2009年9月30日水曜日

黒松芽切その後Ⅱ

8月21日のつれづれ草でご紹介した黒松

8月20日撮影の↓の写真では、葉の伸びがイマイチ

そこで9月8日の液肥の裏技でご紹介したようにとっておきの裏技やら置肥やら
また葉水もたびたびやるなど努力のおかげで、2枚目の↓の写真のようにほどいい長さに揃いました


ごらんください、この姿が8月20日の撮影

この時点では芽の伸びはイマイチで、正直ハラハラドキドキ
今年の鑑賞期(秋~冬)は、ちょっと見栄えがしないな、と内心あきらめていました


ところがいかがです、これが今日(9月30日)の姿です
樹高22cmに見合った葉の長さで葉の力強さもツヤも申し分ありません

上下2枚の写真を見比べてください、まるで別物にさえ見えますね
まったく黒松はきれいに葉が揃った姿にはかないません


さて、そこで手入れのことも少々

夏の芽切(短葉法)をやったときに残した古葉を透かしましょう
いつもお話しするように、ピンセットで抜かずに、必ずハサミで古葉の元を1~2mm残して切り取るのが正しい方法ですよ


全体に古葉の透かしが完了したら、こんんどは芽抜きの作業
3芽以上の芽が吹いている箇所にハサミを入れ、2~3芽を残すように整理します


左右の小枝の先端を2芽ずつに整理
この作業を下枝から芯の先端に至るまで、しっかりと行います

これにより、フトコロの奥まで日と風が入り
かくれ芽に力がつき、来春の芽吹きにいい影響を与えてくれるのです

さあ、実行!!

2009年9月16日水曜日

フリースクール速報・黒松

今日の速報はヒナさんの黒松で、樹高19.5×左右29cm
1987年に手に入れたというから、22年もの長い間ヒナさんに可愛がられてきたとになります

申し訳ないことに私は忘れてしまっているのですが、私の店で買っていただいたものだそうで
ヒナさんは几帳面な方でしっかりと記録を録っているので間違いなしです

そこでまずヒナさんの作風はというと、几帳面で真面目な方らしく枝順など基本に忠実で
ときには拘りすぎて損をする場合もあるようですが、そのあくなき改作意欲は目を見張るものがあります

ですからヒナさんは完成に近づいたものでも、妥協せず一から出直すこともしばしばで
キャリアが長いわりには仕立て中というイメージの盆栽が多い印象です

今日ご紹介するのは、そんなヒナさんの棚の中では珍しく(?)ほとんど完成の域に達した黒松で
短葉法の施術の時期ピッタリ合い、太く短い締まった葉がそろってとてもきれいです

またまた理想を追い、さらに手を加えるところを探したい雰囲気のヒナさんでしたが
今回ばかりば、たまには手を入れないで一冬の間ゆっくり鑑賞するよう、かき口説いた次第です


2003/10/05撮影

几帳面なヒナさんの当時の改作時の画像です
足元のしっかり感、木肌の古色感など、現在の姿と比べると貫禄に格段の差がありますね

三つ又に分かれていた一枝の真ん中の芯を抜き、残された外側の左右を針金で寄せる作業後の姿
この施術により現在のしまった一枝の基礎ができあがりました


現在の姿

秋の葉揃えもしていない段階でこの完成度です
22年間の苦心が一気に報われたこの姿、感動ですね


やや下方から枝張りのようすがわかります
細かく分岐した枝にご注目、やはり長年の丹精にはかないませんなー


どっしりと大地に根を下ろした足元の力強さ
長年の持込による木肌の古色感もみごとですね

2009年9月15日火曜日

フリースクール速報・真柏

この「盆栽つれづれ草」を愛読して下さる全国のファンのみなさまに
月に2回の盆栽フリースクールの速報をご紹介しましょう

成功談も失敗談も交えて率直にご紹介し
愛する盆栽に果敢に挑戦する生徒さんの姿勢に、温かいご声援を頂きたいと思っています

そこで、一番バッターはマユちゃん、チャレンジするのは今春から愛培するところの真柏ミニ(樹高8.0×左右12cm)
マユちゃんがこの真柏を希望したときは正直、「大丈夫かな?」と「ありゃ、けっこう見る眼あるな!」との両方の印象でした

