2004年1月29日木曜日

国風盆栽展審査5

国風展に挑戦する小品盆栽は、鉢も贅沢に吟味されていますね
いずれも名品ぞろいで、ヨダレがでそうです

この席も、鉢を「おごって」ました
鉢の古さが盆栽の風格を一層高めています


力に満ちた太幹の五葉松を真にした、迫力ある一席
五葉松の小品として、まさに稀有の存在感です(一瞬黒松と見誤るほどです)

箱の上の五葉松だけには小卓を使っていません、ここも注目
五葉松の存在感がこれ以上強くなると、全体のバランスが崩れるからです、工夫していますね


枝張りを小さく、そして鉢も目一杯小さくし、五葉松の存在感を印象づけています


長寿梅、均窯楕円の名鉢です、花の色によく調和しています


くちなし


楓、この赤絵鉢はおそらく宮崎一石の作品でしょう、これも名鉢


けやき、逞しくしかも繊細です、鉢は平安東福寺でしょう、渋い取り合わせです


草、月之輪涌泉のミニ鉢です、名鉢です、欲しいなーッ


黒松懸崖、朱泥の名鉢に入っています、松の緑が引き立ちます

2004年1月27日火曜日

国風盆栽展審査3

ここにも革新的な飾りにチャレンジする新鮮な一席がありました
香炉卓(こうろしょく)の意匠が感じられる斬新な高卓(こうしょく)です



オーソドックスな4本足の高卓を用いれば、黒松のやや左脇に置く添え草は、卓の下側に入っています
これも興味深く新鮮です、おもしろいですね


大木感に満ちた黒松、立ち上がりの力が抜群です


添え草(石付)


薄鉢に植え付けたセンスが光ります
木肌も古いですね

2004年1月26日月曜日

国風盆栽展審

小品盆栽を飾るのに、「箱卓」(はこしょく)と呼ばれる長方形の棚で7点飾りが、現在主流ですが
近年新しい意匠の棚が見られるようになりました

上の板に段差がついたこの箱卓ですと、6点飾りがちょうどいいようです
従来の箱卓に慣れた目には、変化と緊張感があって新鮮に映ります


前置きの杉を強めにすることにより、箱の中の4点の流れに対峙させ、全体の統一感を出しています
格調がありますね、みごとです


真の黒松、足元と一の枝に強い力が込められています
植え付け角度が絶妙です


さんざし、由緒のある盆栽ですよ
かつて松平伯爵が愛倍したものです

樹種的にも珍種です
白花、一重の「花さんざし」です(一般的にある白花の実さんざしではありません)


長寿梅


楓石付


笹・長寿梅・やぶこうじ


杉、枝の表情がなんともいえない、いいですねー

2004年1月25日日曜日

国風盆栽展審査

盆栽界最大のイベント、第78回国風盆栽展が2月8日(日)から始ります

今日(25日)は応募作品の搬入日
明日(26日)が審査
明後日が入選作品の写真撮影(記念帖)と続きます

大きな声では言えないんですが、ここは撮影禁止
けど、みなさんにお見せしたいばかりに禁を破ってしまいました
でも、扱い業者さんの許可だけは受けていますよ

このページも、主催者側の日本盆栽協会のお偉いさんに見つかれば”お目玉”です
お願い、だれにも言わないで!

明日の審査を待つ小品部門は、21席の応募
入選はおそらく12席くらいでしょう
約半分は、残念、お持ち帰りです


真に黒松の模様木、前置きに姫柿を配し、本格派揃いの一席


言うとこなしの黒松
鉢を締めて(小さく)あるので大木感が強調されています


今回の雅風展で内閣総理大臣賞に輝いた長寿梅がこの木、すごい!
早春の雰囲気が伝わってきます、季節感も盆栽の大切な要素です


くちなし


山もみじ


真柏、この棚飾りでの重要な役目を担っているます

屈曲した左向きの動きが、前置きの姫柿の右向きの動きと照応し
席全体に躍動感が感じられるように演出されています、みごとです!


石付の石菖


前置きの姫柿半懸崖

2004年1月24日土曜日

見ずっこ買い

「見ずっこ買い」、このことばわかりますか?
私の造語かな?普段から使っているのでわかりません!

品物の説明を耳で聞いただけで、実物を確めずに「買いましょう」と約束、商談成立
つまり実物や画像を「見ずに」「買う」ということ
よくこれをやります、昨日もこれをやりました

朝8時にかねて約束の場所(人)へ出発、約束の時間は午前11時
そこまでの所要時間はおよそ2時間半

途中に例によって渋滞の箇所がある
一人旅はの車内は退屈、禁を破って同業者に携帯

「もしもし、何か入ってる?」
「雄山3枚と月香1枚、いいできだよー」、ワオーッ、ラッキー!

