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2011年8月2日火曜日

けやきの芽摘みと葉切り(重要ポイント3)

雑木盆栽として不朽の人気を誇るけやきですが
やはり代表的な雑木樹種の山もみじや楓などのように、持ち崩した場合のやり直しが難しい

もみじや楓などであれば、枝が荒れてしまっても
いちど素材にもどしてボディーの骨格からの再出発がききますね

ところがけやきの場合は、まったくの不可能時ではないけれど
素材にもどしての一からの再出発は、かなり難しいことになります

ですから、けやき盆栽の場合は、育てる途中での停滞や曲折はなるべく避けて
そのかわり、いっぺんに急激な飛躍も望まず、冒険もせず、安全第一の培養管理を心がけるのが最大のコツであるといえましょう

そんなわけで、けやきの芽摘みと葉切りについては5月30日に詳しくご説明しましたが
みなさんが失敗のないように、さらにクドク念を押しておきましょう



程よく伸びて、芽摘みと葉切りの時期がやってきたようです

春の植替え後の生育が順調なので、平均して月に2回くらいの割合で芽摘みと葉切りを繰り返してきました
このけやきの前回の芽摘みと葉切りはちょうど2週間前でした

前回5月30日の項で、芽摘み葉切りは月に1回ほどと申し上げましたが、順調な樹勢のものにはとても足りませんね
樹勢のいいものでは月に2回くらい、とここで訂正しておきましょう


芽摘みと葉切り作業が必要になったけやき、上部から見ます

どの枝先からも平均して芽が伸びていますね
根がどの部分においても、平均して順調に活動していることを示しています



芽摘みと葉切りのポイント1

伸びた新芽をよく観察すると、枝元のすそ(元)にやや小さめの葉が1~2ツついています
芽摘みをする場合に1~2節残して切る」といわれますが、初心を脱して中級になった方は

少なくともこのすその葉(元っ葉)の1節目は
その勘定に入れない方がよろしい

というのは、新芽の1~2節のすそ葉(元っ葉)の部分は、節間が極端に短いので
教科書通りに1~2節残しで摘むことを繰り返しいると、同じ場所に芽がたくさん吹きすぎて、そこがゴツクなってしまうからです



ですから、1節残しで摘むという場合でも、最初のすそ葉(元っ葉)は勘定に入れずに
図のように2節を残します



最初のすそ葉(元っ葉)は全部切り取る
1節目(じつは2節目なのだが)で切り、残された葉の面積を3~4分の1くらいに葉切りする

そこまでご説明すると、かならず以下のご質問を受けます
「1節目(じつは2節目)で摘んでいくと、一年間ではかなり伸びてしまい、樹髙はどんどん大きくなっちゃいますが、どうしたらいいんですか?」

これは当然の疑問ですね

その回答は、樹髙の短縮は落葉時の剪定で本格的に調整すると覚えて下さい
その時に具えて、活動期に新芽摘みや葉切りによってフトコロ芽を元気にしておくわけです

よろしいですね



芽摘みと葉切りのポイント2

芽摘みはハサミだけで行なわず、必ず空いた片方の手指も使って行なう
新芽は真っ直ぐに上に伸びているとは限らず、横や下を向いている芽もあります



空いた片方の手指も使って
もぐった新芽をフトコロの奥から引っ張り出して、ていねいに行ないます



芽摘みと葉切りのポイント3

ちなみに、このように各枝先によって伸び方が不均衡なものは、根の強弱が激しく各部署が均等に発達していない証拠なのです
来春の植替え時に、強い根は制御し、弱い根は発達を促すように、しっかりとして根さばきをしましょう



さて、一箇所に芽が混んで、おまけに極端な徒長枝があり、落葉後の剪定まで待てません
そんな時にはハサミを使わず必殺技!

