ラベル 豆鉢 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 豆鉢 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2005年6月7日火曜日

木黄・宇野合作

小品盆栽鉢の世界には、いわゆる合作といわれる名品が数多く存在します
戦前の植松陶翠と品野茶山、戦後の平安香山と同じく品野茶山、月之輪湧泉と清風与平等々
小鉢史上に燦然と輝く名作が揃っています

合作鉢は、作品それ自体の楽しさと同時に、作家同士の交遊の証を垣間見ることができ
小鉢界の知られざる歴史を語る資料としても非常に貴重なのです

また、佐野大助の作品はすべて合作とも言えます
ということは、佐野大助は原則としてはボディーを作らず、絵付けだけに専念したからです

ところで、ボディーも絵付けも得意な木黄鉢にも希少な合作鉢が存在します
宇野登という、その道ではちょっとは知られた趣味性の強いボディー作りの名人がいるのですが
その作品に木黄が絵付けをしたものがあります

ほのぼのとした新鮮な色彩感覚の木黄の絵画
柔らか味のある宇野のボディー

その両者の個性があいまって非常に雰囲気のある詩情溢れた作品となっています
強い個性同士の相性がよかったのでしょう、新鮮味のある名品です


木黄画 五彩絵付外縁隅入長方鉢

宇野登のボディーに木黄が五彩画を施した合作珍品
二人の合作シリーズは僅かな数が確認できますが、その中にあって最高レベルの作柄を示す名品といえましょう



木黄のほのぼのとした五彩画は、さわやかな色図使いとリズミカルな筆のタッチが印象的です



趣味人・宇野登のやわらかな線が見どころのボディー



水彩画を見るような新鮮な色使い、のどかですねー









側面に金彩で木黄の為書きが記され
鉢裏のには宇野登と木黄との落款があります

2005年4月13日水曜日

鉢は出世するのか(鉢の時代感について)

盆栽を見て「うーん、これは将来よくなるね」という言葉はよく聞きますね
成長する植物では当然のことですが、それでは盆栽鉢は将来よくなるのでしょうか

結論をいえば、よくなるのです

盆栽鉢の世界においては、何にもまして「時代感」が尊重されますから
長年の上手な使い込みにより古い趣が滲み出て、これはと思うくらいに観賞価値が上がるのです

例えば、同じ鉢作家の同じタイプの作品であっても
時代感の優れたものは数倍の値段ということも稀ではありません


やや20年ほど前に製作された伊万里焼の小鉢一対
向かって右の鉢はいくらかの年月使用された痕跡はありますが、左のものはまったくのサラ(新品同様)

↓を見てください




同じサイズでタイプも同じ鉢、おそらく20年くらいはタップリ使い込んだと思われます
温度の高い磁器がこれくらいの「時代感」に到達するのには、それくらいの年月が掛かるでしょう

白磁の表面のあでやかさが深く内に秘められ、絵の釉薬も落ち着いた光沢を放ち
なんともいえない古雅の味わいが出ています




新品の鉢を手に入れたときには、実際に盆栽を植えて使うことが理想ですが
そうでないときは、室内にしまっておかずに、戸外の棚に置いて日光に当て、盆栽の潅水時に水をかけてやりましょう

そのままでもいいし、草を植える人もいますし、ただ土だけという人もいます
とにかく自然の雨風や日に当てて2年ほど棚に置けば、表面に水垢がついて落ち着いた雰囲気が出てきます

ですから鉢作家によっては焼き上がった自らの作品を
戸外で「培養」している人もいるくらいですよ

みなさんも実行してください
ただし、傷をつけないように厳重注意です

2004年10月27日水曜日

青閑十六景・完成まじか

盆栽小鉢史上最も有名な小鉢セットに竹本十六景があります
竹本鉢を16揃えてセットです


親しい愛好家の方に、この青閑の豆鉢の三点セットを買っていただいたおり
竹本十六景にちなんで「青閑十六景」をつくりましょうよとの話が出て
お任せしていただきました


とはいえ、作柄のいい豆鉢だけ集めるのもけっこう大変でしたが、やっと15鉢揃いました


セットをつくるときの注意点は「テーマ」をはっきりさせること
十六景というからには単なる16鉢ではおもしろくない

1 大きさが大体揃っていること
2 形、色彩、イメージなどがバラエティーにとんでいること
3 そして全体で調和と変化が感じられること

そんなことを念頭に入れて集めましたが、この段階ではやや大きさが揃いすぎていますね
十六景とは単なる十六鉢の羅列であってはつまらないのです


左上の丸の背の高い鉢を入れてみました
このようにタイプの違う鉢が入ると、とたんに変化が出ます
これで16鉢揃いました

だがここで簡単に満足してはいけません
よりよい十六景にするためにはもう少しの辛抱と努力が必要!


