今回は、市内に住むお客様であり古鉢の趣味を通じての親友でもあるAさんと宮崎一石の絵鉢にまつわるお話です。もちろん私にも大いに関係ある出来事です。
現在宮崎一石の人気が何度目かの大フィーバー中です。お話の一石の色絵外縁長方鉢は、間口11.6×奥行き10×高さ4.4cm。ボディーの四面は青海波(せいがいは)と思われる伝統文様に覆われ、前後は変形の窓が切られて、それぞれにアザミと赤い実を付けたツルの植物が、両サイドには飛翔する優雅な鶴の姿が描かれています。
特徴としては、奥行きと深さがタップリしていることです。全体の姿にゆとりが感じられ、実用の美と華麗さが両立された名作であるといえます。
外縁、ボディー、簡潔な切り足など、すべてバランスがとれて落ち着いた調和を感じさせてくれます。窓の中の実つきの植物名は不明です。ツル性だけに迷うところですね。
こちらの正面は薊(あざみ)です。窓の切り方も素晴らしいセンスのよさが感じられます。
宮崎一石の作風には絵のモチーフだけから区別しても、雪舟ばりの大自然を描いた雄大なスケールの山水図、広重の東海道五十三次や近江八景の模写、さらに身近にある何気ない自然や静物を描いたものなど、3つのジャンルが存在するようです。
近代日本の小鉢の歴史を研究する上で、巨匠・宮崎一石のこの作品は希少性から云っても非常に価値あるものです。
落款は「あびこ山」「一石作」
この落款の作品は前期の作に多く、内容的にも優れたものが多いとされています。ちなみに、あびこ山とは大阪府住吉区にあり、かつて一石が居住した場所であると云われています。
なお、宮崎一石についてはこの徒然草でも過去にかなりの画像も載せて取上げていますので、ラベルを使って検索してみてください。


















































