2014年4月24日木曜日

五葉松復活作戦

先日、親しいある同業者の棚の隅で、1本の五葉松が目につきました
↓のように、葉の緑色もかなり褪めていて、さらにその一部ははっきりと黄ばんでいます

全体が平均して褪色している場合は、肥料不足を解消しただけで立ち直れることもありますが
このように、部分によって褪色の程度がまだらな状態は、復活がかなり難しいですね

「この五葉、もったいないね、幹筋はいい子なのにね」
「去年お客さまからお引き取りしたんだけど、根っ子が痛んでボロボロだったよ」

「なんとかなんないかな、もったいないよ、この子」
「今年は昨年よりも芽が動いている感じがあるんで、ちょっとは望みがあるんだけどね」

そんなやりとりをしているうちに、急にこの五葉松に愛着が湧いてきて、「よーし、俺が面倒見てやろう」
まるで親になっちゃった気分になった私は(笑)、さっそく値段の交渉にかかりました

向こうさんの仲間相場は1.5万円
えー!?、枯れちゃうかもしれないのに、高ーい、とおっしゃるでしょうが、本来なら10万円は下らない優良品ですからね

しかし、こちらも勝負は勝負
根切りマンの習性で1万円ではもう一息食い下がる(安い方がいいに決まってますよね)

決着値は1.3万円
まあ、もし万が一でも惜しくない値段ですね

さて、本題です

先ほど「棚の隅」と言いましたが、そうなんです
健康なら、本来この五葉松の居場所は「隅っこ」ではありませんね

化粧鉢に入って堂々と棚の目立つ位置に置かれているはずなのに
このような状態では、日当たりの良くない棚の隅で、まったく見捨てられた存在になり果てていたのです



樹高は15cm、足元の幹径は約4.5cm
スタイルのいい木なので細く見えますが、案外に太いですよ

幹の模様は言うところなしで、枝順もばっちり
本来持っている葉の性(しょう)もいいので。復活したら本格派の模様木ですね


足元を覗いて見る
木肌もかなり荒れていますね


向って右側の一の枝の芽先を点検してみます

今年の新芽が動いて徐々に葉になろうとしていますね
芽の色つやも気持ち回復傾向にあるような気がします

このように、冬から春先にかけての健康状態を確かめるときは
冬芽や動き始めた芽の色つやをよく観察することが大切です

古葉が少々痛んでいても
春の新芽が元気であればあまり心配はいらない、ということになります


向って左側のニの枝の芽先を観察
右側に比べて芽先の色つやはかなり劣っていますね、かなり重篤です

葉数も少ないし、動きもやや遅れているし
まことに心細い限りです

しかも、この五葉松の復活の成否は
ひとえにこの枝の行方にかかっていますから、なんとか頑張ってもらいたい

中心の芽がもっと緑色になってつやつやとして伸びてくれればシメタもの
今はそれを祈って辛抱するしかありません


後ろ姿です

で、今後の復活に向けての重要なポイントを挙げてみましょう

1 真夏になるまでは一番日当たりや風通しがいい棚に置く
2 水は控えめにやるが、水切れにも注意
3 油粕の置き肥を少々やって、葉の色つやをよく観察する
  葉の緑が濃くなるようなら根が動いている証拠ですから、しめたものですね

この三か条をしっかり守って、とにかく辛抱の培養管理
やっと動き出した根っ子に刺激を与えないように、じっくり守りの培養に徹します

復活できるかな?
私も自信はありませんが、とにかくやってみましょう

それでは、追って以後の途中経過もご報告いたします
うまくいってみなさんの参考になればいいですね

では!