2006年7月25日火曜日

きんずの培養法2

前項の画像をもっとていねいに処理しました



来春5月までタップリと元気をつけておいき、一気に追い込む計画です
幸いなことに、きんずは切込みにはめっぽう強い樹種で、めったなことで傷が「ヤケ込む」ようなことはありません



足元の直径は4.2cmとかなりの太さ
予定樹高は9.0cmで楽々とおさまるので、予想図のような本格派模様木を目指します

さて、今日の本題の「きんず培養法」にいきましょう

1 年間を通じ雨の当たらない置き場で管理する
2 寒さ対策を万全にする
3 水はけのいい用土で植え込み、やや乾かし気味の水管理とする

この三点を忠実に実行すれば、今までとは格段の、信じられないくらいの成果が約束できるのです
では、その詳細をお話しましょう

1 きんずは、雨、まして今年のような長雨に当たると、根が冷えてすぐに根腐れをおこします
  また、すす病などにかかり樹勢を損なう原因も雨なのです
  
  絶対に雨に当てない!
  活動期、盆栽屋.comではきんずは軒下で培養、吹き込むような雨の場合は作業場に避難します

2 晩秋には越冬のため、早めにムロに囲います
  厳冬期の最低条件も、鉢が凍らない場所、可能なら5度以上の温度を保って越冬し
  春のムロ出しも、4月末ごろまで我慢します

3 やや粗めの土で水はけよく植え込みます
  乾いたらたっぷりと水をやりますが、鉢土がいつもさっぱりした状態が望ましい
  鉢の表土に苔を生やさない、これも案外重要
  肥料は普通にやります

なーんだ、秘伝だなんてもったいぶったって、そんなことかー!?

ちょっと信じられない方もいるでしょうが、騙されたと思って実行してください
やさしいようで案外難しいことばかりですよ

では

2006年7月22日土曜日

きんずの培養法

この春先にきんずの好素材に巡り会いました
ご覧のように枝数も多過ぎて伸び放題ですが、肝心の根張りと幹筋と枝順はしっかりしています

数年かかるでしょうが、思い切った改作をし
きんずミニの名木に挑んでみるつもりです

人気樹種のきんずですが、名木が極端に少ないのが悩みの種
それはきんずの培養法の難しさから来ているのです

そして、きちっとした培養法が一般に知られていないため
ほとんどの名木が命半ばに元気をなくして瀕死の状態になってしまうことが多いのです

ここでひと踏ん張り、盆栽で長年ご飯を食べさせていただいた皆様へのご恩返し
きんず培養の秘伝、必勝間違いなしのウルトラ培養法をお教えしましょう



樹高7.0cmの箇所で切り戻しの予定
完成予定樹高は9cm
(現在の足元の幹の直径は約4.2cmです)

どうです、しっかりした骨格でしょ
根張りは八方に張っていて太い幹にもゆったりとした模様が入っています

完成のあかつきには、堂々たる風格を持った
本格的な模様木になるでしょう



現在の姿

購入した時点ではかなり樹勢が落ちていました
暖かくなる5月まで待って仕立て鉢に植替え

早く上の画像のように、芯や枝を切り詰めたい(今でも十分可能です)のですが
これほどの好素材なので慎重を期し、来春まで辛抱することに決めています

づづく

2006年7月18日火曜日

荒皮まゆみの名木




親しい友人(同業者)が仕入に行くと聞いていたので、翌朝6時に電話する

人さまの家に朝6時の電話をかける行為は普通は遠慮しますが、この場合は断じて別
何故って、仕入れた盆栽を一番乗りで物色するためなのです、許されよ!

内容を聞いてみると、まあまあの盆栽を10点ほど仕入れたとのこと
約40分くらいの距離なので、ともかく一番乗りを約束し、朝飯も食べずに、そく出かけました

盆栽屋同士の「一番先に見せる」という約束は、文字通り先に他の人には見せない(隠しておく)
もしくは、買いたい人が来ても売らない(二番手は私の選ったあとで物色する)ということなのです

このように、盆栽の仕入れには、普段からのコネクションと情報収集
それに約束事がものをいうんです、口約束でも契約は契約というのが盆栽屋流

というわけで、着いてみると、10点のうちでこの荒皮性のまゆみだけが、ばかに光って見えました
それもそうです、他の9点もそれなりにイイものでしたが、このまゆみと一緒にされては、とたんに霞んでしまったのですね


「こんな素敵な奴にはめったに出会えないぞ!」
ミニ盆栽懸崖としてこれ以上ないと思えるくらいの理想的な姿で、一分のすきもなし、完璧!

山で皮性(かわしょう)と枝性(えだしょう)の優れたものを探し出し
根伏せで殖やしたものだそうで、樹齢はおおよそ20年に近いでしょう

根元から立ち上がった幹に微妙な模様があり、ここが第一の見せ場になっていて
とても10cm以下のミニとは思えない迫力が感じられます

下垂した枝先も長すぎずしまっていて、バランスがいいですね
枝が長すぎるとせっかくの足元の力がボヤケテしまうのです

ともかく、超一流の展示会(国風展・雅風展)に楽々と通用する最高レベルの名木
鉢も無名作家のものですがよく映っています

まあ、しいてこのまゆみの難点を上げるとすると
このまゆみが完璧すぎちゃって、席飾り際にふさわしい相棒たちを見つけるのに苦労するだろうな、ってことでしょう


足元の拡大図

立ち上がった幹の動き(模様)
躍動感がありますね

木肌の荒れにも迫力と気品が感じられますね
根張りまで荒れた木肌にご注目


立ち上がった幹が激しく屈曲して下垂する角度もよく
縦に深く割れた幹肌も魅力満点です


上方から見ると、根元から枝先までの距離が案外に短いのが、よーくわかりますね
さきほど言ったように、この距離が長いと樹形がダレテしまうのです


上から見ても幹に模様があります
この上からの模様が全体の樹形に動きと変化、それに奥行きを与えているのです


盆栽界の格言に「名木に裏表なし」とありますが
まさにそうですね、どっしりと落ち着いた風格のある後ろ姿です

今日は最初から最後まで自慢話でした
では