今日はもみじの話ですが、取り上げた素材のおかげで話題が盛りだくさんになります
まずは「もみじの品種」と「樹作り」について、そして「葉落としや剪定時期」や「傷口の処理」などの細部に至ります
それでは始めましょう
この素材は、一昨年の冬にまとめて買い入れた山もみじの中の一鉢ですが
春の芽出しがオレンジ色がかった鮮やかな紅色で、山もみじとは明らかに違っていました
もしかして紅千鳥かなと思い、今年一年間芽出しから夏ごろまでしっかり観察しました
しかし残念ながら、かなり紅千鳥に近い特徴が見られるものの、真性の紅千鳥とはいい切れませんでした
山もみじの類はいわゆる風媒花で、いろいろな花粉が飛んできて受精するので
この素材のように、実生により親木と異なるいろいろな性質を示すことが多いのです
素材の葉形を調べて見ましょう
上の葉は5つに切れ込んでいますが7つに切れ込んだ葉も多いようです
紅千鳥と山もみじの両方の性質を併せ持った
いわば中間種のようなものでした
葉がすべて上のようであれば、他の特徴からして紅千鳥にかなり近いのですが
下の7つに切れ込んだ葉の割合の方が多いので、紅千鳥と言っては「うそ」になってしまいます
前回の「つれづれ草」で真性と類似種のお話をしましたが
まさに昔流通した類似種に近いものです
さて、こんどは樹形作り
昨年の春に、従来の芯であった幹をバッサリきって
一の枝を新しい芯として再出発しました
芯を徒長させ思い切り太らせたので
二年の間に幹のコケ順が理想に近い形で出来上がってきました
後ろ姿
切り戻した初期には、こちらの角度が正面になる可能性もありました
今年の春に貼ったカットパスター
内部で肉巻きが促進されるとカットパスターの表面にひび割れが入ります
当初の傷は2.0×3.0cmもありましたが、切って二年経ってかなり傷口が小さくなりました
現在の傷口の大きさは1.3×1.8cmくらい、あと二年で完全治癒するでしょう
カットパスターを貼りなおし
ふつう葉を落とすのは11月に入ってからがいいでしょう
葉の状態によりますが、あまり青々としている場合では芽が吹いてしまい寒さで傷めてしまいます
この素材の場合は、葉がやや黄ばんきており冬眠期に近い感じなので実行しました
なお、やや早めに行ったので、枝を長めに残しました
白点と赤点に芽つぼ(節)があり、この芽つぼから来春の新芽が吹きやすい箇所です
理想の位置は赤点(高さ4.0cm)ですね
この赤点から吹いた新芽に針金をかけて芯を作ります
大地をしっかり掴んだ根張り、幹模様、幹のコケ順など、迫力のあるミニサイズの山もみじの模様木を目指します
この段階では枝順にあまりこだわってはいけますん
もみじ類は呼び接ぎが容易なので、ボディー作りを第一に考えて作りこみます
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