気が付くと染付け鉢が入っていませんでしたが
先日おあつらえ向きの染付け鉢に出会えました、ホッ


これで17鉢、後から加えた2鉢が全体をイメージアップさせたことは一目瞭然
もうひとがんばりです


後列左から二番目の「トンボ」の図柄のやや大きめの鉢も入れてみました
これで18鉢、かなりテーマに近づいてきましたね

しかし、私としてはもう少しカラフルな装いを求めています
濃い緑や黄色や赤が欲しいですね

とにかくあと5~6鉢のいいに巡り会えるまで待ち
全体のバランスを見ながら慎重に取捨選択するつもりです

完成したらまたお目にかけましょう
楽しみにしていてください

2004年7月24日土曜日

中堅作家再発見

かなり以前(15年くらい)に間口3cmほどの正方の四面に文字を書いた豆鉢を手に入れました
たしか5,000円だったと記憶しています

鉢裏に(木黄)と釘彫りの落款がありましたが、どう読むのかもわかりません
でも、磁器の生地といい、淡い色調といい、とても静かな雰囲気で気品が感じられました

そのまま小さなウインドケースの中へ入れ、他の小鉢と一緒に楽しんでいたところ
親しい同業者が目に付けて「ほーッ、モッコウさんの鉢があるじゃないの」ということで
木黄(もっこう)という豆鉢作家を知ったのです

数を手がけてみると、その鉢作りの技巧はかなり精密で高度
また施された文様やデザインの文字なども気品に溢れ、なみなみならぬ人物であることが推測されます

東京を中心にした豆盆栽愛好家のなかでは地味ながらそれ相当に知られた作家ですが
このままではもったいない、もっと全国の豆鉢ファンにも知っていただきたい、と強く願っています


木黄作 染付丸鉢

唐の大詩人、李白の「将進酒」という詩の一節を引用し、デザイン性を強く意識して書いています

君不見黄河之水天上来 奔流到海不復回
(君見ずや、黄河の水天上より来たり、奔流海に至りて復た回らざるを)

染め抜きの達筆な文字とその変化にとんだ配列が、藍色の地に映えてみごとな絵になっています
木黄ならではの気品あふれた作品

豆鉢のわずかな空間にスケールの大きな詩文を書くことにより
無限の世界を意識させ、ロマンのある作品となっています


文字の大小や配列が巧みですね
この豆鉢のデザインとして鉢と一体化しています


天の文字を強調してポイントを作っています


木黄書の署名が見られます




木黄作八角鉢
濃い呉須の地に、各面に文字を染め抜いた気品のあふれた作品


木黄作 染付六角鉢

六面に篆刻文字をあしらいみごとな格調の鉢に仕上げています
木黄の持ち味が遺憾なく発揮された格調高い作品

2004年7月11日日曜日

町直・豆盆五景

つれづれ草、しばらくご無沙汰してすみません
更新の途絶えた訳は、生活のリズムを変更したからです

詳しくお話しすると、私は早朝につれずれ草を書いていました
ところが、この三週間ばかり前から、早朝に散歩(歩行訓練)を始めたのです

HPを開設してから以来、週に5日くらいは励行していた散歩を怠けるようになり
最近、かなり足腰が弱ってきているのがしきりと自覚されていたのです

情けない事に、足は細くなるはお尻の肉は削げ落ちるは、おまけに息切れはするし
これじゃ、長くは持たんワイ

ところが、生活のリズムという奴はデリケートなもので
他の時間帯では、つれづれ草に集中できないのです、これにはまいった

というわけで、これから少しずつ調整していきます
よろしく

-----------------------------------------------------------------------------------

