2021年3月30日火曜日

桜咲く

私の住む千葉県松戸市には桜通りと呼ばれる桜の名所が何箇所かあります。中でも新八柱駅から常盤平団地にかけての3㎞ほどがみごとな街道となっています。


そんな桜に恵まれた環境に住んでいるとかえって桜の花に鈍感になっているような気がします。わざわざ出かけなくとも目に入ってくるからですね。


 ピンクの八重の一才性の旭山桜。やわらかい色合いが印象的です。かわいらしい感じ!

自然界に咲く桜には華やかな中にもどこか寂しげな風情が伴いますが、このように手にとって近距離で眺めると純粋に温かみが伝わってくるような気がします。

2021年3月27日土曜日

金雀花(群雀)


群雀(むれすずめ)もしくは金雀花(きんじゃっか)と呼びます。桜の花を追いかけるように群れた雀はその鮮やかさをましてきました。


雑木にしては珍しく幹や枝が柔らかいので、強引な針金をかけても折れるようことはありません。樹形としてはこのような根上がりの懸崖式が作りやすいし見栄えもするようです。


ここ数日間が見ごろでしょうね。


別角度を正面にしても見られるようです。


自然系の樹形が似合う樹種なのでいろいろな角度から眺めて見ましょう。


真後ろを正面に変更することも可能なようです。

 

2021年3月23日火曜日

楓中品の盤根


雑木好きの盆栽人にとっては一年中でも最も心時めく時期が訪れました。主となる枝の配置は大方決まっていて、その先のフトコロ枝や先端の小枝もかなりほぐれています。あと数年の培養を重ねれば味わいのある柔らかさがでてくるでしょう。




盤状の根張りの部分はというと、枝のほぐれに比べて今一歩持ち込み不足で、まだ粗さが目につくようです。大地を掴んだ盤状の根の動きが足りません。



楓中品 樹高27cm



盤状の逞しい根張りですがまだ直線的ですね。持込みを重ねて根張りに動きが感じられるように心がけながら培養を重ねます。



正面やや左側面から。


正面やや右側面から。


後姿。


現在では正面の根張りに比べ、後の根張りの方が完成度が高いようですね。そのあたりのバランスをとっての根張り作りが一番の課題でしょう。
いずれにしても素晴らしい素質を持った将来の名品です。

がんばりまーす!



 

2021年3月21日日曜日

桜(旭山)


一才性(咲きやすい)の旭山の古木の蕾がほころんできました。
樹高は15㎝ほどで古木が朽ちて倒れたような天然自然の森の中で出会ったような木姿です。


樹高16×左右11㎝


薄いピンクの八重咲きが旭山の特徴です。一才性というのは、花や実の付きやすい性質のことを言い表す言葉です。


ミニ盆栽として部屋の中へ飾ると、部屋中がパーッと明るくなったようなきがします。同じ季節に咲く梅とはまた異なる雰囲気ですね。


木肌も古く雅びた雰囲気が伝わってきます。
春ですね!


 

