2015年8月26日水曜日

水切れの症状の見分け方

水切れは、急性よりも慢性の方が症状がひどく、回復しにくいことは既にご存じですね
(この場合の急性とは1~3回分、慢性とはそれ以上の水やり回数を目安とします)

08/21 急性水切れ・出猩々 でお話ししたように症状から判断すると
短期間に葉の大部分が落葉するようなら、案外に助かることが多いんですね

ところが、今日お見せする(↓の山もみじ)ように
まるで造花のように枯れたままの葉が落ちずにずーっとついている

こんな場合は症状に似合わず
ほとんど命は助かりません


葉の枯れた山もみじの超ミニ



指先で触ったくらいでは葉は落ちませんが・・・

先日の猛暑日が続いた数日間
日蔭に取り込んでおいて油断したんですね

気がついたら水が切れて葉がチリチリ
翌日あたりに葉の落ちた他の鉢は、その後に再び芽が吹いて助かりましたが

この鉢だけはご覧のように10日以上葉がついたままです
そして、木はとっくに枯れてしまっています(涙)



枯れ葉の拡大図

このようなかわいそうなことにならないよう
水切れには気をつけましょうね

2015年8月25日火曜日

ちりめん桂取木成功

3週間前の8月2日のスクールにトリクンが持ってきたちりめん桂
聞くところによると、ネットオークションで見つけた掘り出し物であるらしい

画像でおわかりだと思いますが、いずれ追い込むことになる徒長枝を取り木の材料にして
最後は基本の骨格を活かして、主幹のしっかりした株立ちをゲットしようとの魂タンですね

それにしても、トリクンがこのちりめん桂を植え替えたと思ったら
次いでいきなり↓のように2か所に取り木作業(環状剥皮)を始めたにのはびっくり

時期がちょっと遅いんじゃないの?
来年まで我慢した方がいいんじゃない?

ところが、それから23日のスクールまでわずかに3週間しか経っていないのに
ビニールの内側には早くも細いモヤシのように白根が見えてきましたよ

大成功!!

我々の頭の中には「取り木は春先の芽出し前か入梅前」という「常識」が
ドンと大きく居座っていますが

若い人は経験と知識が少ない分だけ、逆に積極果敢になれるともいえるのでしょう
来年まで待つなんてことは考えず、どんどん手を動かしていきますね

このように、若い盆栽人と交わっていると、ほとんど不動のものになっている我々の「常識」なるものがが
不意に揺すりをかけられることに度々遭遇します

そして失敗もありますが、成功すればそれはいずれ確たる技術や理論となって定着し
次の世代に受け繋がっていくわけですね

こんなに猛暑日が続くのに、環状剥皮で短期間に発根した理由は

1 もともと樹勢の素材であった
2 施術が正しく丁寧にされた
3 術後の置き場所が棚下の涼しい場所であった

と考えられます


日の当たらない棚下に置いたので葉の傷みがない
環境さえ整っていれば取り木の適期はもっと幅をもっても可能なようですね

こんな記事もありました


ビニールの内側に白根が見えますね


根っ子の拡大図


2か所とも発根

2015年8月24日月曜日

こぶし狂い咲き(猛暑日復活)

ネット歳時記でおもしろい俳句を見つけました

ほらごらん 猛暑日なんか作るから   中原幸子

夏日・真夏日・猛暑日とだんだん過酷な命名がされるので
極端な呼び方にすっかり慣れてしまったようで、まったく今じゃ猛暑日なんか当たり前ですね

盆栽棚では珍しく紅こぶしが狂い咲きです
この一週間くらいで先端の花芽が膨らんでご覧のように開花してしまいました

春、桜より早く葉が展開する前に開花するこぶしですから
このように緑を背景にするといくらか派手な感じがしますね

本番はちょっぴり寂しげな雰囲気をもった花だと感じているんですが
みなさんはどんな印象をおもちですか?


さて、暑い暑いと言い続けていたこの夏も、立ち止まってみればもう8月も下旬
盆栽人としてやるべき秋の手入れがいっぱい迫ってきています

消毒は?肥料は?
寒冷紗だって一ヶ月以内には外すことになるんですよー!

こりゃ、がんばらなくちゃ!!!
暑さ復活だなんて、だらけていてはいけませんな!!!

2015年8月21日金曜日

急性水切れ・出猩々

昨シーズンからお二人で通っていらっしゃるIさんご夫妻
お二人の今季の課題は、昨年手に入れたこの高級品の出猩々もみじを何とか維持することでした

でした・・・というのは、途中でその出猩々にひと破乱あったからですが
正直、Iさんから「葉が徐々に枯れ落ちてしまいました」とメールを頂いたときはドキっとしました

Iさんのお住まいが高層(13階)とうかがっていましたし
何よりも、まだ二年目の超新人さんですからね


8/20撮影

16日のスクールでお目にかかるまでは
半分くらいは諦めの境地というか、もしものときの覚悟はしておきました

その段階では今ほど新葉は展開されていず
枯れ葉もいくらか残って、もう少し惨めな姿でしたが


さすがベテランのツカさんやヒーさんなどはこの出猩々の
枯れ葉の縮れぐあいや落葉の度合いなどから、おおよその予想はされていたようです

「大丈夫、生きられそうだ!」

もちろん経験の浅いIさんご夫妻には、これから先の成り行きは読めるはずもありませんが
これから盆栽をやっていく上でいい経験になったと思います


入院から4~5日
新葉が力強く展開してきました(枝葉の乱れは改めて剪定しましょう)

