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2017年3月25日土曜日

芽を切り替えて樹形作り

特にミニでは、限られた大きさの中でサイズを短縮したり樹形を作り込んでいくわけなので
小さな一つの芽がその木の可能性に大きな影響を与えることがしょっちゅうです

みなさんにも経験がおありのことと思います
あの枝切らなきゃよかったとか、あそこに芽が吹けばなー、とか

盆栽すべてに言えることですが、とにかく10㎝以下の超ミニの世界では
一芽たりともおろそかにはできないのです

そののことを肝に銘じ
注意力と洞察力を持って盆栽に接していきましょう


樹令6~7年の舞姫もみじ(樹高4.0㎝)

樹形の骨格は出来上がりつつありますから
今後は枝の輪郭線をあまり大きくしないでもう一段の枝分かれをつけたいね


正面から枝分かれを観察してみましょう↓


1の赤矢印  一の枝(利き枝)の節間が長すぎるので
         可能なら将来2の枝と交換したい

確かに一の枝の節間が長いですねね
計画通りに奥の締まった枝に切り替えができればぐーんと締まった枝になりますね

3の赤矢印  芯と考えられる頂上の芽が2本用意されているので
         片方は切って、可能なら将来4の芽を芯にしたい↓

現在の芯の元に色づいた芽があります
この芽が動いてくれれば現在よりサイズの短い適切な芯になるでしょうね↓


2本の芯の片方を切りました
その元の芽が動いてくれて徒長しなければ、新しい芯の候補になります


樹齢10年になる山もみじ(樹高5.0㎝)

葉性の優れた山もみじです
枝分かれと芽吹きのいいのが特徴です


節間短くよく締まった作りです
拡大して検証してみましょう


1の赤矢印  節に力がつきすぎてこのままではゴツクなる恐れありですね
         芽を切らずに搔きとって数を減らします↓

2の赤矢印  この節も数が多いですから使わない不要芽は搔きとります↓

3の赤矢印  前枝ですが奥行きを表現するために必要な小枝です

4の赤矢印  この付近にも芽数が多いので搔きとります↓


かなりの芽を爪で搔きとりました

2013年7月21日日曜日

舞姫ボディー作り②

盆栽とはいえどその技術は
一昔前に比べて格段に進歩しています

現代のミニ盆栽人はただサイズさえ小さいだけでなく
迫力と風格にあふれた堂々たる模様木を日々夢見て、とうとうそれを可能にしてしてしまったようです

ですから、ミニ盆栽作りにとってますます重視されてくるのが、基本のボディー作りとなるわけでね
焦らずじっくりと骨格作りに時間をかければ、将来必ずそれが役に立ってくれますよ

さてそこで、前項で取りかかった舞姫もみじのボディー作り
頭の部分の切り戻しは来年の春かな、と思っていたんですが、作柄がよく肉巻きが図のように順調です


残るのはほとんど3mmほどで、今年中に完治も可能かも
そこで、足元から芯までの幹筋を作るため、頭の部分の切り戻しを敢行することにしました


管切り状態であった箇所を又枝切りを使用して幹模様に沿って斜めに削る


上部の枝や周囲に吹いている不定芽を傷めないよう慎重に
それらは傷口の肉巻きにとって絶対に必要なものですから


緑色の形成層が傷口の周囲にグルット露出するまで削り込む
最後に、鋭利なナイフで周囲を削り直すことも忘れないこと


傷口は癒合剤でしっかり保護する


作業終了の正面拡大図


全体図

徒長させている枝は秋以降の剪定時まで切らずに
ひたすら傷口の治癒のために順調な培養を心がけます


来春、植え替えと同時に全ての枝を切り込めば赤点の箇所から不定芽が吹きます
それらの芽を利用して本格的に枝作りに入ります


基本の枝つくり予想図
現在のボディーの高さが3.5cmなので、完成予想樹高は約6.0cmくらい


機会があったらその後の経過もご紹介したいですね
では、よろしく!

