2003年4月30日水曜日

展示会の裏がわ

盆栽展示会の裏側(準備段階)は非常に混雑しています
搬入日に業者がお客様の出品物を持ち込みます

搬入された盆栽は次々に写真撮影されます
影が出ないように反射用の傘が一席に4台くらい設置されています
盆栽の写真撮影はたいへん難しいそうです

1)

展示段階になります
盆栽は一応事前に決められた席に置かれますが
これからが大変です

展示会の雰囲気を盛り上げるために、作品の大幅な入れ替えがなされます
同じ大きさのものや同一樹種が隣同士にならないようにしたりして
会場全体の演出をします

これが案外に骨の折れる作業です
盆栽をただ順番に並べればいいというわけにはいきません

2)

2)は一応並べた段階です

藤が季節感をかもし出していますが、松柏類が多く色彩感が足りません
これからの展示物の入れ替えを待っているところです
このような場合、会場に彩りを添えるために「草物盆栽」も重要なポイントになります

みなさんも地元の展示会を行う場合の参考にしてくださいね

2003年4月29日火曜日

緑風盆栽展より

展示会というと、自分の持ち物に比べて展示物が立派過ぎ
観るのは楽しいけれど、一面惨めな気持ちにもなる
そんな方もいらっしゃいます

中には「買ってすぐに展示会に出すのは邪道だ、ほんとうの趣味とはいえない」
「自分で何年も育てたものを飾ってこそ意義がある」
なんて議論を言い出す方もいます

とりあえずそういう意見や議論はそれぞれの考え方にお任せするとして
素直に盆栽を鑑賞する姿勢こそ大切です

どんなレベルの高い展示会でも、じっくり鑑賞してみると
自分の持っているものだって
鉢さえあわせさえすればとか、あと数年持ち込めばとか
とにかくもう一息がんばれば追いつけそうなものにお目にかかれます

そうすると勇気とやる気が出てきます
萎縮した気持ちや劣等感を捨てて素直に感動してください
そうすればあなたの眼力と腕前は必ず向上します(自信のある発言)

下の2点は緑風展に出ている小品盆栽です



長寿梅


姫りんご

2003年4月28日月曜日

緑風盆栽展より

上野グリーンクラブで開催される緑風盆栽展の搬入日(26日)の風景より



この時期ならではの出品作品です
写真撮影の順を待っているいるのです
花の咲き具合もちょうどいいですね
細幹ながら持ち込みの古い木です

ちなみに鉢も中国製の100年以上前の逸品です
卓台も鉢や木姿と調和したものを使っています
おそらくメインの席に飾られ、みなさんを楽しませてくれるでしょう


五葉松の石付です
深山幽谷の春
そんな風景を感じさせてくれます

盆栽にとって季節感は大切な要素です

2003年4月27日日曜日

盆栽人用語

盆栽人が盆栽に対して使う言葉には
人間の表情や健康状態を表す言葉がよく用いられています
私自身も無意識のうちに使っています

「この木、ちょっと疲れてるよー」
「この盆栽、喉が渇いてるよ」
これはだれにでもわかりますね

「かわいそうに、この木泣いてるよ」という言葉もよく使われます
盆栽が涙を流して泣いている、そんなことありませんね
一時的な水切れで葉がしおれているのです

昔の盆栽人がよく使った「いじめる」という言葉は最近では使われなくなりました
「いじめる」という言葉により盆栽のイメージを誤解されやすいからでしょう
そのかわりに「追い込む」とか「攻める」とかいうようになりましたね
「この枝をいじめて」というかわりに「この枝を追い込んで」というふうに

「粋な木だねーッ」
軽妙洒脱なしゃれた感じの盆栽を形容する言葉です
文人木などに対しよく使われます

「小生意気な木だねーッ」という表現もよく聞きます
小さいながらも古く持ち込んだ個性的な盆栽などをほめる言葉です

このように昔から盆栽人は、盆栽を人間の子供同様に可愛がってきたんです
あなたもご自分の盆栽たちを見直してみてください
自然と盆栽人の言葉が出てきますよ
「おーおーッ、かわいそうに、お腹が減ってんだね」みたいな

2003年4月26日土曜日

金雀花(きんじゃっか)



