正解は「偽もの」
盆栽小鉢の世界で「偽ものが出れば作家は一人前」などと物騒な論理さえあるのですが
とにかく東福寺には贋物が多い
近年では涌泉・石州・雄山などの絵鉢にさえも贋物が登場し、趣味の世界での悲劇があとを絶ちません
「贋物は掴んだ人が勉強不足、授業料だと思って諦めな」なんて言う人がいますが
とんでもない、そんな意味のない授業料など一文たりとも払う必要はありませんよ
それは売る側の、自己を正当化する言い訳にしか過ぎないのです
さて、この東福寺の贋物はかなり上出来のクラス
というのは、見分けがつきにくい方です
最近、この手と同じ作品が、あるプロ・アマ混合の交換会に本ものとして出品され
本ものとして売買されていたのを目撃したのです
出品していたのはベテランのセミプロでしたが、私の見たところ故意ではなく
本ものと固く信じていたようです
しかし、この悪意がない、故意ではない、が始末が悪い
偽ものはどう転んだって本ものにはならないんですから、買った人が一方的な被害者になることが多いのです
ましてや、アマチュアの方だとはたから見ているのが辛いですね
みなさん、とにかく勉強しましょう
このように画像を見せられて「本もの?それとも偽もの?」と問われた場合はわりと冷静に判断できますが
売店などで、買う気で実物を手にしたときは、案外気がつかないのですよ
(そこには本もの?偽もの?とは書いてないのですゾ)
やや安めの価格が表示されていたりして、売り手の巧みな話術が後押しして
案外にベテランでも引っかかることが多いんですね
ちょっと見の姿は、東福寺
釉薬の種類からは判定しにくいのが東福寺です
ちょっとでも違和感を感じた人は鋭い感覚の持ち主ですよ
東福寺は作風が多彩で、こんなのもあったのか
ということもしばしばです
ご指摘の通り、縁の部分に力が感じられませんね
作者の手捻りの指の圧力のようなもの、それが感じられるのが本ものの東福寺鉢なのです
鉄さびのような不自然な時代感
鉢底には時代感はつきにくいので、「つけ時代」の施されている鉢には前もって要注意
この画像に疑問を解く鍵が数多くあります
1 鉢底の土の質感が弱い
2 足のつけ方がやや手のろいギクシャクした感じ(かなり本ものに似ているのですが)
3 このハンコウ落款はもっと外側に捺されている場合が多い
4 鉢底の不自然な引っ掻き傷も気に入らないですね
5 穴に圧力や手作りの痕跡が感じられない
東福寺鉢の釉薬は足まで施されている場合と、足の部分は生地のまま
その二通りがあるので、その部分からの判断はしにくいが
手捻り丸鉢の場合、ほとんど足の部分に釉薬は施されていませんね
外見はごまかせても隠すに隠せないのが「土」
投稿者の中で「土が死んでる」というメールを下さった方がいますが
まさにその通り、ペッタリした弱々しい印象ですね
鉢の鑑定で一番大切なのは、「感じ・印象」
真贋を見分けるコツの第一は「第一印象で見分ける鋭い感覚を磨く」こと
1 ものをよく観察すること
2 感覚を磨くこと
3 いい先輩や指導者をもつこと
そんなことを心がけて、しっかり勉強してくださいね
盆栽趣味の楽しみが倍増します
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