2013年6月21日金曜日

舞姫ボディー作り①

足元の幹径が4.5cmと、かなりの太幹超ミニサイズの舞姫もみじの素材
今年の春から始まったボディーの基礎作りの過程をご紹介しましょう

頒布コーナーでは将来図として、三幹体と単幹の二つの案をご紹介しましたが
実際には単幹への案を採用しました

とにかく、樹形作りに先立つボディー作りの段階は
盆栽人にとってなんともいえない「夢」があって、それはそれは楽しいものですね


芽の動く前の姿 樹高4.0×左右6.0cm(足元の幹径4.5cm)


現在の姿 

春の新芽は順調に徒長して15cmほど
ボディー作りの段階では、この元気すぎるほどの勢いを保つことが大切です


正面足元の拡大図
あれ、↑の画像とずいぶん違っているみたい?


そうですね

枝元に不定芽が吹いて伸び始めたのを確認してから
赤線で示した左右の太枝を切り飛ばしたんです

つまり、ヤケ込み防止と肉巻きを早めるためは
ぜひとも傷口の周囲に不定芽が必要です


向って右の飛ばし傷
おおよそ一ヶ月と少々でこんなに肉巻きが促進しています


もっと拡大して見ます
癒合剤に覆われていても、肉巻きしている様子はわかりますね

この調子なら、おそらく来年の今ごろには完治も可能
遅くとも来年一杯にはすっかり肉巻きが完了するでしょう


向って左の傷口も肉巻き順調
この周囲にも不定芽が残されています


ところが、削り込む必要のある切り残しの枝がボディーの背中にありまます
ここの周囲の不定芽がはっきりと伸び始めたので、やっと削り込みが可能になったわけです


赤線の位置まで削り込みます


反対側から傷口を見る

傷口の周囲をきれいに削り直して癒合剤を塗っておきましょう
周囲の不定芽をどんどん徒長させて傷口の完治に全力を注ぎます


これでボディーの周囲にあった切り残しの枝は3本とも切りましたが
しかし、ボディー作りが終ったわけではありません

上の独立した赤点で示した徒長枝を将来の幹筋の候補枝とし
赤の破線あたりで幹を削ってコケ順を作ります

また、その隣の青点は、枝の欲しい位置なので
将来呼び接ぎをして枝を作る計画です


ボディーだけを見る


現在のボディーのてっぺんに芯を立ててコケ順を作り
その左側に呼び接ぎの枝を作った予想図です

以上ですが、ボディー作りは盆栽の基本中の基本であり
その一生を左右する大切な作業です

後から直すことはできませんから
最初にじっくりと時間をかけて、優れたボディーを作り上げましょう

盆栽道は「急がば回れ」ですよ
では

2010年1月7日木曜日

サイズと樹形・姫柿



この姫柿は、腕利きのセミプロが根伏せから仕立て上げた小品盆栽(樹髙12㎝)ですが
10㎝以内のサイズが好きな愛好家さんからは、なぜ10㎝以内で作らなかったの?

そういうご質問をたびたび受けました
この姫柿の画像を見た小品盆栽の愛好家のみなさんの多くも、そう感じたことでしょう

そこで、サイズを詰めることは今からでも簡単なことですが
その前に、なぜこれほどの腕利きの作者がこのサイズを選んだのか?!

作者の意図や好みを推測してみるのも面白そうですね
それではいろいろ考察してみましょう


芯付近をじっくり観察すると、高さ8~9㎝のあたりに赤点で示した新しい芯の候補がたくさんあります
作者はそれを知りながらも、その候補たちのさらに上部に強い模様をつけ、現在の芯を作っています

ちなみに、この作者はかなりの腕利き目利きで、ミニサイズの魅力も知り抜いた人です
決してうっかりなどということあり得ません

その非凡さは、一度下方へ戻りながら再び立ち上げた強い幹模様に現れています
単にボンヤリとサイズを伸して作った芯ではありません、表情がとても豊かに作られていますね

その人がなぜ?!