今朝タバコを買いに出かける途中、私の家から二軒先のお宅の庭で
金雀花が満開なのに気がつきました

人の背丈ほどのかなりの老木です
何十年とこの木があることすら気がつきませんでした

金雀花は「群れ雀」とも呼ばれます
金色の雀が枝に群がっているという形容から名づけられたんですね
いい名前ですね

かなり以前に国風展にこの金雀花の見事な名木が出品され話題になりました
世にそれほどの名木はざらにはありませんが
近頃、小品盆栽として人気が高まっている樹種です

非常に水や肥料を好みます

2003年4月25日金曜日

ミニ盆栽のすすめ(もみじミニ)



どうです、この可愛らしさ
実生の苗を寄せ植えしたように見えますが、じつは取り木仕立てです
樹高は僅かに8cmで鉢の直径も5.5cmです
超ミニ盆栽ですね

盆栽は大きさで価値が決まるものではありません
人に感動を与える何かが必要です

可愛いーッ!
だけでも立派な感動です

芽だしのころ
若葉の季節
深緑のころ
紅葉
冬木立の候
四季折々に私達を楽しませてくれます

この小さな盆栽も数年を経れば、古さと貫禄さえも感じさせてくれるようになります
その趣を感じられるようになれば、あなたも盆栽人として既に立派なベテランになっています

2003年4月23日水曜日

超初心者の皆さんへ


何かのきっかけでミニ盆栽を趣味にしたいナーッ、と思ったり
衝動的にミニ盆栽を買ってしまってから慌てている方
けっこうたくさんいらっしゃると思います

まず第一にすることは
購入した盆栽と日に一回はご対面することです

鉢の表面の土は乾いていますか?
それとも湿っていますか?

葉の色艶(顔色)はどうですか?
まさかシオレちゃいないでしょうね

毎日毎日ご対面です
これは絶対条件です

次に本屋さんへ直行です
ミニ盆栽の入門編のマニュアル本
それもなるべく簡単そうな(写真やイラストがたくさん入ったものがいい)やつを一冊買って下さい

最初に高等技術なんかいりません
ミニ盆栽は生き物です
その生かし方(育て方)をやさしく解説してあるごくごく基礎のもので十分です

とにかく本は一応系統立てて解説されているので役に立ちます

盆栽とはなんぞやとか、小難しいことは必要ありません
また立派な盆栽の写真集のようなものでもダメです
とにかく簡単なもの、一冊

以上でOKです
さいわい盆栽関係のHPもかなり増えてきましたね
あとは暇をみつけて気に入った盆栽のHPを訪問していれば
盆栽とはどんなものなのか自然に身についてきます

一冊の基礎的な入門書があなたを救ってくれます
またミニ盆栽の立派な愛好家への道しるべになってくれます

そく実行!

2003年4月12日土曜日

寒グミ





寒ぐみは実物盆栽のなかでも、ぐっと渋いものの代表です
灰褐色の木肌や芽出しの色も地味系です
故に渋好みの人に根強い人気があります

両花性なので自家受粉でもよく実がつきます
水も肥料も多めで管理し
本格剪定は6月ごろおこないます
ベテランのひとは、剪定と同時に葉刈りをおこない、姿を整えています

6月以後の剪定は、徒長枝を摘み込むだけにしておきます
花芽を守るためです

真冬に白い小さな花を咲かせ
灰褐色の実がしだいに赤味を帯びていく様子は楽しいものです

春芽出し前に古葉を取り除いて裸にし、軽い剪定をして姿を整えてやれば
年に二回の追い込みができます
そのためには常に木に元気をつけておく必要があります

丈夫で作りやすい木ですから是非とも挑戦してください

2003年4月11日金曜日

丹頂草根洗い



いつか盆栽つれづれ草でも紹介したことのある
農家のおばちゃんが作った丹頂草の根洗いです

独学で身に付けた技術です
このおばちゃんの作品を見るとつくづく思います
「好きこそものの上手なれ」ですね

ウッカリしてバックを白にしてしまいました
せっかくの丹頂草の花が目立ちません
失敗!
でも草物盆栽にも構図が大切だということはわかっていただけますね

2003年4月10日木曜日

仕入れの楽しみ

盆栽屋は仕入れが好きです
昨日はやや疲れ気味なので、休養日の予定でしたが
何かいいものに巡り会えるような予感がするんです
思い切って午前中に出かけてみました

犬も歩けば方式で、知り合いを数件訪ねるつもりです
三軒目で予感は的中しました

大好きな大好きな山もみじの名品が手に入りました
いいものに出会った瞬間はほとんど”一目惚れ”といっていいでしょう
そして我が物になった喜びで頭の中は空っぽ、ただただ嬉しいーの一言です

