2003年3月31日月曜日

土佐水木の剪定


土佐水木
今年は花芽がつきませんでしたが培養上ではけっこう成果が上がりました
小枝が増えたことが何よりの成果です

今が剪定の適期です
枝を整理して新芽の出るの待ちます


まず不要な枝は徒長した立ち枝です
ちゅうちょせず元から切り取ります


立ち枝や真下へ向いた枝の整理のあとに、全体の枝の切りこみにかかります
そのときにもっとも心がけるのは、残す芽の方向です
千枚通しの先で示している芽は残す芽です
この芽はやや下向きです

切り込みで自然な枝ぶりにしていくには、上向きや真下向きの芽でなく
やや下向きかげんか水平方向の芽の手前で切り込みます(これが基本中の基本)




その繰り返しです
一にも二にも残す芽の方向が大切です
(真上や真下方向はダメ・やや下向きか水平方向の芽を残す)

完成図です

2003年3月30日日曜日

もみじの骨格作り


出猩々もみじの素材(数千円で買ったものです、でもばかにできませんよーッ)
新芽に針金をかけて、一年間伸ばし放題にしました
一二の枝と裏枝、それと芯です

伸ばし放題にすると一年間でけっこう太ります
大切なことはこの枝や芯をもう一度切り戻して
そこを基本として作りこんでいくことです


まず向かって左の二の枝を一節残して切ります
新芽を確かめ、それを残して切ります


一の枝も芽当たりを確かめて、必ず芽を残して切ってください


芯も大切です
指している場所に小さく芽あたりがありますね
これが新しい芯になる芽です
傷つけないように(ポロット落ちたらおしまいですから)





初めの写真と見比べてください
ここからスタートです
肝心な芽当たりはすべて残してあります

足元もしっかりしているので今年一年で見違えるようになるはずです
どうです、とても数千円とは思えないでしょ!
エッヘン
出猩々ですゾ

肝心なのは、目の付け所と技術と根気ですゾ

2003年3月28日金曜日

姫こぶしの蕾


かわゆいですね
毛羽立ったラグビーの球のような、姫こぶしの蕾が割れました

千昌夫の歌う、こぶし咲く♪♪は山こぶしです
山こぶしも盆栽に仕立てますが、その多くは大物盆栽です

小品盆栽としては葉が大きく花も付けにくいのです
小品界では主に姫こぶしを仕立てます


花弁が膨らんで伸びてきました
もうすぐ開くでしょう

このへんまでの風情がいいですね
開いてしまうとあっけないものです
盆栽人の好みとしては、あともう少し、という控えめな瞬間にいとおしさを感じます

後ろに見えるのは花芽をつけていない小枝の先端です

2003年3月27日木曜日

かりんの新芽



かりんの新芽は動くのが早いです
冬に保護室に入っているものなどは、早くも正月頃から動き出します

かといって写真のような状態から、一気に芽が伸びだすようなことはありません
その点で珍しい樹種です
冬に枯れ枝に赤味かかった新芽をつけた風情も、温か味のあるものです

小品盆栽では簡単に実を成らすことはできません
むりをすれば成りますが、枝先を徒長させて、盆栽としての形を崩してしまいます
枝先のほぐれを優先させ、樹形作りに励むことをお勧めします

ちなみにかりんは、かなり水と肥やしが好きです
やせさせないように、充分な管理をしてください

ちなみにかりんにも大まかに分けて三種類の品種があります

1 実生かりん=葉の細かい枝先が密になる種類(実は成りにくい)
                           盆栽に一番的した種類
2 唐かりん=実が成りやすいが葉が大きく枝が粗い(主として接木で仕立てる)
                                  小品盆栽には向きません
3 唐かりんの実生=唐かりんの種子を実生して仕立てたもの
                    やや枝が粗いが接木仕立てのものより盆栽向き

2003年3月26日水曜日

木瓜の花(東洋錦)



白地に紅色やその絞り、薄紅色などが混じり咲く東洋錦は、寒木瓜とならんで人気のある種類です
昔から木瓜は梅や桜と並んで、日本人に愛されています
盆栽としても数多く仕立てられています

雅味という点では梅に一歩譲るとしても、開花時期の華やかさは見ごたえがあります
白と紅の咲き分けのいいものを一鉢は持ちたいですね

東洋錦は必ず花時期に咲き分けを確かめて購入してください
白ばっかりで紅色の出ないものや、逆に紅色だけで白が出ないものなどを掴んでしまうと
将来も咲き分けは期待できません