ハサミを使うと切り口が盛り上がって瘤状になることがありますから
下に向かって裂くように力をいれて皮ごとむしり取る(傷口が凹みますね)



現在の姿

5月から8月までにどのくらい成長したか、培養の成果を画像で見比べてみましょう



5月頃の画像

芽摘みと葉切りの成果は顕著ですね
芽と葉の数が圧倒的に増えています



最後に、芽摘みと葉切り作業前と作業後の姿を並べて比較してみます

葉の量がかなり減りますね
ということは、芽摘みと葉切り作業によって、樹勢がかなり制御されていることがわかります

ですから、作業のいろいろなポイントはもちろんですが
水やりと施肥を中心にした適切な培養が一層求められます(安全第一の培養管理)

けやきの芽摘みと葉切りはおおよそ9月の中旬まで
あと1ヶ月とちょっとですね

落葉後の大きく出世した姿を楽しみにして
もうしばらく頑張りましょう

2009年5月15日金曜日

ぶなの芽摘みと葉切り2

芽出しの不揃いだったぶなに
頭頂部ふきんの予備的な芽摘みをほどこしてから一週間

やっと全枝の芽が揃いました
やはり第一段階の予備的作業は大切ですね

ちなみに、ぶなは雑木の中でも葉刈りを行わない樹種ですから(芽が揃わないなどの理由)
今日の作業をしっかりと覚えて実行してください


それでは全面的な芽摘みと葉切りの作業を始めましょう
要領はもみじの場合と同じです


1芽か2芽を残して、その残した葉を画像のように切ります

注意点

山もみじ楓などは1節から左右に一対の芽が生じる対生ですが
ぶなは1節に1芽が交互に生ずる互生ですね

よって、もみじや楓のように「片葉切り」の作業は行いませんし
またやりようもないということですね

ともかく、芽摘みと残した葉の表面積を減らすための葉切りをしっかりと行いましょう


作業途中

力をつけて太らせたい芯はそのままにします


芽摘みも葉切りも行わない「芯」


作業完了(一と二の利き枝ももう少し太らせたいのでそのままです)

フトコロに十分な日光と風が入って内側の芽に元気が蘇ってきます
また葉切りによって水揚げが制御され、真夏の葉やけ防止にも役立ちますね

2009年5月9日土曜日

ぶなの芽摘み葉切り1

もみじ、けやき、楓などとともに代表的な雑木樹種のぶな

ぶなの原生林などで知られるように非常に強壮で樹齢が長く
雑木盆栽としては珍しく男性的な雄々しさがその特徴です


ぶな(取り木) 樹高18cm

今日の教材は,
親しい友人の同業者が10年ほど前に大物盆栽の頭を取り木したもので
小品界においては、ぶなの逸品は皆無といえる現況に挑んだ意欲ある作品です

骨格を作り上げていく過程で太りを促すためやや徒長ぎみに仕立て中でしたが
今年から本格的に枝先を追い込み小枝の完成を目指す計画です

取り木による逞しい根張り、堂々たる立ち上がり、整った枝順など
18cmの小品サイズでは稀に見る素質に恵まれ、大木感あふれた姿が魅力です

さて、ぶなの芽出しは雑木類の中ではもっとも遅く
4月下旬になってやっとほころんでくることも珍しくありません

このぶなも昨秋の大幅な追い込みをかけたため
それまで勢いのよかった頭頂部を中心とした部分から芽出しが始まりました


頭頂部付近の芽出しの様子
芽出しの順に1~2芽を残して摘み取りましょう
(頭頂部はなるべく1芽を残して深めに)