よかった!助かりましたね
初めて診察したときに、葉の枯れ方と縮みの症状から見て、これは急性の水切れだと判断しました

大まかに分けて水の切れ方も
徐々に慢性的に水不足が繰り返された場合と、急激ではあっても一時的な水不足による障害とがあります

ちなみに、慢性的水不足の繰り返しによる場合、縮れた枯れ葉がいつまでも落葉せず
急性の場合はゾロっというか、いっぺんに大量の葉が落ちるのが特徴的な症状です

そして、急性の水切れの方が比較的回復しやすく
慢性的な水切れによる葉ふるいは、なかなか立ち直るのが難しいんですね

急性の方がダメージが深部に達していない
そのように判断してよろしいでしょうね

というわけで、Iさんご夫妻の大切な出猩々はどうやら急性の水切れによるもので
もうしばらくの養生により何とか回復しそうな感じです

やれやれ、よかった!!

初期の段階で高級品を枯らすと、それがトラウマになって
その後の趣味人生で足を引っ張られますからね(笑)


出猩々もみじの春の新葉はすべて落ちてしまって
これから出揃うのは新しい葉です

高温多湿の時期は「うどんこ病」などが発生しやすくなりますから
トップジンなどで根と枝葉をしっかりと消毒してやりましょう

2015年8月20日木曜日

くちなし、その後

新芽の裾葉が黄変するピンチにみまわれ
急きょ「トップジン」で消毒して棚下へ避難させたくちなし

あれから約10日ほど経過したので
その後のご報告です


本日(08/20)の写真

相変わらず黄変した裾葉が発生していましたので
それらを掃除してからの写真です


枝葉の拡大図


しかし現在、裾葉が黄変しているとはいえ、10日前のこの写真ほどではありません
このときの消毒とその後の置き場所のお陰で、症状はいくらか改善している感じです


そこで今日も「トップジン」で消毒(ただし、今日は噴霧器で)
バケツへ根を浸すのではなく、霧状の液をたっぷり散布しました


トップジンの消毒液

というわけで、あと一週間ほどこのまま経過を観察するつもりです
枯らすわけにはいきません

では

2015年8月7日金曜日

くちなし、ピンチだ!(続)

再びくちなしのことですが
今の状態で一番の気がかりはやはり裾葉の黄変です
だって

1 水切れなしで
2 強い日当たりを避けたいい環境に置いてあるし
3 鉢穴から白根がはみ出すほどに根の状態はいい

それでも、裾葉が黄変して新芽の伸びもイマイチで
樹勢はややジリヒン状態なんですからね、どうしちゃったんでしょうね?

普通であれば、置場を棚下の日蔭にしてしばらく様子を見る
そんな感じで楽勝の感じなんですが、今回だけは気になって心配でたまりません

ということで、念のためにトップジンの溶液に根を浸すという方法で
しっかりと消毒をすることにしました


トップジンのゾル状の薬品が使いやすい
水で希釈して800~1.000倍液を作ります


枝葉はもちろん鉢ごと2~3時間溶液に漬けておきましょう


このくらい裾葉が黄変するってことは
やっぱり何かしらの病原菌に侵されているのかもしれません


ポイントは最低でも2~3時間浸しておくこと


くちなしの消毒を終わった残りがもったいないので
五葉松もついでにしょうどくしておきました(笑)

この後の経過はまたお知らせします
どうぞよろしく

2015年8月5日水曜日

くちなし、ピンチだ!

庭の盆栽たちが大切で可愛い自分の子供だとすると
盆栽人はみな、とてつもない大家族の生活をしてるわけですね(笑)

そして主人は、まさしく封建時代の家長よろしく
自分の盆栽の隅々まで気を配り、あらかたの状態は把握しているものです

大金をはたいて手に入れたお宝からクラスから、末は実生や挿し木から面倒見てきたものまで
まずは家の子郎党全員が健やかな日常を送れるように気を配っているのですね


さてそんなわけなんですが、現在我が家ではちょっと心配ごとがあるんです

この画像のくちなしクンが衰弱気味で、その原因がはっきりしないので
従って有効な対処法がみつからない中途半端な状態なんです


昨年から我が家にいるんですが、今年の春(4月下旬)に植え替えた後
新芽の伸びがイマイチ鈍くって、新葉の緑色もやや呆けたっきりです

その上に、新芽の裾葉が黄色く脱色して、画像のように生気が出てきません
このまま急に下り坂を転がり落ちるような感じでもないが、Vの字に回復する感じもありません


新芽は鈍いながらもまあまあに上がっていますが
裾葉は順次脱色して落葉しています

緑の色彩色彩も薄いですね
暑さが大好きなくちなしですから、今の時期は深い緑色に輝いていなければいけません


後ろ姿

くちなし特有の形成層が腐る病気の兆候はありません


春の植え替え後の根の成長も順調なようですが・・・


寒冷紗使用の棚上に置いて管理していましたが、入梅明けの激しい暑さが続いているため
この数日は棚下の1時間ほど朝日のあたる場所で様子を見ています

水は過多にならないように
ただし、水切れは絶対だめですね

まずは、裾葉の黄変がおさまってくれることが第一
第二は新芽がもう少し元気よく徒長してくれることです

このままだと「ジリヒンギミ」でかなり苦しい
打つべき積極的な有効な手がない感じ

どうしましょう?

それでは、またご報告いたします