私が20代の中ごろ、洗足池のほとりの風致会館で、何度か今岡さんにお目にかかったお話はしましたね
それ以後の作品と思われる楽しい豆鉢のセットを手にしました
みなさんと一緒に鑑賞したいと思います


今岡町直作   銘 「豆盆五景」

箱の寸法は間口15.4×奥行き4.3×高さ5.4cmです
小さいですよ

箱は桐製の上等品で、手前の色変わりの箇所は紫檀をかぶせてあり
下段には紫檀の組み立て式の卓台と地板が収納されています

華麗多彩なこの豆鉢セットには、明治の名工・竹本隼太と
大正昭和の名工・平安東福寺の影響が色濃く見られます

めったに共箱を作らない町直ですが、よほどの自信作であったのでしょう
まさに町直豆鉢の集大成とも言える究極の作品です


前面の框(かまち)に紫檀を施した高級桐箱


蓋の裏書
町直の署名入りの共箱は珍しいものです


付属の紫檀地板に飾った姿


金彩六角鉢
間口1.9×奥行1.9×高さ1.6cm

六角鉢にあでやかな金彩を施した町直の感性はさすがです


白磁正方鉢
間口17.×奥行1.7×高さ1.2cm

竹本ばりの白磁、生地も繊細、釉薬も透明感があり秀逸です


梅花皮(かいらぎ)長方鉢
間口2.2×奥行1.8×高さ1.3cm

「かいらぎ」とは、鮫皮のことです


桃花紅長方鉢
間口2.2×奥行1.8×高さ1.3cm

町直はこの釉薬を桃花紅と表現していますが、辰砂釉としてもいいでしょう


飛び青磁正方鉢
間口1.8×奥行1.8×高さ3.5cm

白磁に青磁釉を散らした奇抜な意匠です

2004年4月28日水曜日

薩摩焼豆鉢考

豆鉢の歴史は、江戸期における雛飾り用のミニュチュア鉢(造花用)を
豆盆栽に流用したのが始まりだといわれています

また大名が参勤交代の折に、籠の中にしつらえた棚に造花を飾って無聊を慰めた、ともいわれていて
小指の先ほど、直径1cmくらいの豆鉢も存在します

いずれも大名や大身旗本などのあいだで流行したものですから
ミニュチュアといっても一流の陶芸師によるレベルの高い作品ばかり

豆盆栽の先覚者といえばなんといっても
旧高松藩の12代の殿様であった松平頼壽伯爵(国風盆栽会初代会長)

松平伯爵をはじめとした豆盆栽の愛好家達は
旧お庭焼(藩お抱えの窯)の窯元などに豆鉢を注文しています

薩摩焼や伊万里焼、尾張焼、九谷焼などがその代表的なものです

こうゆうわけで江戸期や明治期にかけての豆鉢が
現在に至るまで盆栽界に伝えられているのです

頼壽公遺愛の豆鉢も現在に伝えられていますが
まさに盆栽界の宝物です

日本人のミニチュア好みは今に始ったことではなく
大名諸侯にいたるまでの、昔からの伝統的な嗜好なのですね


薩摩焼色絵六角豆鉢

この小ささ、この色彩、かわいらしいの一語に尽きます

最近まで著名な豆鉢コレクターの窪寺一郎氏の所蔵品であり
昨年の近代盆栽誌上(11月号」において詳しく紹介された珍品の珍品です

この豆鉢は昔からコレクターの間で、それと知られた作品でしたが
薩摩焼の豆鉢はその数が少なく、窪寺コレクションの中でもひと際異彩を放つ作品でした

江戸末期の雛飾りのミニチュアとして制作されたものと推定されます
ゆっくりと鑑賞してください


冒頭でおはなししたように、大名家の雛飾り用に作られ、造花を植えて飾られたものを
明治になって豆盆栽の先駆者達が盆栽鉢として転用したのですね



大名家で使われたものだけに、形、絵付けとも優れた装飾性が感じられます
紅白の椿を表裏に描いています


100年以上の歳月を経ても釉薬の色艶は冴えていますね




使い込みの味、時代感も抜群です
おそらく実際に豆盆栽を入れて使用した期間も長かったのでしょう