2020年5月19日火曜日

けやきの葉刈り(ポイント)

前項で話題にした唐楓(山もみじも)などの葉の刈り方は、指で摘まずに葉柄(ようへい)の中間にハサミを入れて葉を切り落とす方法をお勧めしました。何故この方法がよいかと云うと、葉を摘まんで葉柄ごと引っ張ると、時には葉と共に葉柄の元に隠れている新芽も同時にむしり取ってしまう恐れがあるからです。


写真で実際に説明してみましょう。


同じ種類であっても、それぞれによって微妙に成長速度や樹勢が異なります。各々の葉刈りの適期の見分け方は、春の新芽の固まり具合を見極めることかが大切です。
新芽の成長が止まったころ手で触れると、ガサツイタ感触がするようになります。
そのガサツイタ感触が葉が固まった証拠です。


葉を指で摘まんで引っ張る。


葉が取れましたね。しかしけやきの場合はもみじや楓と違って、葉柄の元(枝側)の新しい芽をむしり取ってしまうことはありません。
ですから、遠慮なく葉を摘まんで引っ張って下さい。


もみじや楓よりも作業ははかどりますね。


あらかた片付きましたね。枝振りの確認のためにも、なるべく全部の葉を落とした方がよろしいと思います。


わずか一ヶ月ほどの期間であっても、強い枝はこのように既にバランスが乱れています。


あまり枝先を深切りすると、勢いの強い枝に力が集まってしまいますから、やや浅めに枝先を揃えてやりましょう。本格的な追い込みは落葉時です。

ポイント
けやきは過肥になると徒長枝が出て、枝がごつくなります。
様子を見ながら少しずつ施肥。

2020年5月17日日曜日

さつきミニ盆栽(’明美の月)

細い小葉で枝打ちのいい「明美の月」という種類があります。葉が細かいので枝も細かく分岐してミニ盆栽に向いています。
みなさんは珍山(ちんざん)というさつきの種類を知っていますか。やはり葉が細かく、照り葉で花が紅い種類です。よくミニ盆栽として作られているのを見かけます。


樹高12cm

さつき類でミニ盆栽に仕立てるには、この2種類が向いているようですね。花もやや小振りだし葉も小さくて照り葉だし、強く剪定しても芽吹きもよくて壮健です。


明美の月は白地に紅紫色の絞りが鮮やかに入って、なかなかきれいです。それに、花弁の奥が黄緑色でこれを見ると不思議な感じのするほど心に響きます。


後姿、ご覧のように花つきもよく枝もよくほぐれるので、小品盆栽向きの種類です。
ただし、さつき・つつじ類は害虫に犯されやすいので、スミチオンなどで月に一回以上の消毒は必須です。



2020年5月14日木曜日

楓の葉刈り

前項で楓の寄せ植えについて葉刈りのお話をしましたが、やはり実際の教材を見ながらの勉強でないと理解できないかも。そんなふうにちょっぴりと反省していたところ、ちょうど作業の適期にさしかかっている楓の模様木が目につきました。それでは行きますよ。


自然風な幹筋と枝振りの楓の模様木。樹齢はかなり古く、20年くらいは経っているでしょう。枝数はまだ多めなので、完成までにはまだ切り落とす枝が何本もあります。春から芽摘みをせずに、そのままボウボウに伸ばしておいたので元気いっぱいです。


フトコロに日も風も通らないので、あと2週間もこのままでおくと、奥の芽が弱ってしまいます。そうならないために行うのが葉刈り作業です。


指で葉を摘まんで引っ張ってはいけません。小さなハサミの先で葉柄の中間から一枚一枚ていねいに切り取っていくのです。ちょっと手間がかかりますが、時間をかけてゆっくりと楽しみながらやってください。


葉刈り完了!
春の芽出しから僅かな月日しか経っていませんが、しばらくぶりに見る枝ぶりがなんとなく懐かしい感じがします。このような時はとても新鮮な気持ちになります。


暫くぶりに見る枝ぶりの長所や欠点を微調整するのも葉刈りの楽しみです。


あれ、こんなに根張りがよかったっけ!?



樹勢によってはもう一度葉刈りができますが(年2回)、ふつうはこれで秋まで枝ぶりは見ることができませんね。このさい、将来の構想などもしっかりと建てておきましょう。

葉刈りにまつわるワンポイントアドバイス
① 葉刈り予定の半月くらい前に殺虫消毒と施肥をしておく。
② 樹勢の弱い場合は、葉刈りを避ける。
③ フトコロ芽の弱い場合は、表側の葉刈りだけを行う。
④ 若くて樹勢のよい場合は、夏前に2回の葉刈りも可。
⑤ 山もみじは芽摘み、葉透かし、葉切りなど行うが、葉刈りはさけましょう。




2020年5月11日月曜日

楓寄せ植え

実生苗を寄せ植えして、おそらく5~6年生と思われる唐楓。鉢の間口はやっと15cmくらいで狭苦しいくらいですが、細身の主幹は28cmとかなり背が高い。



ところで、寄せ植えは奇数本でといわれますが、この寄せ植えも基本に忠実に11本でつくられています。
まあ、基本は基本として、5本以上であれば絶対奇数に拘らなくてもよろしいと思います。まあ目安として、4本くらいだとひと目で数がわかりますがその上の偶数である6本となると、一応「1、2、3、4・・・」と数えないとわかりませんね。
ですから私は、寄せ植えや株立ちについては、6本以上の場合は偶数、奇数よりも全体の構図の方を優先させるようにしています。


それから寄せ植えで気をつけることがもう一つありました。
もみじや楓の実生苗を使う場合、葉性の似通ったものを使うようにすることです。
葉性が似ているということは、枝の性質も似ているということですから、見た目も管理も同じようにすればいいということなので、非常に楽だということに通じますね。

自然な雑木林の風景を楽しみましょう。
参考のために、これからの数ヶ月の管理のポイントをお話しておきましょう。

①これから一ヶ月くらいの入梅前にしっかり芽摘みをします。
②肥料と消毒を忘れない。
③5月の末になったら葉刈りをします。
④植替えは来年の春。
⑤葉刈り後にも芽摘みを怠けないようにしましょう。




2020年5月6日水曜日

五葉松新芽摘み

4月の末ごろから5月いっぱいくらい、つまりローソク芽が伸びきって葉が開ききらないうちに新芽摘みをします。


まだ培養中の素材の段階なので、やや大き目の鉢に入っています。ですから新芽の伸びもよく、早めの芽摘みが必要です。


不揃いの芽は中間の長さの芽にあわせて、長さを揃える様に指先(爪)で摘みます。
早い時期であればハサミを使う必要はありません。
また芽摘み予定の2週間くらい前に施肥をしておくと、摘まれた芽先に二番芽が吹きやすい。


爪の先を使って!!


複数の芽であれば中間の勢いの芽に長さをあわせて調整する。


思い切って!!


ちょっとだけ残して長さを調節したりするといい。


爪先で簡単に切り取れるうちが適期です。


最後に全体のバランス調整も行います。


作業2週間前の施肥を忘れないように!!

この後で芽数が増えすぎた場合には、夏前に芽切り作業をして芽数と長さの調節をおこないます。
また、同じ松拍類でも黒松や赤松などの芽摘みはやり方が異なるので他の機会にお話しすることにします。