2021年3月14日日曜日

京焼雲足長方





京焼窯変外縁雲足長方

間口23.5×奥行き20.5×高さ15cm


一見平安東福寺を思わせる堅牢なボディーの構図と色彩。だかよく観察すると外縁
と縁の反り具合などに、東福寺とは異なる個性が微妙に感じられる気がします。


そっくりとはいえ、あのほとばしるような東福寺の荒々しさに比べると、こちらの方が
京焼と呼ぶに相応しい雅た趣にくるまれているような感じがします。


間口と奥行きは僅かな差がありますから、かろうじて正方でなく長方形となっています。




縁より垂れている釉薬は辰砂釉のようですが、長年の使い込みによって、釉薬の種類が判然としません。


光線のコントラストが強く見難いですが、縁の時代感はいわゆる本時代といわれるもので、人工的な付け時代とは異なります。


微妙に複雑に釉薬が変化しています。まさに登り窯の醍醐味といえるでしょう。


鉢底の時代感も申し分なく詫び寂びの極致といえるでしょう。




平安東福寺や平安香山も京焼きです。おそらくこれらの作風が初期の東福寺作品に強い影響を与えていることは間違いないであろう。



京焼の最大特色は、その多様な作風にあります。それを如実に物語るのは用いられる胎土の多彩さです。


この角度から眺めた雰囲気が平安東福寺そっくりですね。緑色の釉薬は東福寺の場合は広東釉(かんとんゆう)と表現されていますが、緑釉(りょくゆう)とも呼ばれています。



側面の角に沿った縦に黒づんだ部分があります。にわかに断定はできませんが、何分にも古いものなので釉(うわぐすり)の荒れを修繕しているかもしれません。
しかし例え何らかの手が加えられているとしても、決して鑑賞上の価値を損なうようなことのない高度な技術に支えられています。


幻想的で不可思議な発色がさらに魅力を増幅させるようです。


側面。


釉薬の変色や時代感からして平安東福寺よりも古い時代の作品とおもわれます。

 

2021年3月4日木曜日

鞍馬遠山石


鞍馬の遠山で見事な時代の石を市内の同業者が持っていて、遊びによる度にこちらは「売れよ」、あちらは「売らないよ」を10年以上繰り返していました。


間口52×奥行き19.5×高さ10㎝


いかにその友人がこの遠山石を手放したくなかったかは、台の内側に貼った「売るな」と書いた強い語気からもこちらへ響いてくるようです。


私だって気に入ったものをそんなに簡単に諦める性分ではありません。狙った獲物はなんとやら・・・・


正面からの目線を少しずつ上げていきますと、連山の稜線がっ微妙に変化して景色が変わってきます。


それにしてもいい時代感ですね。30年以上の養石をを経ないとこれくらいの古色感は出てきませんよ。


真上からの図。


後姿もスケールが大きくて雄大です。


近景、中景、遠景のバランスがいいので全体の風景に奥行きと雄大さがあります。

台座にちょっとばかり欠けがあります。修理するか新調するか。


箱もないし銘もまだついていませんから、考えましょう。


光線の加減で微妙な肌目のよさがよく見えました。


石底の様子。

さて、それはともかく、10年以上がんばっていた友人がどうしてこの遠山石を手放す気になったのでしょう?
昨日彼のお店によって「鞍馬売れやい!」と言うと、「よし、売ろう、いくらで買う?」と威勢よく反応してきたではありませんか。

家に帰った私は考えました。10数年も頑張ったあの友達はどうして今日に限って大切にしていたあの鞍馬石を売る気になったのでしょう?

今世の中はコロナ禍で乱れています。
こんな時にこそ好きな盆栽や水石を思い切って売り買いして、それによって精神を躍動させよう。眺めるもよし、手入れするのもよし、売買するのも元気の元になるだろう。
私の友人はそう考えて思い切ったのだと思います。ありがとう!

私もこの水石の銘を考えて、桐箱を作って十分に楽しもう。




 

2021年3月1日月曜日

野梅の樹皮


梅の盆栽といえば、これはもちろん野梅の系統に限ります。樹勢が強壮で枝が細かく盆栽として樹形を作りやすいのです。古く培養することによって皮肌はイボ状に荒れ、次第に雅味が感じられるようになります。木質部は固くサバ状になっても容易に腐らず、その様子が梅盆栽の特色となっています。


樹高32×左右25㎝

市内の盆栽愛好会の古老が何と半世紀の長きに渡り愛培してきた野梅を譲り受けました。
本格的に木肌がイボ状に荒れるまでに、梅は100年かかるといわれますが、確かにそのようですね。


根を洗い用土をすっかり取り換えて、水はけよく植え付けました。これで元気がでるでしょう。


頭の部分が二つに分かれていて、芯の位置が決まっていません。芽の吹き方と伸び方によってまだまだ樹形は変化していくでしょう。


サバ状になった幹筋の暴れ具合もこれからの変化が期待できます。


後姿


後姿の立ち上がり付近。


野梅としては花(白色一重咲き)の咲きやすい系統の様です。
これからの樹形の変化が楽しみです。