2011年6月30日木曜日

紅千鳥挿し木成功!

生き残りもわずか10本ほどになった紅千鳥の挿し木苗
果たしてかれらの行く末はどうなって行くのでしょう

わずかな希望は、6月9日のつれづれ草でご紹介したように
枯れた挿し穂の先端にはっきりと発根の痕跡が認められたことです

時は入梅中です
あれから私は勝負に出ました

日に1時間くらい陽に当てることから始めて
10日ほどで表の棚に置き場を移してたのです

もし生き残りの挿し穂が発根していれば、挿し穂は活発に動き出すでしょうし
未発根であれば、とっても耐えられないはずです


6/23撮影

陽に当て始めて10日ほど、外気にはすっかり慣れ
残った挿し穂(10本)はすべて元気で、先端の芽が動き始めた穂もあります


6/29撮影

この数日は猛暑日でしたが、他の盆栽と同じくカンカン照りから避難せず
それでもいじけるどころか、芽は活発な動きを見せていますね

もお大丈夫だー!

確率は低かった(約5%)ですが
生き残り組のすべては発根していると思います

挿し木作業を行なったのが2月26日
あれから4ヶ月、おおげさに言うと「新しい命の誕生」ですね

私は、久しぶりに新鮮な気分を味わっています

それでは、また!

2011年6月18日土曜日

スクール速報・杜松

今年40歳になる私の長女が、まだ小学生の低学年ごろからのお付き合いですから
かれこれ、35年間に近いお付き合いになるヒナさん

盆栽にかける情熱にかけては、人後に落ちないものがあります
何せ、5年ほど前に家の立て直し時に、盆栽の置き場と作業場兼用の書斎とを新築のコンセプトとして臨んだほどです

盆栽の技術面においても、この数年、スクールの仲間になったハシやんの大胆な構想と実行力に刺激されたのでしょう
一皮も二皮もむけて上達が目に見えてきています

やはり、何につけても、持つべきものは良き友(ハシやん)ですね

さて、そのヒナさんの杜松中品
かつて2009/10/17に一度取りあげている項も参照しながらご覧下さい


枝の葉数も増えたので、全体の構図にも安定感が出てきました
以前からの懸案であった、鉢サイズの縮小も果たせました(キリッとした緊張感がでました)


さらに充実を図るため、利き枝(1)はやや伸ばし気味に培養中
同じく芯(2)も、もう少しの間は徒長させます

問題は(3)です

かなり鉢サイズを締めたので、ヒナさんはかなり植付けに苦心をしていましたが
このように画像でみると、やはり少々右に寄り過ぎてしまったようですね

このように、作業中に納得したつもりでも
あとで画像で確認すると、物足りなさが残ることはよくあります

ただ、現在まだ養成中なので、その事実だけをしっかり把握しておけばいいと思いますよ
毎年の植替えは樹勢を損なうもとにもなるので、急いでやり直す必要はありません


今年一年しっかり肥培して葉数をふやします
来年からは将来の輪郭線や枝の弾みを念頭において、おおよそこの画像のように利き枝と樹冠部の短縮を実行します


植替えは中2年か3年で行ないますが、その時は図のように向かってやや左に寄せて植替えましょう
右前隅の立ち上がりのジンと鉢内側の隅との間に2~3㎝の間隔ができれば、構図的にぐーんと安定します

がんばれ、もう一息!

2011年6月11日土曜日

梅の花芽と葉芽

桜と並んで日本人にもっとも親しまれている梅は、盆栽としても人気があります
厳しい寒さの中で咲く野梅の凛然とした風情や、侘びさびの極致ともいえる木肌の古色感などが、盆栽人の心を強く惹きつけるのでしょう

それゆえ、盆栽人が梅盆栽に求めるのは
満開の華やかさとひと味違った、ひかえめでつつましやかな趣です

いわゆる「野梅三輪」ということばに象徴されるように
多くは求めず、清楚でつつましやかに最小限度で満足する日本人独特の美意識ですね

そんなわけで、盆栽人は梅の盆栽に多くの花芽を求めずに
小枝作りに重点をおいた培養を心がけるのが一般的です

さあそこで、今日は梅の花芽と葉芽というテーマでしたね

花芽がついたかどうかは、花芽の分化する(この時期)6月以降に葉に触れてみればわかります
表面がツルツルでやや内側に巻き込んいれば、花芽がついた証拠であり、ザラザラなら花芽はついていません

そうですか、ツルツルでしたか、それはよかった!
とはいえ、手放しで喜んでばかりはいられないこともあるんですよ

というのは、花芽のつきやすい品種などでは、先端芽以外には葉芽が形成されずに
花後に剪定後して残された芽から、新芽が吹かずに枝枯れすることがままあるからです

みなさんの中には思い当たる方もいるでしょう
教科書通りに、満開後1~3芽残して剪定したけれど、残された芽からは新芽が吹かなかったこと、ありませんか?