↑の画像をご覧ください

堂々たる立ち上がりと緩みない模様を持った逞しいボディーが、この姫柿の最大の見どころです
しかし、一、二、三と順調な枝順の上に芯を作れば、サイズも10㎝以内でおさまりもいいのに

あえてその上まで伸した理由を推測すると
おそらく、ミニサイズの定石を超えたところに美を表現したかったのでしょう

そのため作者は、あえてこの太い青線で記した空間を作り出し
もう一箇所の強く印象をアピールする見どころを演出したかったのでしょう

太い青線で記した空間が、樹形のスケールをさらに大きくしていることは確かです
サイズを犠牲にして、スケールの大きさと見せ場を選択した作者の意図は、みごとに成功していますね

その他に樹形やサイズが決定された要素の中に
この作者が小品盆栽から大物盆栽まで幅広く取り組む人だ、ということも考慮に入れるべきでしょう

大物愛好家の場合、箱卓(はこしょく)を使わないため、サイズにはあまりこだわらない傾向があり
それよりも見せ場の要素を一箇所でも多く演出しようとします

私は今、優劣を言おうとしているんっじゃありませんよ

大物盆栽家と小品盆栽家の傾向や感覚の違いに触れているんです
このため同じ素材を前にしても、両者のイメージする完成図のサイズや樹形はかなり異なってきます

サイズにこだわらず、より多くの見せ場を求める大物愛好家
サイズにこだわり、あくまで素材の定石を通そうとする小品愛好家


今度は小品盆栽家だったらの作り方をシミュレーションしてみましょう

新しい芯のために切り返す芽は右の赤点(高さ9㎝)で、10㎝ギリギリでの完成は可能です
左の赤点は後ろ枝になります


現在の上部を切り取った図


樹項の短縮にあわせ一の枝も大幅に短くしましょう
筋の定石が通って樹形は無駄なく簡潔に出来上がりました

芯の新芽は針金で強く伏せ込み伸さないように
そして、枝間の空間に美しさを見せ場として意識しながら作り込むことです

さあー、あなたはどっちだ?!

2008年10月20日月曜日

もみじ樹形作り計画

前回のつれづれ草で取り上げた「紅千鳥」のように芽出しの美しい「山もみじ」
樹形作りにあまり突っ込まなかったので、少々物足りない方もいらっしゃったでしょう

そんな思いがしたので、改めて樹形作りの計画に触れてみました
それでは


白点と赤点の位置が以前に「節」のあった箇所で、ここを芽吹きのしやすい「芽ツボ」と呼びます
樹形作りにあたっては、この芽ツボの見極めが非常に大切ですよ

来春に切り戻して芯を立てる位置は、高さ4.0cmの赤点を選ぶのが正解
白点では、幹筋からの曲の流れが、わずかに間延びしてしまいますね

間延びした芯では、全体の印象がぼやけてしまい
逞しい足元や迫力ある幹模様も台無しになってしまいますね

樹芯は人に例えれば顔にあたります
きりっとしまって小さめに、これが印象の強い樹形作りのコツです


余計な枝などを消してボディーだけを見てみましょう
なおはっきりと樹形作りのポイントが見えてきます



・芯の赤点の右は樹芯として立て、左は樹芯を形成する枝の一本として使います

・芯の右下方にも芽ツボがありますから、これも枝として使えます

・左の細い枝は途中から切り戻して活用します

・右の一の枝が欲しいところには芽ツボがなく、将来の芽吹きは不可能なので
 来年の5月ごろに呼び接ぎを施します

・裏枝はちょうどいい位置にあるので心配なし

以上で芯と枝順の基本は出来上がります


完成予想図

3年くらいの計画でボディーと枝の基本は完成
その頃には傷もすっかり完治します

ちなみに完成予想樹高は7~8cm
必ず山もみじミニの名品が誕生します

2008年10月18日土曜日

もみじの話・盛りだくさん

今日はもみじの話ですが、取り上げた素材のおかげで話題が盛りだくさんになります
まずは「もみじの品種」と「樹作り」について、そして「葉落としや剪定時期」や「傷口の処理」などの細部に至ります

