2018年8月30日木曜日

那須五葉松・根上がり

日曜日のスクールが終わって岩ちゃんの出猩々が一息ついたと思ったら、先日ブログでご紹介した那須五葉松の針金が、食い込む一歩手前の状態なのに気がついた。おそらく目に映っているのですから気がついてはいるはずですが、忙しさにまぎれてき頭で正確に認識していないということなのでしょう。認識が甘く無用心というやつですね。

さっそく半日がかりですべての針金を外して一安心。けっかは食い込んだ箇所はまったくなく、無傷の状態でしたので、柔らかい曲を身上とするこのような樹形の格を落とさずにすみました。良かった!

針金を外したので少々葉がばらけたようですが、あまりに綺麗にそろい過ぎていたのでは人工的で美しくないし、このくらいの自然なふくらみが感じられるくらいでちょうどいいでしょう。

それにしても私たちの若い頃(昭和40年代)には、五葉松にヨシズや寒冷紗を張るなどとは、それこそ「盆栽界の非常識」であったのだが、それは現代では「常識」として定着してしばらくたちました。

当時、蝦夷松の類はヨシズ下で培養することがあたり前になったころで、そのあたりから大衆の間でも蝦夷松の培養法が一般的に知られるようになったという記憶があります。

針金を早めに外すことができたので木肌に食い込みの痕跡も残すことなく、ほっとしました。ひと夏寒冷紗下で培養できたのでは色も明るめのきれいな色彩にあがりました。来春はちょっと深めで間口の狭いしまった鉢へ入れようと思っています。楽しみですね。

そこで教訓

五葉松は日本各地に自生しますが、基本的には性質は高山に自生する。朝晩の冷え込みの強いやや乾燥した高地に適しています。だから平地や盆地の夏の蒸し暑さには弱いんですね。そのかわり乾燥や冬の寒さに対する耐久力は抜群です。

2018年8月23日木曜日

唐楓寄せ植え

樹齢はわずかに5年生くらいでしょうか?主木の太さがやっと割り箸くらいのひょろ高い寄せ植えがおもしろい。つい最近、市内の小規模な交換会でセリ落としたものです。きっと数年前に、2年生くらいの実生苗を寄せて持ち込んだものでしょう。自然なやさしさにあふれ、あまり作為が感じられないのがかえって好感がもてて穏やかな里山の情景の一部になっています。
まさに肩のこらない涼しげな一鉢ですね。

ところで、今でも寄せ植えは盆栽の重要なジャンルを占めていますが、私たちが若かった頃と比べると人気という点でイマイチという気がしませんか?その理由はいくつか考えられますが、まず第一に大衆品の段階の寄せ植え盆栽を作るのは簡単でも、長い持ち込み後に、それらを高い次元で維持することは案外に難しいという現実のせいでしょう。その点、単幹ものであれば改作などの場合、選択の幅がひろく融通も利くといえますね。

とはいえ好きなものは好きなので、さほど高価なものでなくとも、春先には唐楓の当才苗なども通信販売で売り出されるので、5~15本くらいの数を用意して寄せてみると案外に楽しいものです。

1 長短、太細の調和をみながら植える。
2 ケト土と赤玉土を半々に混ぜた泥団子で根を安定させなだら植える。
3 真上から見た各幹の配置が二等辺三角形になるように植えて、遠近感を演出する。

中央部、向かって右と左へ流れる3つのグループを意識して植え込み、枝葉も3つのグループを基本としてまとめていく。

後ろから見た姿にも左右への動きが感じられるように作る。また、全体の軸と成る主木(しゅぼく)は重要なので必ずある程度の存在感を与えるように配置する。

作ってみてー!

2018年8月21日火曜日

復活・出猩々


7月22日の盆栽フリースクールの時点では、まさに瀕死の重傷で、復活の可能性は甘く見積もっても50%以下と診断されるほどで、持ち主の岩ちゃんご夫婦もかなりご心配のようすでした。ところが非常に不謹慎極まりない言葉ですが、とにかく8月20日でご紹介して以来、当初の予想に反して順調に回復に向かっております。

特有の鮮やかな紅色がやや落ち着くと、次にはやや緑色に変化するのが出猩々の特徴です。まるで秋の紅葉に染まった風景と見違えるような色彩の配置ですね。

ともかく窮地はひとまず脱出できたようですね。緑色に変色するころには葉はある程度厚みが出て、強い日光に当たっても焼けにくくなります。そうなればもう大丈夫。もう少しの辛抱ですから、再び水切れなどして葉を焼かないように気をつけましょう。ちなみにまだ置き場所は寒冷紗の下か半日陰です。

