2008年12月18日木曜日

長寿梅五態

むかしむかし、40年以上も前のこと
とうじまだ木肌の荒れた長寿梅の古木が少なかったころ

やっとこ手に入れた人差し指くらいの5幹の株立ち中品を可愛がっていました
値段もはっきり覚えていますよ、5万円! 当時としては大枚をはたいたんです

今でも長寿梅というと、あの初めて持った株立ちを思い出すんです
やはりいつまでも忘れられない盆栽ってあるんですよ

主幹が太くやや右流れで、木肌がイボイボに荒れ、小枝もよくほぐれた優れもので
若いアンチャンの持ち物としては異例の渋いものでしたね

さて、あれから40年、盆栽樹種にもその時々による人気の浮沈があり
もてはやされた樹種でも消えてしまったものも多い中で、長寿梅の人気は地味ながら不動の地位はかわりません

そして、その間に技術が飛躍的に発達したせいで
むかしは株立ちオンリーであったのが、単幹や石付など、多彩な樹形が見られるようになりました


株立ち小品

むかしながらの株立ち状の長寿梅
樹形もさることながら、自然風な趣を意識した樹形で席飾りの添えとして最適


石付小品

石と一体になった構図のおもしろさと自然の風情に重点を置いた構図
株立ちを同じく席飾りの添えとして最適です


根上がり小品

長寿梅特有の根の模様の変化を活かした樹形
飄々とした風情もあり、席飾りの一員として活躍が期待できます


単幹小品

近年人気の単幹本格模様木
40年もむかしには見られなかった樹形で、培養技術の飛躍的な発達を強く感じます


単幹小品

培養技術や知識が発達し、これほどに枝を密に作りこむことも可能になったのです
のんびりとした時が流れているように見える盆栽界も、振り返ってみるとその技術の進歩は目覚ましいものがあるんです

2008年12月15日月曜日

野梅と福寿草

千葉県松戸市では、今朝方の冷え込みは今年最高で、庭の水瓶に初氷が見られました
冬囲いが終わったいてよかった!

ところで、師走も半分が過ぎ松竹梅や福寿草が目につく季節になりましたね
そこで今日はお正月用の梅と福寿草の寄せ植えをご紹介しましょう

松竹梅よりも簡単に楽しめ
その後の管理も楽なのでお勧めです



持込の野梅を鉢からすっぽりと抜き、福寿草を植え込むためのスペースだけ軽く根をほぐし
やや大きめの鉢に植えつけたもの、初春の雰囲気いっぱいです

花後の管理(松竹梅も共通)

屋内で鑑賞して花が終わったものは、そのまま屋外へ出してはいけません
たちまち風邪をひいて弱ってしまいます

花が終わったらムロかそれに準じた置き場で越冬させ
春なってから梅は本格的に植え替え、福寿草は水はけのいい半日陰の場所を選んで庭に植え戻す

鉢植えでの福寿草の栽培はかなり難しいため
山野草専門の愛好家でないと無理、そう割り切ってくださいね

松竹梅であれば、三者を別々の鉢に植え替え
来年用に管理します

以上、ふだんご懇意にしている「栃の葉書房」の「趣味の山野草・1月号」から画像をお借りしました
画像がきれいで楽しめる趣味の雑誌ですよ

月刊誌 「趣味の山野草」 栃の葉書房 栃木県鹿沼市御橋町1-3002-24
電話 0289-64-3311

定価 1.050円 (送料116円)

よろしく

2008年12月13日土曜日

冬囲い(重要)

