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2018年12月23日日曜日

実生かりん株立ち

かりんという樹種は、ふつう実成り観賞を主体とする実物盆栽の範疇に入りますが、その力強い幹模様や細かくほぐれた小枝の先の緊張感などに目を向けると、実物盆栽でありながら松柏類に比肩する迫力があります。ですから、ベテランになるほど、実の成りやすい唐かりんよりも、実は成りにくくても小枝の細かくほぐれやすい実生かりんを選ぶことになります。

友人が取木した実生かりんの素材を数年持ち込んだ株立ち。樹高は12cmくらいですが、株立ちの三幹(さんかん)状になっています。

足元から向かって左に地べたを這うように1本の子幹が立ち上がり、右にも巧みな模様の子幹が立ち上がって、主幹にバランスよく添っています。実生かりんは唐かりんと異なって枝打ちが細かく、葉も丸葉で小さ目なのが特徴です。

後姿。このレベルの実生かりんですと、あと数年ハサミ作りにて枝先を摘み込みます。大盆栽の場合は入梅前に葉刈りをしてもいいでしょう。ミニ盆栽の場合は葉刈りはせずに2~3節伸びたら1節残して芽摘みをするように心がけます。肥料もやや多めに与えましょう。















2018年12月9日日曜日

実生かりんミニ

長いこと商売していると、自分では気に入っていても、なかなかに縁遠い(つまり売れない)木もあるし、ちょっとイマイチだなと思っていても、案外に足早く売れてしまう木もあるものです。
商売ですから、それは早くに売れるにこしたことはありませんが、まあ盆栽という商品の性質上、売れずにいたとしても日一日と培養を重ねながら長所を伸ばし欠点を克服するための努力に勤しんでいるわけですから、ある日何かの折にまじまじと眺めて見たりして、改めてその木の出世度合いに気がつき小さな感動に動かされたりすることがあります。

樹高12cm×左右17cmで足元の幹径は約6.0cmの実生かりん。
親しくしている同業者が取木でゲットしたものを譲り受けて3~4年ほど培養しました。
この実生かりんなどは、先ほどお話した「気に入っているのに縁遠い木」の典型でしょう。何人ものお客さんが目をつけてくれてもいるのですが、未だ良縁に恵まれないのです(笑)
木の筋としては、足元の曲はやや緩くやや腰高な感じはありますが、足元もしっかりしていてコケ順もまあまあです。まあ、頭に強い曲があるので、来春には頭をもう少し攻めて寸法を短めにまとめようと思っていますが。

あるお客様からこの実生かりんの最近の映像が見たいというご連絡を頂きまして、ここで改めて撮った写真ですが、改めてしみじみと眺めてみると、樹形は顕著に変わっていませんが、どことなく古色感が濃厚になっていて貫禄がついています。
盆栽ではこの何とない貫禄というのがたいせつですね。一本の枝、見つけの一曲、ふとした根張りの表情、さらには古色感あふれた幹の味わいなど、これらちょっとした変化(進歩)が、総合すると観賞上では大きな変化となって感動を呼び起こしてくれるのですね。それと、かりんの紅葉がこんなにきれいなことも再認識しました。

ああ、毎日大切に水をかけてやってよかったなー!