今日はルンルンのご機嫌でご帰還です
以下その山もみじをご紹介して自慢します



どうです!
幹の白い肌、足元の力、幹模様、枝先の優美さ
樹高わずか10cm弱



足元の様子
幹に傷っけはまったくありません
きれいな幹肌です

ほれぼれします
これほどの山もみじには、めったにお目にかかれません

力強くしかも山みじらしい優美さを備えている
ここがだいじなポイントなんです

2003年4月9日水曜日

取り木外し忘れ

出猩々にも外し忘れたものがありました


根はよく出ていますが
しかし、芽が開いて親木から外す時期はやや逸しってしまいました
枝は伸ばし放題にしてあります
もちろん、取り木をかけた年は枝をつめません
発根した根の発達を促すには、枝葉を繁らすのことが必須ですから


もう根は充分に出ていますから、入梅まで待って、葉刈りして外す予定です
ですから、準備段階として、今から木作りに励みます
普通の盆栽の感覚で、剪定してください
外してすぐに眺められるようにします

2003年4月8日火曜日

取り木外し忘れ

にれけやき


昨年の5月中旬に取り木をかけたニレケヤキです
ニレケヤキは発根しやすく、また八方によく出ます

春先に外そうと思っていましたが、忙しくて芽が伸びてきてしまいました
もう可愛そうですね

こうなったら入梅まで待ってやるほうがいいでしょう
入梅に葉刈りして外します


徒長枝は追い込んでやります
根は充分にでているので
外せばすぐに眺められるように木作りしておきます

取り木をかける前から木作りしてあったものなので
すでに骨格は出来上がっています
普通の木と同じように芽摘みしてやりましょう

2003年4月7日月曜日

超初心者のご質問

「去年の秋買ったもみじの盆栽、芽が出ないんですが、いつ頃でるんですか?」
「???、まだ出ませんか?」
「出てきません」
「普通は春彼岸頃に出ます、遅くとも4月になれば出ますよ」
「それがー、出ないんですよ」

先日、超初心者と思われる方から電話がありました
この会話のあと、逆にこちらからいろいろ質問して聞き出したところ
その方は、冬のころ園芸店で買った山もみじの寄せ植えを、ズーット室内に置いて
インテリアの一部として楽しんでいるそうです

このくらいのことは、超初心者のことですから私は驚きません
ところがです
「盆栽って水やるんですかー」
という最後のお言葉に、私は仰向けにぶっ倒れるんじゃないかと思うほど、驚きました

オットットット!
「み、み、水、やってないんですか、いつからー?」
「やってません、買ったときから、ズーットです」

私は少年のころ、友達の家ではじめてコーヒーをご馳走になったとき
皿の上に乗っかってきた3個の角砂糖が何だかわからず、ナフタリンかな?
と内心非常に驚いたことを思い出していました

知っている人にとっては当たり前の世界が、知らない人にとっては
想像もつかないことだったなんてことは、いくらでもありそうですね
大人だって子供だって同じでしょう

私だってどこかで人を驚かせているかも知れません
これくらいのことで驚いていてはいけませんね

初体験でビックリしたみなさんのお話も聞きたいですね
思い出せばけっこうあるはずです

2003年4月6日日曜日

春雨の効能

この時期降る長雨を別名「木の芽雨」ともいいます
木の芽が吹く時期には恵みの雨です

盆栽達にとって
ムロ出し後のやわらかい新芽に、強い陽射しや乾燥した風は大禁物です
また花冷えと呼ばれる急な寒さによる「遅霜」は、油断大敵です

ところが「木の芽雨」は、例え冷たい雨でもあっても新芽を傷めることはありません
逆に盆栽にとっては、水が一番飲みたい時期ですし
雨の日は霜は降りませんね
また、適当な寒さは新芽の徒長を制御をすることになります

まことに一石三鳥の「木の芽雨」です

この時期の春の長雨を盆栽の培養管理に利用しない手はありません!

