ラベル 伊藤月香 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 伊藤月香 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年4月12日月曜日

月香赤絵


人気作家・伊藤月香の鉢の特徴とその魅力は様々に分析できますが、今日ご紹介するような瑠璃色のボディの四面に額を切り正面に山水図を描いたような作品は、実用鉢と装飾鉢の両面の欲求を満たしてあまりある感じがします。


間口15×奥行き11.5×高さ3.1㎝

切立て(きったて)の縁はシンプルで瑠璃色の窓に緊張感があります。
よってボリュームのある太い樹を植えてもよく似合います。


濃い瑠璃色と赤絵のコントラストが美しい。


たっぷりとした奥行きはまさに実用の美の象徴です。


上に向かって開いたボディーの角度がいい。


反対正面は鳳凰の図。


鉢裏と足の図。


鉢裏と足の図。


月香の最大の特徴と魅力は、近景、中景、遠景が秩序よく綿密な筆致で描き込まれ、見事な統一感にあふれた独特の世界が表現されている山水図でしょう。

 

2006年10月16日月曜日

思い出の銘鉢(9):伊藤月香 赤絵外縁切足長方

盆栽屋.comの「思い出の名鉢」シリーズ(お客様にご購入頂きましたが)思い出深い名鉢をみんさまの鑑賞用に復刻致しました。また、この場をお借りして愛蔵者の方々に感謝申し上げます。どうぞ小鉢の勉強にお役立て下さい。


伊藤月香作 赤絵外縁長方樹盆
間口13.5×奥行10.9×高さ4.0cm


側面をのぞく角度より

月香初期から中期の作品と思われます
四面に窓を切った意匠はすこぶる斬新です

今まさに果実を啄ばまんとする瞬間を活写した鳥の描写は、超一流の筆力です
月香の絵師としての才能は並大抵のものではありません、みごと

月香作品の中でも最高峰に位置する作品です
長方鉢の形も新鮮

まったくの無傷


もう一方の正面は唐子(からこ)の図
無邪気な愛らしさにみちた童子が戯れています


両側面は山水画


現在の作風との相違がわかる鉢裏の図


落款

2004年10月15日金曜日

月香五彩名品

30年以上も親しいお付き合いしている市内の盆栽愛好家(Aさん)が所有していた月香の五彩名品
Aさんは新品で使い味が出ていない鉢を手に入れると、草を植え棚におきます

水をやり肥料をやっているうちに、数年で使い味が出始めるのです
この月香鉢はやや10年くらい草が植わっていました


10年前にはピカピカの新品でしたが、10年の歳月はたいしたものです
縁にはしっかりと時代感が乗り、絵の部分もしっとりとした落ち着きが感じられます

「よくなる」「出世する」のは生き物である盆栽だけではない
鉢だって立派に観賞価値が上がっていきます

みなさんも実行です
ただし、割らないように!!


側面もしっかり落ち着いた雰囲気ですね


反対の面




拡大図


拡大図

2004年10月2日土曜日

画風の研究

宮崎一石、わかりましたか?

一石はつい最近のつれづれ草で取り上げています
常連さんではずれた方はちょっと勉強不足ですね

しかしそこは寛容な管理人のこと、叱るよりも熱意が肝心と気持ちを改め
なんともう一度ご親切に復習です

1)

2)

これが一石の五彩画の拡大図

3)

4)

3,4も一石鉢の拡大図

5)

6)

5,6は月香の絵の拡大図

7)

8)

9)

10)

7,8,9,10は雄山初期の絵

11)

12)

13)

11,12,13が涌泉の絵

4人の作者の絵の拡大図を並べてみました
それぞれに個性がありますが、一石の樹木の描き方の繊細さは際立っているのがわかります

解説抜きで4者4様の画風を見比べてみてください

感想は好き、嫌いでもなんでもイイ
自分の生に感じたことが言えればご立派!

みなさんが先入観を持たずに鑑賞できたころを見計らって
そのうちゆっくりと解説することにします

では!

2004年1月24日土曜日

見ずっこ買い

「見ずっこ買い」、このことばわかりますか?
私の造語かな?普段から使っているのでわかりません!

品物の説明を耳で聞いただけで、実物を確めずに「買いましょう」と約束、商談成立
つまり実物や画像を「見ずに」「買う」ということ
よくこれをやります、昨日もこれをやりました

朝8時にかねて約束の場所(人)へ出発、約束の時間は午前11時
そこまでの所要時間はおよそ2時間半

途中に例によって渋滞の箇所がある
一人旅はの車内は退屈、禁を破って同業者に携帯

「もしもし、何か入ってる?」
「雄山3枚と月香1枚、いいできだよー」、ワオーッ、ラッキー!