ぶなの芽先は他の雑木に比べて太くてしっかりしているので
ピンセットもしくはハサミの先端で摘み取ります


芽出しの順序ががバラバラなので
とりあえず早い芽先だけを大雑把に摘んでおきます

他の遅れている芽の動きを促進する効果がありますから
本格的な芽摘みと葉切りの前に、あらかじめこの作業をやっておいてくださいね

つづく

2009年4月30日木曜日

山もみじの葉透かし葉切り

不朽の人気を誇る山もみじ
雑木盆栽の王様といっても過言ではありません

しかし、これほど親しみのある樹種なのに
培養面、とくに本格的な小枝作りは案外にむずかしく、盆栽人の永遠の課題ともいえましょう

春の芽だしの芽摘みが済んだと思ったら
もう葉透かしと葉切りの時期がやってきました

過去のつれづれ草で何度も紹介しているので
それらと併せてご覧下さい

            


春の芽だし時に一節残しで芽摘みを行い
第一段階として基本どうりに片葉を取り除いた状態から始めます

一対の両葉をつけてままだと、もっともっと葉が覆いかぶさったじょうたになりますね
しかし、片葉を透かしたいまの状態でも、やはりフトコロ芽に十分な太陽と風があたりません


下方よりフトコロをのぞいて見ます
フトコロをもっと明るくして日と風が入るように、作業開始です


山もみじの葉


葉の面積の約四分の一から三分の一を残して切ります
ただこれだけの作業ですから、ともかく根気だけが勝負


途中で頭部付近の前枝がちょっと長すぎるのが気にかかりました
葉透かしと葉切りにより明るくなったフトコロ、剪定も兼ねられてとても有効です


作業終了
いかがですか、まんべんなく葉切りがされていますね

フトコロの中まで日と風が入り易くなったので
胴吹き芽が生じやすく、またこれまで眠って動かなかったフトコロ芽も成長できる条件が整いました


葉落ちのときのサイズはわずかに7.5cm

どうです、明るくなったでしょ
こうやってフトコロの小枝や芽を守ることが、盆栽をいつまでも小さいなサイズに保つための必須条件ですよ


作業終了全体図

この葉透かしと葉切りにより、小枝の先に集中しがちな勢いを制御してゴツクなるのを防ぐとともに
フトコロ芽に活気を与えます

ですから、この作業を行ったものには葉刈りの必要はありません
そのため、ウドンコ病の心配もなく、非常に有効な手入れといえましょう

根気さえあれば簡単ですね
必ず実行してくださいよ!

2009年4月9日木曜日

もみじ芽摘みと片葉切り

早春からの植替え作業がまだ残っているのに、月日は容赦なく桜も満開を過ぎて
ムロ出しが終わったと思ったら、早くも雑木類の芽摘みの最盛期になってしまいました

アフー、盆栽人は一年中忙しい!

もみじ類の芽摘みについては、過去のつれづれ草でも詳しく触れていますが
ともかく芽摘み作業は雑木類のとってはもっとも大切なことなので、今日も軽く触れておきましょう

過去の手入れはこちら  1   2   3   4 



樹齢は約20年で樹高8.0cmのミニサイズの山もみじ
今年の早春に植替えました

長い持込により、枝先もかなり落ち着いてきたので
枝先を少しずつ追い込み、繊細さを目指す段階になってきました

そのためには、勢いが内側のフトコロ芽に向うように
外側の芽をしっかり制御しなければなりません



先端の芽がほぐれ始めて葉にならないうちに、ピンセットで摘み取ります
残すのは原則として1芽、伸ばしたい芽や勢いのない芽のみ2芽を残します



ハサミで切る段階では遅すぎです
ピンセットで軽く摘める時期に行います(必須)



最初の芽摘みから2日が経過
たった2日間でも芽の状態はかなり進んでいますよ



見落としがないように、枝全体をくまなく摘みます



残した1芽には2枚の葉がついていますね
その片方の葉も摘んで、枝の先端に勢いが集中するのを防ぎます(片葉切り)



この作業により、眠ったままのフトコロ芽が吹っ切ってきます
追い込みにはこの短いフトコロ芽が重要な役目を果たしてくれます

さあ、大急ぎで芽摘みをしよう!!