仕事は速いに限ります
誰かに買われちゃわないように、そく「見ずっこ買い」

「見ずっこ買うからとっといて」
これで商談成立、男同士の約束は破れませんゾ、お互いに

「見ずっこ買い」をするとルンルン気分、実物にご対面する時が最高潮
ご紹介の4枚の鉢が「見ずっこ買い」の収穫です

藤掛雄山作
間口12.7センチ

藤掛雄山作
間口11.9センチ

藤掛雄山作
間口14.2センチ

伊藤月香作
間口13.5センチ

どうです、4枚ともいいでしょ
今回の「見ずっこ買い」も大成功でした

ところで、「見ずっこ買い」するには幾つかの条件があります

相手の盆栽や鉢を見る「目筋」「価値観」が確かなこと
そのレベルや好みをこちらが掌握していること
また、人物が正直な人であり商品の説明が正確であること

あの人がいい品だという場合は、一級品に間違いなし
そんな信頼感を持てる相手となら「見ずっこ買い」はなんの心配も要りません

といって、私は愛好家のみなさんにそれを決して勧めはしません
プロ同士、それも信頼できる者同士でなければトラブルの元、あえて冒険することはありません

2004年1月20日火曜日

東福寺名品鑑賞

今日、東福寺の名品小鉢に巡り会えました
瑠璃色で鋲打ちの撫角長方鉢です

私も商売ですから、毎日のように盆栽や鉢を売り買いをしていますが
正直なところ、必ずしも心から満足できるものばかりという訳にはいきません

ところが、今日の東福寺は一味も二味も違います
正真正銘の名品です



明るい瑠璃釉の発色がすばらしい
長年の使い込みにより渋さも加わり、独特の落ち着きが感じられます

下部のような時代感に到達するには、およそ50年以上の使い込みが必要でしょう

時代感が、このミニ鉢の本来の価値を更に高め
名品といわせるだけの風格を醸し出している大きな要素です

侘びサビを珍重する盆栽界においては
長年の持込により、盆栽鉢でさえもその観賞価値は年々高まっていきます



平凡な切立ち形の撫角鉢が、私達をこのように魅了する秘密はどこにあるのでしょう?
発色、時代感の他にその秘密をさぐってみましょう





東福寺の作陶姿勢の最大特徴の一つに「一発仕上げ」の技法が上げられ
それは特徴であるとともに最大の魅力にもなっています

その技法が胴の上下に見られる鋲の打ち方にも表れています
いいですか、上下に付けられた鋲をよく観察してください

おそらく小さく丸めた粘土を型で押すのでしょう
型からはみ出したバリが見えますね

そのバリの痕跡をそのままに放置していますね
ここが東福寺の凄いところ

並みの作家ならすぐさまぞってその箇所を修正しているでしょうね
しかし、東福寺の手は躊躇なく次の鋲を付ける作業に移っていくのです

この「一発仕上げ」の創作姿勢が、手の温もりを濃く抱いた東福寺鉢作品の魅力の根源です
そして、東福寺鉢の背景には、作者水野喜三郎の情念、人柄、さらには無欲な彼の人生さえも感じられるのです

2004年1月19日月曜日

買い物上手


杉浦さんのお店(気さくできれいな奥さんがお店番しているときの方がよく売れる・業界の定説)

誰だっていいものを安く買いたいですね
でも、いいものは高価なのが普通

ここに悩みがあります
誰だって、このことが恨めしい

だから盆栽趣味の人は心に決めておくことが一つあります
しっかりと認識しておく必要があります

それは順番です

一番は、安くて質のよいもの(これが嬉しいんだけど、めったにない)
二番は、高くても質のよいもの(これがあたりまえのこと)

三番は、安くても質の劣るもの(お勧めできない買い物)
最後は、高くても質の劣るものです(これこそ絶対してはいけない買い物)

一番目と二番目は誰でもわかっているし、間違えないんですが
よく間違えるのは二番目と三番目の順序です

安もの買いの銭失い、よくいったものです
安いからといってついつい妥協し、衝動買い、あとで後悔(身に覚えがあるでしょ)

二番目は、一見もったいないようですが、品は残ります
うまいことに値段は時とともに忘れます、だから後にいい品を眺めながらニッコリできるんですね
この方がズーット得ですよ

お金の上手な使い方、それは永遠のテーマなんですね
順番を忘れない人が買い物上手なのです

それと、気に入ったものは試しに値切ってみることです

2004年1月18日日曜日

売店風景・日本盆栽協会展示会より(1/12取材)

