2004年10月23日土曜日

東福寺隠し技

今日の教材も東福寺
ぞくに耳付といわれている、左右に獣面の飾りがイヤリングのように付いている作品です

東福寺は丸鉢以外の長方鉢でもこの耳付を製作していますが
ご紹介する大外縁(おおそとえん)の備前土の作品は特に有名です

この鉢に東福寺の意外な隠し技がありました
ご紹介します


平安東福寺作  紫泥大外縁獣環付丸樹盆(13×13×5.5)

東福寺の泥もの作品の中でも最高水準の丸型名鉢
盆栽界によく知られた同型の作品が存在します

堅牢で光沢のある胎土が第一印象の大きな魅力
大きく張った縁と獣面の飾りに特徴のある迫力は、東福寺ならではのものです


この画像は正面からですよ(足の位置からもここが正面です)
この正面からは耳飾が左右によく見えますね


それでは後ろ側の正面から見てみますと、ちょっと耳飾が奥へ逃げた感じで物足りない


普通であれば円の中心線上の位置に付ける飾りが、向かって右の正面方向に少々にずれていました
これが東福寺の隠し技なのです

正面から見ての効果をあらかじめ計算し、迫力が感じられるように
故意にその位置を前方にずらしていたのです


この画像からもその様子は推測できますね

このように、東福寺の発想は常識にとらわれない柔軟さが身上です
独学で身に着けた独自の感性なのでしょう

0 件のコメント:

コメントを投稿