宮崎一石の製作期間はは昭和40年ごろからで、昭和59年に65歳で病没するまでの約20年足らずの間です
手間のかかる絵付け鉢であるため、作品の数はそれほど多くはありません
プロの画家に師事し、本格的に絵画を学んだ一石の絵は
鉢をキャンバスに見立てた本格的な絵画の要素が強く感じられます
いわば、鉢のための絵絵付けというより、絵を描くためにそこに鉢があった
とさえ言い換えられるほどに、絵画的な要素にこだわっている印象を受けるのです
比較される月ノ輪涌泉が線と情感の天才絵付師とすれば
一石は構図と細密な描き込みとそして色彩の巨匠といえるでしょう
現存する数少ない一石作品の中でも傑作中の傑作といえる
五彩画の六角鉢をご紹介します
五彩山水図六角(7.8×7.8×4.2
一石作品群の中では豆鉢の範疇に入るこのサイズは珍しく、おおかたは10cm内外です
六面に廻した山水図の雄大な構図と鮮やかな色彩
そして綿密な描き込みが目をひきます
この小さな画面に、壮大なスケールの山水を綿密に描き込んだ作者の熱と技巧
炎も味方してくれて完璧なできばえです
苦心惨憺した絵付けであっても、陶芸の道だけは窯から出してみないとわからないいい
釉薬がこれほどに鮮やかに発色をみせることは稀なのです
ところでおもしろいことに、この画面には人物や動物がいっさい見当たらず
一石が得意の山水図に心いくまで没頭していることがうかがえます
鉢裏のようす
落款は「あびこ山・一石作」
この落款は初期の作品であることを物語っており
後期は「一石」の落款が多いのです
「あびこ山」は大阪府住吉区のあびこ山観音のこと
一石がかつて居住した地域と思われます
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1、2が鑑賞鉢としての正面
盆栽を植える場合には木の雰囲気や流れに合わせて各正面を選ぶのが絵鉢の心得です
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