白花の中にちらほらと紅色が混じる程度のものが上物です
それで木形がよければ最高です

2003年3月24日月曜日

楓の芽摘み


冬囲いをした楓は、既に新芽が動いています
もう新芽を摘む時期になりました
道具はピンセットだけです


新芽が伸びてからでは遅すぎます
ほころびて伸びだす前に摘み込みます


一節(葉は二枚)を残して新芽を摘みます
もっと伸びてハサミで切るようでは遅いのです
ピンセット!
みなさん、ピンセットですよ!

2003年3月22日土曜日

取り木(独立)2


これも昨年の入梅前に取り木をかけたニレケヤキです
ニレケヤキは根がよく出ます

ですから環状剥皮をする場合も、幹の直径の1,5倍以上の幅が必要です
そうしないと皮を剥いた部分の上下がつながってしまいます

また、形成層もしっかり削り取っておくことも大切です


いい根ですね
親木の部分はよく削り込んで早く肉が巻くように心がけます
もちろんカットパスターなどの傷口癒合剤を塗ってください


根がいいのでいきなり化粧鉢に入れました
すでに完成品に近いですね

今年一年の培養で根もしっかりするでしょう

取り木って得した感じですねー!
みなさんも試してください

2003年3月21日金曜日

取り木(独立)


昨年の五月下旬に取り木をかけた出猩々もみじです
2ヶ月ほどで発根しましたが、大事をとって越冬しました
さて、いよいよ独立の時期が来ました


ぐるっと発根しています
よーッく写真を見てください
剥皮された箇所には既に新しい肉が巻いています
その下の黒い部分が親木の皮を剥かれた部分です


親木から切り離します


黒い部分はきれいに削りこみます
ここに肉を巻かすようにします


切り離しの部分にはカットパスターを塗って腐りこみの保護をし
肉巻きを助けます


こんなにちっちゃくなってしまいました
大丈夫
枯れるようなことはありません
(根は短めにつめます)
かえって親から独立したためにがんばるものです
(人間と同じ)


仕立て鉢に深めに植え込みます
入梅ごろには根の数も増えてかなり逞しくなります

2003年3月19日水曜日

盆栽セリ(2)

昨日の続きです

盆栽のセリの方式には土払い方式というのもあります
主にプロの間で行われる方法です

出品物は事前に登録して通し番号を振っておきますが
誰の出品物かわからないようになっています

順番はかまわずどんどんセリ台に乗ります
それを発句とともに、セリ人の三声で落札していきます
セリ台が同じ価格を三回叫びます
その三声の間に上の価格のヤリが出ないとそれで終わりです
落札です

恐ろしく早いですよ
1,000点の出品物でも5~6時間でこなします
1点平均20~30秒でしょう

出品者は、出品物が自分の思うような価格に達しなければ
自分でヤリをついて自分で落札しなければいけません
その場合は落札価格の1~2%の罰金をとられます

買う方も必死です
ヤリを争う相手が出品者なのか、自分と同じく買い手なのかわからないのです
人の顔色を伺いながらなんてことはできませんね

セリ人の責任も重いです
セリ台は自分の発句に責任を持ちます
切った発句の上のヤリが出ないときは、自分が買い取るんです
過酷ですよ

たまに目違いして、高い発句を入れてしまっても
そこは男の子です
笑顔で買い取るんです
「オーッ、安かった!」なんぞと強がりながら

ですからセリ人の権力は絶大です
いくら高いヤリを入れても、セリ台が聞き逃してしまう場合があります
そんなときでも三声が終われば他の人(安くても)に落札です
文句を言ってもダメです
「もっとでかい声でヤリをつけーッ!」で終わりです

まさに戦場です

私も長いことセリ人をやってますが、けっこういろんなことがありました
機会があったらお話しましょう

2003年3月18日火曜日

盆栽セリ(1)

今日は日本皐月協同組合の交換会です
交換会は午前8時始まりです
早いでしょ

みなさんは盆栽交換会を知っていますか?
セリによるオークションのことです
テレビや映画で絵画のオークッションの場面を見たことがあるでしょ
ひらたくいえばあんな感じです