2008年8月14日木曜日

五葉松の古葉切り

松柏類の中でも特に手のかからない樹種の五葉松
しかし、これだけはやってもらいたい手入れが9月から11月にかけての古葉切り

この古葉切りは樹勢や目的に応じておこなうので
そのあたりの見きわめをしっかりつけておきます

1 樹勢のいい若木は早め(9~10月)に行う
  (フトコロ芽の保護と枝先を過度に太らせないため)
2 若木でも樹勢の落ちているものは、古葉の全部でなく半分だけ切り取る場合もある
3 とくに肥培を目的としている若木は、一年おきに行う場合もある(葉が多い方が太ります)
4 小枝が密で芽数の多い場合、フトコロ芽の蒸れを防ぐため必ず行う
5 樹勢の安定した完成木は晩秋から冬にかけての冬眠期に行う
6 過度に芽の混んでいる箇所には、適度に目抜きも併せて行う


作業前

注1)樹勢のいい木は古葉と新葉の境目が見えにくい場合があります
しっかりと見きわめながら作業をしてください

注2)大盆栽の場合は、晩秋から冬季にかけて古葉を指先でむしりとるのが一般的な方法ですが
小品の場合は必ずハサミで切り取るように
五葉松は黒松類と違って二番芽が吹きにくいので、一芽一芽をより大切にしなければなりません


作業後


新葉と古葉の区別がつきにくい作業前の状態
古葉の方がわずかに色つやが劣るようですね


古葉と新葉の境目が見えてきました


古葉の元を2ミリ前後残してきります(重要)


わずか数対の古葉を残した状態

この状態で作業を完了する場合もあります
それは、新葉がやや少ない場合、葉数を急激に減らすと根とのバランスを崩す恐れがあるからです

それでは新葉を傷めないよう、作業はくれぐれもていねいに

2008年5月12日月曜日

獅子頭・芽摘み・葉切り

これからが手間がかかりますよ
作業は次の段階に進みます



図のように4枚のうち、残された1枚の葉もハサミで切って面積を大幅に減らします
この作業を全体に行うのです、根気が要りますよ



作業前の画像と比べてみましょう
全体の葉の数はもちろん、葉の面積はおおよそ十分の一くらいになるでしょう



頂上付近の拡大図

この作業の効用

1 芽の先端の勢いを抑え、枝先の繊細さを促す
2 日当たりと風通しがよくなり、フトコロ芽の蒸れを防ぐ
3 眠っているフトコロ芽を活性化して芽数をふやす

ともかく雑木盆栽には必須の作業です
必ず実行!

さらに、作業後にフトコロ芽が目覚めて伸び始めたら
再び同じ作業を繰り返すことも忘れないように

では

2008年5月9日金曜日

獅子頭・芽摘み・葉切り

もみじ類の春の手入れ、芽摘みと葉切りについては
過去の盆栽つれづれ草で詳しくご紹介していますね

もみじ類ではもっとも重要な作業なんですよ
みなさん、しっかり実行していますか?

さて、今日はもみじ類の中の獅子頭もみじを教材にしてやってみましょう

獅子頭も山もみじと同じ方法で行いますが
芽先がツンツンと徒長しない性質のため、徒長しているのをつい見過ごしがちなのです

それでわざわざ山もみじと区別して取り上げました


春の芽出しからやく1ヶ月が経ちました
葉陰に隠れたフトコロ芽はもう1ヶ月も日に当たっていないことになります

当然風通しも悪くなっていますね、今月一杯には必ずやること
やらないと、あなたの獅子頭はフトコロ芽が弱って、メチャメチャになっちゃいますよ!


作業1 芽先の伸びにくい獅子頭でも、よく観察して1~2芽を残して摘む(切る)


作業2 残された1節の片葉を切り取る


芽摘みと片葉切り終了
葉数は二分の一以下になりました

獅子頭は葉が縮れて小さいので、かなり面倒ですが
根気よく一芽一芽整理していきます

作業は次へ続きます