みなさん、冬囲いの作業はすみましたか?
すんでいないひとは、年内くらいにはやっていただきたいですね

私の住む千葉県の内陸部では、初霜の降り始める12月の初旬ごろを目安として
毎年、遅くとも年内に終わるように心がけています

しかし、早すぎてもいけない
強い霜に2~3回当てて、盆栽たちがしっかり眠ってから囲うようにします

冬囲いの設備や置き場所の最低条件は

1 霜や雪が当たらない
2 冷たい北風に直接当たらない
3 鉢内がひどく凍らない程度の温度が保てる
4 日中と夜間の温度差が小さい
5 適当な湿度がある

などを満たせば十分です
それでは、挙げた5項目について詳しく解説してみましょう

1については、みなさんおわかりですね
ですから、他の4項目がやや満たされていれば、片屋根のベランダの隅でもいいわけですね

2は大切な条件ですよ
枝先の繊細な雑木類などは、冬の乾燥した冷たい風が大嫌いなのです
簡易な施設であっても北と西側は必ず風除けをしましょう

3は案外に誤解されたいる条件です
これは、「表面がやや薄く凍っても日中には必ず解ける」という程度
ですから、許容条件はかなりゆるくて、少々凍ったって大丈夫
つまり、冬囲いの施設は温室でなくってもいいので
「過保護は禁物」

4も大切なこと
人間も植物も同じで、激しい温度差が身体にこたえるのですよ
ビニールやガラス戸は遮光ネットなどを張って、日中の温度を上げないように工夫しましょう
もっとも松柏類には日光を当てたいので、雑木類と区別して保護する方がいい

また日中の温度が上がりすぎていると、来春早くに芽が出てしまい
徒長の原因にもなるしムロ出しのタイミングも難しくなります

5も大切
繊細な枝先などは乾燥には弱いものです
冬であっても日中の暖かい時間帯に霧水をやるなどの配慮も必要でしょう



盆栽.comの冬囲い

棚の上と側面をコンパネとビニールで囲い、南口を開けたムロと
コンパネの片屋根の組み立て式ムロ

夜間は南口はビニールを幕のように垂らして防寒しますが
松柏類には防寒幕は使いません



棚下のムロ
下が地面なので湿度が保てます

しかし、寒中には鉢土の表面がやや薄く凍ることもありますが、日中には解けます
盆栽にとってはこのくらいが最適な保護なのです



片屋根式のムロ
寒い日にはビニールの防寒幕は開けないでおきますが
晴れた日には温度が上がってしまいうので開けっ放し

それでは、まだ冬囲いをしていない愛好家さんたちは、そく実行!

そして、不十分と思う人は追加作業
過保護の人は↑の条件をよく読んでください

2008年12月1日月曜日

野梅の枝作り

種木の状態から完成まで、梅の枝作りをご紹介します

この枝作りの方法は他の雑木類にも応用できる大切な技術ですから
しっかりとマスターしておけば、あなたの技術は大幅アップします



種木から枝作りを始めて2年経った樹齢20年の天草野梅



1年目(白点と白線にご注目)

・胴から吹いた芽の白点から白点までが1年目の枝
・入梅前の柔らかい新芽に針金をかけ、秋まで伸ばしっ放しにしました
・2年目の春に1~3芽くらいを残して切り詰めました

2年目(赤点と赤線にご注目)

・赤点を基点にして伸び始めた新芽に、針金で曲をつけながら赤矢印の方向に徒長させました
・今秋に先端の赤点の箇所で仮止めをしました 



3年目

・来春の芽出し前に、白線の箇所から1から3芽くらいを残して切り詰めます(芽当りを確かめてから)



3年目の入梅前~秋までの予想図

・入梅前に3年目の新枝に針金をかけて曲をつける
・水と肥料を多めに培養しながら、秋まで枝を充実させる
・3年目の枝で、基本の骨格はあらかた出来上がります



4年目以降の想像図

・太めの茶色の線が3年目の枝(1~3芽で切り詰めてある)です
・3年目の先端の細い枝が4年目以降の枝
・4年目以降は新芽に針金をかける必要はありません、以後は切込みにより小枝を密に仕上げていきます
・花芽は4年目あたりから本格的に鑑賞できるようになります

ほとんどの雑木の基本形は、このように3年~4年計画でこのように作り込んでいくのです
みなさん、しっかり勉強してくださいね