上野グリーンクラブは全三階の建物です
約10年ほど前、日本盆栽協同組が建てたものです

組合員全員が特別出資金といって、まあ、寄付のような形でお金を出し合い
戦前からの古い建物から、今の姿にしました(もちろん私も出しましたよ、50万円・トホホホ涙が出ました)

ほとんどの盆栽展示会には売店がつき物です
みなさんも展示会だけだと何か物足りないでしょうね

事実、売店のつかない盆栽展示会は入場者数が少ない傾向にあるんです
盆栽趣味の方は買い物が好きなんですね(堀出し物ないかなー)

今回の日本小品協会の展示会にも、一階ホールに約20店の小品盆栽園が店を出しました


二階の展示室同様、お客さんが多いようですね
ドレニシヨウカナ?

売店会場を5廻りする人もいます
堀出し物探すにはけっこう根気と体力勝負です


佐藤文雄さん

この方は最近までサラリーマンの盆栽愛好家だったようです
盆栽経歴が古いだけに新人業者にしては、けっこう商売達者

根っからの盆栽屋よりソフトですね


佐藤幸雄さん

豆鉢業者として知られた人、かなりの目利きです(私といい勝負・また戦いましょう、な~に負けはしませんゼ))
親しい鉢友達で好敵手(たまにちょくちょく衝突)

お客さんの視線はウインドケースの中の豆鉢にジーット釘付け
ガラスに穴が開いちゃいそう

2004年1月17日土曜日

日本小品盆栽協会展より・会場風景(1/12取材)


一人旅の男性、ちょっとばかり腰が引けてますね
もっと前のめりでいきましょうーよ


おじさんッ、前のめりすぎるよー
熱心に撮影してましたね、このおじさん

盆栽もしっかりやってよね
(趣味はカメラで、盆栽やってなかったりして!)


団体さん、お知り合いの方の席でしょうか
席の前でお話弾んじゃって

他の人が見られなーい、通れなーい

2004年1月16日金曜日

小品協会(1/12取材)

朝起きぬけに庭に出る
空気が冷たい、刺すようだ、バケツの氷は2cmの厚さ

今日は第27回千葉県盆栽名品展の初日
開催場所は千葉県柏市の県民プラザ・県民ギャラリー(1/16~1/18)

読者のみなさん、盆栽マニュアル本の数冊くらいは持ってくださいね
そして毎日、我が「盆栽屋.com」を訪問する、それくらいが上達の最低条件
超忙しい人でもこれくらいはできるでしょう

そして、いい先輩を持つことです
プロでもアマでもけっこう

信頼できるプロと親しくなるのが手っ取り早いが
気詰まりを感じる人は、最寄の盆栽愛好サークルに入るものいいでしょう

日本小品盆栽協会の会員さんは思いっきり楽しんでますね
こうして晴れ舞台(展示会)を踏むのも勉強になるんです

さて、昨日の続きです


佐々木さんの席より  黒松とハゼ

剛と柔のとりあわせの妙味
この方もかなりのベテランとみました


笠井さんの席より におい楓

地味な作りですが古いですね
鉢の映りも上々です


佐藤さんの席より  五葉松石付

四国の伊予石のようです
時代感、図柄、申し分ない石です、五葉松の成長が待ち遠しいですね



土屋さんの席より  百日紅
 
鉢映りが抜群です


村山さの席より  小姓梅

時代感に溢れた鉢との調和がみごと


土屋の席より  杜松

枯れた趣、秀逸な作品です

2004年1月15日木曜日

日本小品盆栽協会展より(1/12取材)

この会の展示会を観るたびに感じることです
先輩達の指導が行き届いているのが伝わってきます

いい指導者のいる会は伸びますね
ベテランが新人の面倒をみる、その繰り返しで伝統が育まれていくのです

大昔、私が20代の前半の頃です、洗足池の風致会館のこの会の集いには
中村是好、明官俊彦、岡田晃、佐野大助、今岡町直などミニ盆栽史に残る大家が勢ぞろいしていました

それでは、今回の展示会で目に付いたミニ盆栽をご紹介しましょう


小圷さんの席より 竜神づた

持込の古い竜神づた、幻想的な感じがします
小さな鉢での維持管理にも頭が下がります


堀井さんの席より 楓

すっきりと素直な幹と枝先の繊細さ、根張りも申し分ありません
鉢にも時代感が溢れています


小野寺さんの席より 河津桜

早春の華やかな雰囲気がこの一鉢で会場に広がります
きれいですね


田村さんの席より 長寿梅石付

付いている位置に意外性があり、創作の妙が感じられます
おもしろい空間を作り出しています


小谷さんの席より 野バラ

花でよし実でよし、古い持ち込みに感動
木姿も整っています