2013年2月20日水曜日

日本春蘭開花

昨シーズンに、ある春蘭の愛好家さんから長期旅行中の間の管理を依頼され
18鉢の愛蔵品を2ヶ月間おあずかりすることになりました

そのために、10月から12月までの2ヶ月間の春蘭置場として
日除け風除けにポイントをおいた専用の置スペースを設置しました

そのときに、親しい愛好家さんから譲っていただいたのが
今日みなんさまにお見せする日本春蘭の「極紅・きょっこう」です

私自身、ずーっと昔から、清楚でしかも高貴な雰囲気の花姿に惹かれ、いつかは持ちたいと思っていながら
なかなかその機会がなかったので、とにかくなにごとも初めての体験です

まるで大昔に初めて盆栽を手に入れたころみたいに、わからないことばかりで
些細なことにでもワクワクドキドキして、うれしいやら心配やらで、まことに新鮮な気持ちを味わっています

そんなこんなのうちに、2月の中旬にふと気がつくと
ごらんのように、春蘭「極紅」はみごとに開花しているではありませんか


7つばかりの花蕾たついていたのですが
そのうちの6つの花弁が開いています

蘭はそのまま咲かせると花の茎が短たいめに
このように葉と葉の中側に咲いてしまいます

ですから、開花前に花蕾にアルミホイルの簡易なキャップをかぶせて遮光し
花芽の茎を伸ばすのだそうです

そうすると、茎は葉の外側まで伸びて
鑑賞上とての都合がいいらしいですね


持ち込みの株が大きいと
このようにたくさんの花芽をつけるそうです

日本人の微妙な色彩感覚と表現は、やはり独特ですね
この色を「紅」と感じるのですからね


私の住む松戸市の山林にも、まだ春蘭が自生していますが
それらは透明感のある薄い緑色がかった花です

それでは

今日は盆栽とは関係ない植物のお話ですみません
はじめて手に入れた春蘭が咲いたので、うれしくてみなさんにお見せしたくて・・・

2013年2月18日月曜日

けやき実生挿木苗、2年生となる

昨年の春に播種され、4月から5月にかけて直根を切られて挿し木をされた当歳苗
今年はいよいよ2年生苗となって,いよいよ盆栽素材としての道を歩み始めます

誕生からわずかの日数で直根を切られ挿木をされる、という試練を受けて生き残ったけやき苗も
これからもさらに厳しい選択としつけを受け続けて、次第に一人前になっていくのです

さて、その2年生になるための大きな試練である根の追い込みは
けやきの箒作りには一番大切な要素である、素直な立ち上がりと八方根張り作りのための重要な作業です

じっくり勉強してくださいね

次を参照しながら       


ムロの中で春を待つけやき当歳苗
さてこれからスパルタ教育が始まります


ポットから抜いて用土をすべて落とす

挿木をした幹の元から2本の太い根が出ていて
その上の幹の途中からも数本のひげ根が出ていますね

この2本の太い根を(怖がって)長めに残すようでは
このけやきに素晴らしい将来は期待できません


(第1案)上のひげ根の位置を立ち上がりと想定するなら
赤線の箇所で切り取ります


(第2案)2本の太根の二又を立ち上がりとするなら
上のひげ根は切り取ります


今回は第2案を採用して上のひげ根を切り
同時に太根も短く切り詰めます


太根の二又から1cm未満まで切り込みましょう

え!こんなに短くって大丈夫ですか?ですって

大丈夫、実際にはもう一度切り戻しいますよ
このくらい根っ子があれば十分ですね

去年の春に直根を切られた時と比べてみてください
まったく枝根のない状態でも生き抜いてきたんですから、これくらいではメゲませんよ


根を傷めないように、細かい用土で植えてください
赤玉土と鹿沼土を半々にしました

ただし、いくら細かい用土でも
ミジン粉だけはしっかりぬいてくださいよ


枝も短く切り詰めて春の芽出しを待ちます

置き場所はビニールトンネルの保護室にします
(湿度があって凍らない置場)


もう1本見本の画像を添えましょう
この苗の発根状態はかなり上々ですね


ここでも太根は短く切り込まれていますね


反対側からの画像
とにかく太根は短めに切り込むことを心がけます

それでは、みなさんもがんばって

2013年2月14日木曜日

トンネル保護室は優れもの

植替え後のトンネル保護室内の最低気温についてのご報告で
ほとんど凍る心配がないことをお伝えしましたね

ところが、立春(節分)も近くなって、時として日中の気温が10℃をこえるようになると
こんどは、ムロ内の温度の上がり過ぎが気になってきます

そして、昼夜の温度差が大きくなると
人間同様に植物にだってかなりの負担になるからです

そこで、節分まぢかの1月31日
従来からの冬ムロと今年から採用した植替え用のトンネル保護室との温度差について比較してみました

これって、意外に重要なことですよ


1月31日撮影

庭の水連鉢には連日1cm弱の厚さで氷が張っている
ちなみに、我が盆栽屋.comでは、この氷の厚さが1cmをこえると「低温注意報」が発令されます


1月31日午前10時撮影 

外ぶたのブルーシートを通して日光が当たり、冬ムロ内部の気温はすでに8℃ほど
寒中とはいえ暮れから正月あたり比べると、日差しは格段に力強くなっていますね


さてそれでは、植替え用のトンネル保護室をのぞいてみよう


どーです!

同時刻でもトンネル保護室の中は、まだ3℃くらいしかありませんよ
そして、湿度もたっぷりなことが画像でもおわかりですね


さて、30分が過ぎたところで寒暖計を見ると、わずかの間に気温は急上昇して、10℃を軽くこえていますよ


一方、同じく30分が過ぎたトンネル保護室の中は、ほとんど変化なし
これって、ほんとにすごいことなんですよ


正午を20分ほど過ぎた時点では、外気温をはるかにこえて16℃にも達しています
冬ムロ内の明け方近くの最低温度は、おそらく2~3℃でしょうから、昼夜の温度差は10℃以上になりますね


かたや、トンネル保護室はどんなようすでしょう?
画像でもおわかりのように、北側のビニールハウスにもかなり日が当っていますが・・・


しかし、なんと、なんと、トンネル内の気温はやっと5℃
午前中10時から数時間たっても、わずかに2℃しか上昇していません

恐るべし、トンネル保護室!
かなりの優れものであることが実証されましたね

ということで、普通の保護室に比べて、ビニールトンネル保護室内では
最低と最高気温の差が極端に小さいことがわかりました

このように温度差が小さく、湿度もたっぷりの置き場は
植替え後の負担が少なくてベストな環境です

人間の病院でいえば
さしずめ、ICU(集中治療室)ってところですな

そしてまた、平均温度が抑えられているので
芽が早めに動いてしまう心配もありません

あまり早くに芽が動いてしまうと、小枝の先端が徒長してしまうし
彼岸ごろのムロ出しのタイミングもかなり難しくなってしまいますよね

ということで、みなさんも保護室の温度をあまり上げないようにしてくださいね

それじゃ!