昨年暮れのギリギリに、絵付け鉢で有名な宮崎一石の赤絵の正方鉢に出会いました
ご覧のように傑作中の傑作のであった作品です
あった作品、と過去形でお話をしなければならないのが残念ですね
まったく惜しい
しかし、残された部分の絵だけでもみなさんにお見せしたく、購入してきました
宮崎一石のみごとな赤絵鉢をご覧になってください
宮崎一石作 赤絵山水図正方樹盆 間口6.8×奥行6.8×高さ10.8cm
縦長の鉢に、遠近感のある雄大なスケールの画題を選んでいます
一石は絵画の道を本格的に学んだとも聞いていますが、それも肯けます
宮崎一石の赤絵には定評がありますが
これほど魂の入った絵をみると、これは単なる絵付けのための絵の程度を超えています
鉢の表面を画布にして絵を描いている、という印象です
描き込みの筆使いもまことに精緻です
また濃淡、強弱などのバランスもよく、構図の大胆さなど溜め息がでるほどです
ところで、この鉢は各面の下部の絵が擦れて見えなくなっています
手元の鉢を見ると、ごく細かいサンドペーパーか砥石で磨ったのでしょう
どうして、こんなことを?
それはわかりませんが、使い込みの時代を汚れと解釈したのでしょうか
スケールの大きな迫力のある構図です
とても絵付け鉢の絵とは思えませんね
山奥に向かう道が描かれていますが、その下のお寺は擦れています
残念です
この面の構図もいいですね
下部はかなり磨ったようで、何が描かれていたか不明です
この面は一転して余白が多く、静寂な雰囲気です
一石の巧みさと特徴は、この余白の使い方にあります
この面も静かな里の風景です
雄々しく険しい山容を描いた二面、静寂な山里の風景画二面
強弱を意識し巧みに描き分けています
このあたりが一石の技量の真骨頂といえます
拡大図
穏やかな里の風景、いいですね
それにしても、消された下の方には何が描かれていたのでしょう
永久に気になるでしょう
本年もどうぞよろしく
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