ところがベテランになると、この長雨の裏の裏を読んで
新芽の制御をはかる人もいます

軒下などにおいて雨に当てないんです
いっせいに萌芽し伸びたくってしょうがない新芽は、水が飲みたくって飲みたくって!
それを飲ませないんですね

当然新芽の伸びは制御されます
その間にせっせと新芽の先を摘んでしまいます
機先を制された盆栽君達は、おとなしくなり、徒長をあきらめます
けっこうな頭脳プレーです

2003年4月5日土曜日

花物盆栽の勧め


愛好家が秋田から穂を持ち帰り挿し木して8年作りこんだ
雪椿
細いけれど幹に古さがにじみでています


姫こぶしの蕾と花

春爛漫の花の季節です
流行歌にも唄われているこぶしの花は、このあたりの野山にも自生しています
ところが盆栽に仕立てると、花芽をつけるまでに何十年と持ち込まねばなりません

その点、姫こぶしは小品盆栽に仕立てても花芽がつきやすい樹種です
蕾の風情は、白い鳥のくちばしに似て可憐です

ご自分の好みでけっこうです
お好きな花物盆栽を見つけましょう!

2003年4月4日金曜日

ムロ出しと花冷え

きのうは同業者のところを三軒ばかり回りました
注)回る、遊びに行く=盆栽屋用語で仕入れに行くこと

そのなかの一軒は、まだビニールハウスに盆栽がびっしり入っていました
忙しくてムロ出しのタイミングを外したそうです

今日もいい天気です
こんな晴天の日にムロ出しは禁物です(強い陽射し・霜が降りやすい))
それと風の強い日もです

理想は雨の日です
次は曇天の日(霜が降りません)
晴天続きでチャンスがなければ、夜間に出して、2~3日のあいだ半日陰に置きます

完成度の高いものほど枝先の徒長を嫌いますから
冬季に、温度の上がり過ぎない保護をして
春早めにムロ出しするのが最良の方法です

しかし、4月の中旬頃までは遅霜(おそじも)に気をつけて下さい
新芽が火であぶったように黒く焼けてしまいます
桜とこぶしの花の季節はけっこう寒い日がありますよね

花冷え注意!

2003年4月3日木曜日

もみじの芽摘み

くどいようですが、もみじの芽摘みの勉強です

というのは、もみじ、楓、けやき、いぼたなど雑木類では
芽摘みが一番大切な手入れなんです
これからの一ヶ月間で今年の培養の勝負が決まります

さあーッ、みなさん、ピンセットを持って芽摘みにかかりましょう!


この芽はかなり伸びてますね
一節でチョンです
このように強い芽からは、また二番芽が吹いてきますからご用心


ピンセットと指で芽先をさぐり出し
その芽先をピンセットで挟むと、引っ張らなくとも切れます
引っ張らなければ切れないようでは、遅いんです

芽摘みは、早め早めに!
これでみなさんの盆栽の運命が決まるんですよーッ!

2003年4月2日水曜日

桜通り


(3月31日撮影のわが町の桜通)

きのう今日あたりが桜の盛りのようです
一昨日の朝方撮影したわが町の桜並木はまだ五分咲きでしたが
今日はほぼ満開になりました

この桜並木は樹齢25年ほどで、染井吉野としては花の色が一番いいころでしょう
条件にもよりますが、樹齢20年から35年くらいが花の色の鮮やかな時期だと思います
あまりに老木になると花の色艶がややあせてくるような気がします

話は変わりますが、私の一番の心配は、ご覧の通り歩道が狭いことです
あと10年もしたら桜の幹が太って、人が歩くのに不便になっちゃうことは目に見えています
いまから私一人で心配しています
道路を管理する役所のお偉方はわかってるんかな?
そのへんのこと

まッ、やぼはいわずにお花見しましょうか!

2003年4月1日火曜日

ミニ盆栽交換会


昨日は日本小品盆栽協会主催の交換会に出かけました
場所は上野グリーンクラブです

日本小品盆栽協会は、雅風展を主催している全日本小品盆栽協会とは違った団体です
東京を中心とした歴史の古い愛好家団体で
ミニ盆栽を豆盆栽と呼んだ頃からの伝統を守って、10センチくらいのミニが主流です

午前10時の開始です
陽気がいいので朝早くからにぎやかです


うーん、こりゃいい!
おじさん腰をかがめて物色中ー

小さいでしょ
だからかがんで見ます
腰が疲れまーす




このおじさんは小鉢が専門
バッグの中から出てくるは出てくるは
ちっちゃい豆鉢が50個以上ーッ
けっこうレベルの高い鉢もあります

プロの参加も許されてるんです
上野公園は春うららの桜5分咲きのイイ陽気
私も一日楽しんできました