セリの方法には二通りあります
一つは交換方式です

セリ人が品物の価格を推定して、約三分の一から半分くらいの値段をつけます
発句(ほっく)といいます
その発句を基準にしてセリ上げていきます
買いたい人が値段を示す声を、ヤリといいます
ヤリをつく、というんです

セリ人は、ヤリが途絶えたころ、または価格が適正と推定されたころを見計らって
荷主に売る売らないの意思を確認します

値段の折り合いは簡単にはつきません
そのときがセリ人の腕の見せ所です

売り手と買い手の値段の開きを、双方を説得してうまくまとめるのです
いわば仲人の役目です

こう書くとゆったりとした感じがしますが
一連の流れは瞬時です
早技でやらねば、何百点の品物を短時間でさばくことはできません

ゆっくりしたペースでも一時間に80~100点くらいのペースでしょう
プロの売買は早いです

以上が交換方式です
アマチュアの方々が楽しみでやる盆栽交換会は、ほとんどこの方式です

明日は土払い(どばらい)方式についてお話しましょう

2003年3月17日月曜日

お花見だ!



ムロの中で寒桜が咲きました
なんともいえない花の色です
花弁もふっくらとして豊かな感じです

染井吉野の花形とは一味違っています
いろも寒桜のほうがやや濃い感じでしょうね

寒い寒いといっているうちに、春はもう隣までやってきています
あと半月もすれば本物のお花見シーズンになります

みなさんーん、盆栽の手入れだよーん!

2003年3月16日日曜日

近況報告

5年前に嫁に行った娘が年に一度、孫娘をつれて長期の里帰りが習慣的になっていました
年末から正月にかけて約1ヶ月というのがノーマルなスケジュールです
転勤族の娘の亭主の事情ですが、これはこれで私達の年に一度の楽しみでもあります
しかし、今年は事情がやや異なっていました

年末から正月にかけて3週間の滞在に続き
再び2月の初めから1ヶ月、我が家に二人が滞在したのです
理由は亭主の転勤です

この時期は盆栽屋にとってけこう忙しい時期なんです
まずは国風盆栽展、それに続く春の作業の準備等々
本格的盆栽シーズンの幕開けの時期です

孫はもうすぐ4歳になります
これがかわいい!
憎らしければいいのだが、かわいいからこそ、これには参る!
仕事にならないんですね

ある夜、娘と一杯飲んだ折に
こんどの転勤先の住居と孫の幼稚園が思うようでなという理由で
あと1ヶ月くらいの逗留を画策しているらしい娘の心中を察した私は
暗然となりました

これ以上いられたら、仕事にならない!
我が家はハチャメチャになっちゃうぜ!
パソコンだって孫にじゃまされるばかりだもん!

ということがらがありまして、しばらくHPの更新も思うようにならなかったというのが実情ですが
なんとか13日に帰りました(ホッ、ホッ、ホッ)
成田空港まで送るのは私の役目ですが、嬉しかったですね!
寂しいなんて微塵も感じませんね!
これで明日から仕事ができる!
車の運転も弾むようでしたよ

ということで、しばらくご無沙汰しましたが、これからがんばります
よろしく~ッ!

やっと平穏無事な日常がやってきました
以上近況報告です

2003年3月15日土曜日

ムロ出し準備



そろそろ冬囲いから出す準備をしましょう
軒下に囲った盆栽は雨の日か曇りの日に屋外の棚に出します
いきなりで大丈夫です

しかし、写真のように囲った場合は、既に芽が動いています
いきなりでは傷めてしまいます

私は、3月に入って囲いの一部分を開けっ放しにしました
芽が動くのを極力抑えるためです
(昼間の温度が上がらないので芽の動きが止まるのがわかります)

天気の具合をみて一週間以内に周りのビニールをすべてたくし上げるつもりです
けれどその時点でも盆栽は棚の上には出しません

3月一杯くらいはそのままにして
4月に入ったら雨の日を待って外へ出すつもりです

これは私の住む関東地方の標準です
地方により違ってきます
北の方はまだまだですね

ムロ出しは慎重に!

2003年3月3日月曜日

緋寒桜開花


緋色の寒桜がムロの中で開花しました
寒桜は葉が出ていない状態で開花するので、花が目立ってとてもきれいです


花はこのように群がって咲きます
梅は「野梅三輪」という言葉に代表されるように
楚々と咲く趣が好まれますが
桜は満開の華やかさが持ち味ですね

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