上皮と木質部の間にあるん緑色のぬるぬるした部分)を
完全に削りとること


完全にアマカワを削り取って木質部が露出した状態
剥かれた上部の皮の部分から根が出てくるので
もう一度丁寧に削りなおす
この部分にカルスが形成されそこから発根する
(切り口が粗いとだめですよ)


1cm目のフルイでうらごしした水苔


赤玉土8対桐生砂2の割合の用土


ビニールの底網を円形に立て
用土を入れる準備


8分目ほど用土を入れたら
図のように針金で固定
これで新しい根の受け皿ができたというわけです


傷口が完全にもぐるまで用土を入れる


サット軽く水をやってから
水に30分ほどしたしておいた水苔を
丁寧に敷きつめる
用土の表面が荒れて削った部分が露出しないためと
常にある程度の湿り気を保つためです


完成図


完成図

その後の管理
  • 置き場所
    • 2月下旬から3月中旬に作業したものは冬囲いをする(凍らない程度でよし)
    • それ以後のものは、日当たりよく風当たりの強くない場所で管理する
  • 水やりと施肥
    • 普通どうり
    • 但し過度の乾燥は禁物
    • また取り木をかけた部分への施肥は禁物(根がない)
    • 鉢の部分へ施肥は普通どうりやってください
  • 発根
    • 山もみじなどは5月に施術すれば1ヶ月で発根しますが
    • 獅子頭もみじの場合は2月下旬の作業で早くとも5月頃の発根です
    • それ以降になっても諦めないでください
    • 一番の禁止事項は、取り木をかけた個所を、様子が見たくていじくってしまうことです。細胞分裂をおこしている柔らかい成長点を傷つけることになるからです。発根すれば網の目から細いもやしのような根が出てきます。気長に待ちましょう
  • 切り離し
    • 一応秋頃の予定ですが発根の程度によって違ってきますので、続編をいつか開講します。そして新たな技術もご披露し、より発根の状態のよいものを作っていきたいと思います