2021年11月22日月曜日

紀元2600年


「万古焼」の古い急須を長いこと持っています。今ではどういう手づるで私の持ち物になったのかさえも思い出せませんが、とにかく何十年も我が家の小さなガラスケースの中に鎮座しているのです。


万古焼急須 胴の間口約8.0cm


万古焼特有の堅牢で渋い土目がとても魅力的です。全体に肉は薄目ですが硬質な質感が特徴でしょう。


シンプルな意匠も魅力の一つでしょう。


それでいながら縁取りの意匠には控え目ながら華やかさも感じられます。


この角度からも姿もなかなか端正です。



胴体いっぱいに詩文が彫りこまれています。紀元26002年と記されていますので、昭和17年が制作年代であることが推測されます。もちろん「萬古」の落款も入っています。


 

2021年11月12日金曜日

本筋の楓小品

前項でご紹介した力強い本格模様木の楓小品と一緒にやってきたやや細身の本格派。うちへ来る前には、ある園の棚で仲良く並んで培養されていた2鉢だったのです。


幹筋は雑木らしく細身で模様も柔らかく、枝も軽い感じに作られています。まさに雑木のお手本のような雰囲気ですが、根張りだけは力強く地面をしっかりと掴んでいます。


全体の樹形のバランスも、左右よりも樹高を高めにとったところに好感が持てて、とても穏やかな感じがします。



マメな芽摘みと葉透かしの実行により、枝先の先端まで繊細な味わいが表現されています。
昔から盆栽盆栽界では“木は木なりに作れ”と云われています。素材の素質を素直に伸ばしてやろうという方向性を示した含蓄のあることばですね。

 

2021年11月10日水曜日

紅千鳥取り木外し

大して広くもない我が家の庭ですが、もちろん盆栽や種木素材でいっぱいになっています。それらの植物はほとんど鉢や苗木の培養箱に入っていて、2メートルくらいの紅千鳥もみじ以外には庭に根をおろしたいわゆる庭木は一本もありません。
この紅千鳥は、今から10年ほど前に取り木の材料にと小さな若い苗を庭に植えたものです。
この数年でやっと頭に勢いがついて、その頭の部分に取り木をかける気になりました。


樹高35㎝で足元の直径が約3.0㎝くらいの株立樹形が取り木できました。
5月末の施術だったと思います。


環状には皮を剝かないで、部分的に水吸いを残したので発根がやや弱い感じですね。その分安全策を優先させたといえるでしょう。


水苔は来春に本植えと同時にきれいに取り除きます。今はどんな細いひ弱い根でも大事に扱います。


来春まで仮植えして養生する。


鉢穴から針金を通して固定するとどうじに、足元をビニール紐でしっかり結束しておく。