2022年10月26日水曜日

光峰窯(市之倉石州)

月之輪涌泉と並び昭和の代表的な絵鉢作家・市之倉石州は、石州窯と名乗る工房の窯元としても多くの作品を残しました。
ですから、「市之倉石州」の落款は石州単独の作品で、「光峰」と記されたものは、その工房でスタッフ全員の作品であるわけです。
ですから当然、両者の金額的な評価はかなり異なってきますが、市之倉石州の作風は石州窯の作品にも色濃く反映されていますので、光峰の落款の大量生産品であっても十分に楽しむことができます。



後列三個のうち中央の外縁丸鉢が光峰鉢
下の画像のこれ


光峰・黒泥外縁縄縁丸

間口5.2×奥行5.2×高さ3.3㎝

市之倉石州の作風である精緻、繊細、正確なイメージが具現された作品です。





後列三個の真ん中の外縁丸鉢が光峰鉢
泥は黒色で外縁が大きく張り出して、外縁に縄目の模様が入っています。
落款は「光峰」



 

2022年10月23日日曜日

超豆鉢7点組

一番大きな鉢が間口2.6㎝の7点組です。その一番大きなのが飴釉(あめ)で、他の6個はすべて焼き締めものばかりです。



後列左から2番目が飴釉です。


焼き締めものもそれぞれに土目が異なっているので、味わいに微妙な変化がありますね。


鉢底の仕上がりを見ると7個とも微妙に味わいが異なり、組鉢の面白さが伝わってきます。

 

2022年10月15日土曜日

組鉢を作ろう





小鉢、豆鉢のコレクションの世界には、複数個の一組をまとめて鑑賞する組鉢という楽しみ方があります。
しばらくぶりに、お茶飲み場のガラスケースや机の引き出しの片隅にしまい忘れているミニ鉢を集めて、八個の組鉢を作ってみました。


前列左側から、①辰砂丸、②菊池清心染付長方、③金蕎麦丸、④菊池清心赤絵丸
後列左側より、⓹鉄釉丸、⑥辰砂丸、⑦色絵丸、⑧辰砂丸


すべての鉢に共通な属性を拾い出して括ってみましょう。
1⃣すべての鉢がやや大きさはことなるとしても、いわゆる豆鉢です。
 例 ②の菊池清心・染付長方は間口3.2×奥行2.4×高さ1.0㎝
2⃣すべての鉢が釉薬(ゆうやく)ものです。
3⃣すべての鉢が和鉢(日本鉢)です。

ですからこの組鉢は「和小鉢八枚組」と呼べるでしょう。ただ釉薬については、一言で表現することはできませんね。


一枚ずつ釉薬の色を見てください。ちょっと画像が暗かったようですが、渋めの釉薬が地味ながらしっかりとした輝きを見せています。


 よろしいですかみなさん。組鉢をまとめたときは、すべてに共通な属性を見つけだすのがまず最初のおしごとですよ。

2022年10月10日月曜日

楓の魅力


樹勢がこの上なく強壮でしかも春の目出し、新緑、深緑、紅葉と葉色の美しさだけでも年中を通してその趣を楽しむことができます。さらには盆栽の精神から言っても、その葉落ちの姿は最も鑑賞に値する季節の贈物とも言えるのではないでしょうか。


樹高20×左右30㎝の楓の古木


さらにその魅力を列挙すれば実生、挿し木、取り木、株分けなど、素材の供給も多岐にわたって可能です。この素材は実生苗をある時期に足元に取り木をかけて腰を低く改作したものと推測できますね。


唐楓の場合は本来の性質と丁寧な芽摘みなどの手入れの繰り返しによって、このような美しい繊細な枝先が出来上がります。


他の代表的な雑木類にもみじ、けやきなどが挙げられますが、楓ほどに多岐にわたって様々な樹形が可能な樹種はないでしょう。


これからも様々な角度から楓の魅力を追いかけて、個性あふれた小品やミニをこしらえて下さい。



 

2022年10月7日金曜日

ピラカンサ中品

ひと昔、ふた昔前のピラカンサといえば、もっぱら園芸界でのみ愛好されており、盆栽界では一段下の樹種とされていました。それはひとえに詫びさびをもっぱらとする昔の盆栽観の強い影響を受けた感性といえるでしょう。


ピラカンサ 樹高25㎝×左右30㎝

昭和中後期から平成令和へと時は過ぎるに従い、盆栽技術の発達は目覚ましく、さらにその波は整形技術にとどまらず肥培管理にいたるまで驚異的な発展を見せるに至りました。


昔では夢のまた夢であったような力強い骨格の中品ピラカンサ。千葉県の親しい愛好家さんが挿し木素材から40年の歳月を立派に育て上げました。


後ろ姿


実はやや小粒で色も鮮やか。

 

2022年10月6日木曜日

真柏の文人木

親指から人差し指くらいの、ごく細身の真柏。樹形は文人調で樹高は25㎝くらいです。


やや大きめの仕立て鉢風の安鉢に入っているので、夏の間は水やりが楽でしたが、こうやって改めて眺めてみると、もうちょっとお洒落な軽い感じの鉢に入れてやりたく
なりました。


サバとジンの本格的な掃除もまだなので、真柏特有の雅たきれいさが見られず、どちらかというとヤマだしの泥くさい感じが目についてしまいますが、水吸いの皮あたりの古色感はなかなかいい感じです。


後ろから眺めた姿も飄々とした感じが出て、けっこう味がありますね。


部分的な細部に目をやってみると、その古さは捨てがたい。




根気よく来春迄辛抱して、早春に思い切った整形をして幹と枝の見どころをはっきりさせて
鉢も替えましょう。
風が感じられるような洒落た真柏文人をお楽しみに。