2018年8月19日日曜日

山もみじ本格小品模様木

山もみじ大好き人間としては、たとえ商売用の売り物であっても、自分の好みの樹形のもみじ盆栽が棚にあると、日々の水やりにも格別に張り合いが出るものです。
そして、そういう優良品との巡り合いは、往々にしてある日突然という形でやってくることが多いものなのですが、やはり今回も樹高13cm×左右24cmで足元の直径が8.5cmほどの古木の小品盆栽が、突然に我が家の盆栽たちの仲間に入ってきました。

ご覧のように太くて短く逞しいボディーの持ち主で、傷っ気はまったくありません。かなり旧く持ち込まれたもので、その古色感と迫力はとても13cmの小品とは思えない大物君です。画像ではサイズ的にもかなりの大品に見えますが、上記のようにまさかの13cmです。

やはり構図のスケールと古色感がサイズのイメージとなるようです。

足元付近の木肌の雅味と渋い雰囲気はたまらないほどに味があります。昔から盆栽の真髄は「形小相大】という言葉に集約されています。外見はなるべく小さく、ただし構図のスケールは大きく作るのが理想的です。

立ち上がりを後ろから見る。




2018年8月3日金曜日

作る・けやき箒作り

種子を蒔いたのは私ではないが当才の末、つまり2年生の始めのころから3本の苗を手にかけて、残った1本の箒作りのけやき。たびたび「盆栽つれづれ草」でご紹介してきたので、旧いリピーターさんでは覚えているいる方もいらっしゃることでしょう。
今では樹齢は13年目になり、樹高も16.5cmになりました。太さは足元で1.5cmほどなのでさほどではありませんが、まあ木肌はかなり時代がきていて時代感もそこそこです。
(このブログのトップページのブログアーカイブの【ラベルけやき】の項からお入りください。以前の姿にお目にかかれます)

ところで、ここ数年間、冬姿が枝が細かくてとてもいい感じなのですっかり油断してしまい、ついつい「小枝すぐり」を怠けておりました。「小枝すぐり」とは、かんたんに云えば「小枝の整理」をして小枝の粗密のバランスをとってやる作業です。密になり過ぎた部分を整理し、粗の部分に力が行くようにしむけてやるのです。ですから、この作業を怠ると知らぬ間に枝に強弱が生じて、けやき特有の優美な枝打ちがそこなわれてしまいます。

小枝が混み過ぎて枝先の粗密が乱れている感じがしますね。このような状態は「小枝すぐり」の不足によるものです。

木の裏側からみるとその乱れた枝先の様子がなお一層目立ちますね。
現在の姿の10日ほど前に葉すぐりをしましたので、心なしかその効果で残された小枝と葉先に生気が戻ってきたような気がしています。
みなさんも、徒長枝や不要なフトコロ芽や不要枝などを軽く整理して日と風の通りをよくしてあげましょう。残された枝葉に生気が戻ってきますよ。

2018年8月2日木曜日

葉焼け・瀕死の重傷

7月22日のフリースクールに岩ちゃんが緊急で持ち込んだのは、ご夫妻が大切にしている出猩々もみじのミニでした。葉はほとんど焼けてチョリチョリ、それも始末の悪い慢性の焼けただれの症状です。葉焼けの症状としては、焼いて半日か一日以内に急激に落葉した場合の方が助かる確率が高いといわれます。このように、水を切らせてじわじわと葉を焼いた場合は、症状は重いのが普通です。

盆栽屋.comの盆栽棚の下に緊急入院です。真夏の猛烈な直射日光にも当てられませんが、水をやり過ぎてもいけません。弱った盆栽に水のやり過ぎは禁物です。だから鉢を斜めにして早く乾くようにしむけているとことです。

入院して約10日ほどが過ぎました。最初の私の診断は甘く見ても生死は半々くらいで、かなり厳しい感じでした。ところが今日見ると、徹底した「棚下半乾き」作戦の効果があったようで、小枝の先に僅かに生気が漂ってきているようです。

ほらご覧ください。僅かにふくらんだ芽先がほころびかかっています。奇跡的!

出猩々は芽先の繊細な種類ですから、猛暑の続く今年の夏などはたいへんな種類です。必ず助かるとはまだ断言できませんが、希望は出てきたとはいえるでしょう。

岩ちゃんご夫妻の歓びが糠喜びに終わらないように、あと10日くらいは頑張らないと・・・・!

と云う訳で、今日の締めは真夏の猛暑で葉を焼いてしまった盆栽の回復法のポイントをお知らせいたします。

1 置き場所は0~50%の日陰、症状が重いほど全日陰に置く。
2 水量を調節するために、雨水の当たらない場所。
3 水やりは半渇きの状態を最良とし、それを保つようにする。過湿に注意。肥料禁止。
4 芽が動き始めたら少しずつ日に当てる。

以上です。