それでは始めましょう



この素材は、一昨年の冬にまとめて買い入れた山もみじの中の一鉢ですが
春の芽出しがオレンジ色がかった鮮やかな紅色で、山もみじとは明らかに違っていました

もしかして紅千鳥かなと思い、今年一年間芽出しから夏ごろまでしっかり観察しました
しかし残念ながら、かなり紅千鳥に近い特徴が見られるものの、真性の紅千鳥とはいい切れませんでした

山もみじの類はいわゆる風媒花で、いろいろな花粉が飛んできて受精するので
この素材のように、実生により親木と異なるいろいろな性質を示すことが多いのです


素材の葉形を調べて見ましょう
上の葉は5つに切れ込んでいますが7つに切れ込んだ葉も多いようです

紅千鳥と山もみじの両方の性質を併せ持った
いわば中間種のようなものでした

葉がすべて上のようであれば、他の特徴からして紅千鳥にかなり近いのですが
下の7つに切れ込んだ葉の割合の方が多いので、紅千鳥と言っては「うそ」になってしまいます

前回の「つれづれ草」で真性と類似種のお話をしましたが
まさに昔流通した類似種に近いものです


さて、こんどは樹形作り

昨年の春に、従来の芯であった幹をバッサリきって
一の枝を新しい芯として再出発しました

芯を徒長させ思い切り太らせたので
二年の間に幹のコケ順が理想に近い形で出来上がってきました


後ろ姿

切り戻した初期には、こちらの角度が正面になる可能性もありました


今年の春に貼ったカットパスター
内部で肉巻きが促進されるとカットパスターの表面にひび割れが入ります


当初の傷は2.0×3.0cmもありましたが、切って二年経ってかなり傷口が小さくなりました
現在の傷口の大きさは1.3×1.8cmくらい、あと二年で完全治癒するでしょう


カットパスターを貼りなおし


ふつう葉を落とすのは11月に入ってからがいいでしょう
葉の状態によりますが、あまり青々としている場合では芽が吹いてしまい寒さで傷めてしまいます

この素材の場合は、葉がやや黄ばんきており冬眠期に近い感じなので実行しました
なお、やや早めに行ったので、枝を長めに残しました


白点と赤点に芽つぼ(節)があり、この芽つぼから来春の新芽が吹きやすい箇所です
理想の位置は赤点(高さ4.0cm)ですね

この赤点から吹いた新芽に針金をかけて芯を作ります
大地をしっかり掴んだ根張り、幹模様、幹のコケ順など、迫力のあるミニサイズの山もみじの模様木を目指します

この段階では枝順にあまりこだわってはいけますん
もみじ類は呼び接ぎが容易なので、ボディー作りを第一に考えて作りこみます

2007年12月9日日曜日

楓ミニ・樹形基本構想

おおよそ二年ほど前に、寸法(5cm)がいいのと葉性がいいのが気に入って求めた楓の取り木素材
ただ親木から切り離されて間もなく、根の状態は非常に頼りないものでした

もしかしたら育ちきれずに、途中で枯れちゃうかな
そんな恐れもあったので、頭の部分を根を充実させるために、わざと芽摘みはしないで伸ばしました

おかげで今年はご覧のように、芯がしっかりと伸び
鉢内にぐるぐると小根が廻っています

こうなれば樹形の基本構想を建てて切り込みにも耐えられる


正面らしき角度より
芯はしっかりと伸ばしました


幹筋と枝順から見て、この角度が正面らしい

慎重に前枝を2本を切る
さらに向かって左のニの枝の元の芽を整理(足元と幹筋の見通しがよくなる)

切り込みに際しての要点:剪定の当初は枝の細部にはあまり拘らす、要点だけを大雑把に


幹の左側からのぞいていた裏枝のゴツイ部分を整理
ここまでくると構図がよりはっきりと見えてきました


幹の右側からのぞいていた裏枝のゴツイ部分も整理
これにより幹筋と枝順がはっきりと見えてきました


来年は芯を作り込む段階です

芯の選定

1 徒長させて部分をすべて切り取って、芯は古い小枝を立て替える
2 小さい芽を芯にする
3 この部分は胴吹き芽が出やすい、来春に新しく吹いた芽を芯にする

さあ、あなたならどうする!