そうなんです、その芽には花芽はついていたのですが
葉芽がなかったのです

ですから、梅の盆栽を培養する場合には
新枝の元に近いところに、花芽と葉芽の両方が作られるように工夫をする必要があります


小輪緋梅ミニ

花芽と葉芽のつけ方

1 花後に1~3芽を残して剪定する

2 新芽が7~10芽(10~20㎝)くらい伸びたころ、4月下旬から5月上旬ごろ、新芽の先端を摘む

3 先端の葉を3枚残して、残りの葉をすべて三分の一から二分の一くらいに切る

この作業により、面積を減らされた葉の元には花芽と同時に葉芽も形成されます
これを梅の葉刈りとか葉切りと言っています

緋梅も花芽のつきやすい品種ですから、この作業をしないと、来春の花後には葉芽が遠い先端だけにしかつかず
樹形の維持はたちまち困難になってしまうわけですね

ベテランの愛好家になると、樹勢を案配しながら
この時期には肥料を控えめにして徒長を防ぎます


次に、再び先端に吹き出す芽は


出る度に、摘み込みを繰り返します


摘み込みを繰り返すことにより、先端の芽と葉切りによって抑制され、新枝の元にも花芽と葉芽が作られるので
来年の花後に1~3芽くらいを残して剪定してもだいじょうぶ

ともかく、この方法により、梅盆栽は花芽よりも葉芽を大切にし
小枝作りを優先させましょう

最後に、現在の時点でこの作業を行なっていない方へ

先端の芽摘みだけでもやっておきましょう
弱い芽に養分がいくので、枝全体の勢いが平均化されます

では

2011年6月9日木曜日

紅千鳥挿し木(その後Ⅲ)

4月23日にトップジンで消毒した紅千鳥の挿し木苗
とっくに連休も過ぎて、いまは入梅の季節ですが、その後はどうしているでしょう


あ、れ、れッ、こんなに少なくなっちゃったの!?

挿し木床が病原菌に冒されたのに気がついて、トップジンで2回目の消毒をしたのが4月23日
その後にも挿し穂は少しずつ減り、今では合計してもわずかに10本を数えるほどしか生き残っていません

冒頭で活着率のお話しをしたときに

『一般に、もみじの挿し木は初心者には難しいとされ
業界でも、挿し木専門のプロの領域に入っているので

みなさんが実行して、活着率は数%くらいでも悲観することはないし
もし、50%くらい活着したならば、大成功と喜ぶべきでしょう 』

と申し上げましたが、まったくその通りですね(泣)


ビニールドームは連休明けごろに取り外しましたが、置き場所はまだビニールハウスの中です
活着率がわるいとついつい諦めて粗末に扱いがちですが、最後まで見とどける気持ちを持続させてがんばります

そんな現状ですが、みなさんに伝えられる希望のある明るいニュースもあるんですよ

というのは、連休明けに業界の総会で話し込んだ挿し木に詳しいある後輩業者に
「みやもとさん、出猩々はつくけど紅千鳥はほとんどむりだよ、つかないよ」といわれて

そのころ毎日のように、黒く変色した挿し穂を引き抜いて捨てていた私は、少々凹んでいたんですよ
「あいつがむりだというんだから、こりゃダメかな?」

ところが、↓をごらんくださいな!


軸が黒く変色して葉が縮れた挿し穂を引き抜いて捨てようとしたら、その切り口から発根しているじゃありませんか
この挿し穂は助かりそうにないけど、たしかに発根にまちがいないし、その根もきれいですね

すくなくともあの後輩が言った言葉「むりだよ、つかないよ」は、否定されるべき確たる証拠です
ただ活着率が低いだけなんですね

おそらく現在生き残っている挿し穂は
このように発根済の状態にあると思います

じっさいに紅千鳥を挿し木して成功しているひとも、また、むりだというひともいるので
やっぱり「論より証拠」、自分でやってみるのが一番ですね


発根の様子を拡大してみましょう
みなさん、たしかに発根ですよね

というわけで、この発根の証拠に勇気を得た私の次の手順は
挿し木床をビニールハウスから出すタイミングをまちがえないことですね

さらに、今年の失敗点を忘れないで、来年への教訓として活かすこと
そんなんです、もう成功への重要なポイントを数点つかんだつもりでいますから

一回くらいの失敗じゃ懲りませんぞー!

では

2011年6月7日火曜日

姫柿の新芽処理

昨年は実成りを休み、やや徒長気味に育てた姫柿
今年は実成りを楽しむと同時に、枝先も追い込んで全体にサイズを詰め込む計画です

サイズの短縮だけならば、芽当たりのありそうな位置まで切り込めばいいのですが
実成りをもとなると、花芽が開花し結実するのを確かめてから、慎重に手を入れなければなりません


5月中旬
先端につけた実は犠牲にし、フトコロに近い位置の実だけを残し
春からの伸びた新芽の先を1~2芽で切り込みます



赤印で示した上の枝

昨年枝から出た新芽の1節目に実が成っていますね
その実を残して先端を摘み込みました

このように全体の新芽の先端を、実が成っていても成っていなくとも
慎重に確かめながら1~2節を残して摘み込みます



すると、2週間ほどで追い込まれた節々から新しい芽が吹いてきます
また、今まで眠っていた芽が突然に動き出すこともあって、樹髙の短縮に役だってくれます

柿の花芽の分化時期はおおよそ6月から8月ごろにおこなわれるので
新しく出た芽がこれから数節伸びれば、その枝に花が咲き実が成るというわけです

ですから、来年も実を鑑賞することができるし
枝先の追い込みも達成できるというわけですね

ここでポイント

摘み込んだあとに出た新芽の先を、再び摘んでは来年の花芽はつきません
徒長枝は、落葉後に花芽を確認してから剪定すること

元気のよいものは、水も肥料もやや多めの管理をします
元気のないものは、反対に控えめな管理を続け、樹勢が回復してから上記の芽摘みを施しましょう



5月下旬ごろの実成りのようす



ついでに芽出し前の木姿もごらんください
姫柿としては名木の部類に入るものと自負しています



5月下旬ごろの後ろ姿

では