仕事は速いに限ります
誰かに買われちゃわないように、そく「見ずっこ買い」

「見ずっこ買うからとっといて」
これで商談成立、男同士の約束は破れませんゾ、お互いに

「見ずっこ買い」をするとルンルン気分、実物にご対面する時が最高潮
ご紹介の4枚の鉢が「見ずっこ買い」の収穫です

藤掛雄山作
間口12.7センチ

藤掛雄山作
間口11.9センチ

藤掛雄山作
間口14.2センチ

伊藤月香作
間口13.5センチ

どうです、4枚ともいいでしょ
今回の「見ずっこ買い」も大成功でした

ところで、「見ずっこ買い」するには幾つかの条件があります

相手の盆栽や鉢を見る「目筋」「価値観」が確かなこと
そのレベルや好みをこちらが掌握していること
また、人物が正直な人であり商品の説明が正確であること

あの人がいい品だという場合は、一級品に間違いなし
そんな信頼感を持てる相手となら「見ずっこ買い」はなんの心配も要りません

といって、私は愛好家のみなさんにそれを決して勧めはしません
プロ同士、それも信頼できる者同士でなければトラブルの元、あえて冒険することはありません

2004年1月12日月曜日

月香珍鉢2題

昨日午後遅めに仕入れに出る
当てのない仕入れでなく、すでに電話で約束してある月香鉢を二枚、同業者のところへ受け取りに行くだけ
車で一時間足らずの距離なので、遊びに出かけるような気楽な気分

向うへ着いても商売そっちのけで、そこの息子さんとインターネットと携帯電話の話
早く言えば、HPと携帯電話とをお互いに教えっこ、もちろん携帯は私が教わる方だ

私はPシリーズなので、同じ機種の若者が必要なのだ
少しは進歩、着信音を「オクラホマミキサー」から美空ひばりの「川の流れのように」に変更

チャンスがあればまた若いのを捉まえて、もう少し携帯の勉強をしよう

-------------------------------------------------------------------------

最近入荷した月香の初期のミニ鉢で、いたく気に入ったのがありました
このHPのトップページに載っているミニ鉢もよかったですが、これもいい

画像を見比べて鑑賞してみましょう
月香鉢 直径4.2cm


 月香鉢 直径4.7cm

縁と胴の形が違うけれど、胴に対する足のバランスがそっくり
同じ時期の作品と思えます

どちらも肉薄でロクロ技術が精妙
左は実弟の屯洋との合作、右もそのようです

文様の斬新さ、品のよさから
両方とも月香の前期の作品で、ミニの代表作といえるでしょう

鉢の収集家の好みそうなミニ鉢です
いい顔してます
 

山水画を主力に絵付けしている月香ですが、このような日本の古代文様の作品もいいですね
使い込みの時代感もよく、専門家の間でも評価の高い優れものです

左は青海浪、網代、亀甲の模様が呉須と赤絵で六面に施されています
右は亀甲の連続文様が一回り描かれています、どの面からも美しい


画像がぼやけましたが
落款は屯洋と月香画の二つです
月香の落款一つですが
おそらく合作でしょう

これらの2鉢は、月香の鉢作家としての軌跡を知る上でも大切な資料になるでしょう
初期作品、実弟との合作、ミニサイズ、文様、色絵、ロクロ技術などキーワードはたくさんあります

2004年1月7日水曜日

月香鉢検証

朝6時に起きて盆栽を見回りました
暮れに冬囲いをするつもりだったのが、忙しさにまぎれて延び延びになっています

この数日、鉢の表面が凍るようになりました
いくら暖冬なので油断していたというのが本音です

そこで昨夜、籠に取り込んだ100鉢ばかりを軒下に急遽取り込んで置きましたので
早起きしてそれらの鉢の状態を調べたのです

軒下の盆栽君たちの鉢は少しも凍っていませんが
比べて、棚の上の盆栽君たちの鉢はかなり凍っています

同じ吹きッさらしでも、軒下とその外ではこうも条件が違ってくるんですね
改めて、軒のわずかな出っ張りのありがたさを感じました

どんな状態でも軒下に取り込むべきですね
みなさんも各々培養所の条件は違うでしょうが、とにかく少しでも条件のいい所へ保護すべきです

当然のことですが、改めてご忠告!

さて、それでは今日のつれづれ草です


側面をのぞく角度から

月香作 染付外縁撫角長方樹盆(そめつけなでかくちょうほうじゅぼん)

月香初期から中期にかけての傑作です

彼は月の輪湧泉に影響を受けたといわれていますが
この染付け鉢は、それを証明するかのごときみごとな作品です

構図のとり方、呉須の濃淡、樹木を描くタッチ、遠景の連山の様子など
油の乗り切った技量のさえを見せ付けてくれます


正面から

ゆったりとした構図、余白も活きています

正面部分拡大図

樹木と根元の石組みの描き方がまことに巧みです
足のデザインにも注目

もう一方の正面

たっぷりした空間がこの絵のテーマを強調するの役目を担っています
呉須の濃淡も印象的

もう一方の正面の部分拡大図

筆のタッチに勢いが感じられます

側面

湖上に突き出た崖上の庵
奇景を描きながら月香の絵にはなぜか静寂を感じます

側面部分拡大図

沖の漁舟、筆は繊細ですね
それでいて筆は走っています、みごと

もう一方の側面

この面も余白がたっぷり、
各面の印象はすべて異なっていますね、計算されつくされたみごとな技量です


初期から中期にかけては「月香作」の落款です
鉢の時代感も十分です


月香作 染付外縁丸型樹盆(そめつけそとえんまるがたじゅぼん)

これは月香後期の作品と思われます
現在の作風が確立されたことをうかがわせる山水図です

しっかりした構図とゆるぎない筆の線
小さい空間に大きな景色を描いてまとめています


空間をタップリ取った構図、余韻があります

二つの鉢のここまでの解説は頒布を引用したものですが
↓のように二つの鉢の絵を並べて比べてみます
前期と後期に作風の違いがより鮮明に理解できます


前期


後期

筆のタッチ、線、樹木の描き方、石組みの描き方、余白のとり方
そのあたりに注意して見比べてくださいね