マユちゃんはご主人のベーくんとご一緒に通っている女流愛好家で
ベーくんが真柏大好き人間なので、その影響か、それとももしかして対抗意識もあったのかな、なんて思っちゃいました

ちなみにこの「フリースクール速報」では、盆栽屋.comが勝手につけた愛称で生徒さんをご紹介するつもりですが
もちろんご本人の了解は得ていません(笑)ので、なにとぞ事後の承諾をお願い致します



今春手に入れたときの画像、樹高7.0×左右10cm

もっこりと盛り上がった根元がまるでサザエのよう
その立ち上がりに動きもあり迫力十分

根元の塊とそこから立ち上がった幹筋のまとまりがいい
全体の姿がこれほど調和のいい真柏の太幹ミニは、なかなかお目にかかれません

ボディーに見合った枝作りがこれから始まる段階の素材なので
一番作りがいもあるし難しいともいえます

とにかくこの命を元気よく育ててやるのが、名品へ道の第一段階なのは当然のことですが
危惧されたその使命を、超初心者の「超」がやっと取れたばかりの盆栽歴数年のマユちゃんは、みごとクリアーしました

↓のように鮮やかな葉色がまぶしいほど
毎日の水やりは施肥など、基本的な日常管理は合格です

さて、これから針金をかけて
整枝整形に挑みます



整枝整形にあたり、この逞しい根元のウネリを活かし
立ち上がりから芯にいたるまでの幹筋に緩みのないよう、ダイナミックな構想を描きながら作り込みましょう



初心者のマユちゃんにとって、針金かけは難しそう
「慌てない、急がない」ことが肝心です

また初心者は針金を緩めにかけるようにした方がいいでしょう
きつく巻いて枝葉を傷めるより、少々見栄えは悪くとも、実質の方を優先させるのが得策ですね



作業完了

まだ向って右奥の枝葉が少ないので、スケスケの部分がありますが
針金かけによって将来の輪郭線が見えてきたので、男前がグーンとあがりましたね

この段階で樹高8.0×12左右12cmです
左右はもう1.0~2.0cmのビルでしょうが、樹高サイズは8.0cmで完成させます



伸ばすところは伸ばし枝葉がさらに繁れば、2年ほどでこのような感じになるでしょう
そのためには初心を忘れず、毎日の基本管理に精を出すことです

また、真柏の醍醐味であるサバやシャリは枝葉の充実を図りながら、この後に徐々に行っていきます
完成への道のりはまだまだ彼方ですが、十分に楽しますね

男性陣も負けてはいられませんぞ!
掲示板に感想くださーい!

2009年9月8日火曜日

液肥の裏技

今年は冷夏のため、短葉法で芽切をした黒松の葉の伸びが思わしくない
晩秋から冬にかけての鑑賞期にむけて、松柏類の葉色がちょっと冴えない

そんなみなさんにとっておきの「裏技」をご紹介しましょう

工夫しだいで思わぬ「裏技」を発見できますが
今日は、08/31にご紹介した液肥(ハイポネックス)を使っての裏技、抜群の効果が期待できますよ

液肥は如雨露などで水やり感覚で鉢に施すのが普通の常識ですね
ですから小品盆栽の場合、バケツなどに液肥を入れ、そこへドボンとつけ込むという発想までは誰でも到達します

が、そこから一歩突っ込んでこそはじめて「裏技」の域に達するのです



満タンで100リットルも入る大型水槽に、50リットルの2.000倍に薄めたハイポネックス溶液を作り
盆栽を浸して約数時間、たっぷりと液肥を吸わせます

黒松や真柏、杜松の葉は、おおよそ9月いっぱいは動いていますから
いまがラストスパートの時期です

如雨露で施した場合は鉢外にも流れますし、次の水やりでかなり薄目られてしまいますが
根を浸して数時間吸わせてしまえば、吸った栄養分は流れ出しませんね



寸法の小さいものは頭まで水没(笑)してしまいますが、数時間なら気にすることはありません



水浴中の盆栽たち

さてここでこの裏技の注意点

・元気の悪い盆栽は避ける
・徒長を嫌う雑木類もやめましょう
・松柏類でも葉の徒長を嫌う五葉松などはお勧めできません

では、今なら間に合います
急いでチャレンジ!!