山取り真柏のシャリ幹と水吸いの芸を人工で作り出すには
テクニックとともに少々の年月が必要です
年月といっても天然自然界の気の遠くなるような星霜ではなく
小品盆栽なら3~5年ほどで、盆栽時間としてはわずかなものです
それより、シャリやジンを作り出す実際の技巧とその課程を
わずかな画像と拙い文章で分かり易くお伝えするほうが難しいようです
というわけで、系統だった勉強というわけにはいかないので、折にふれて小出しに取りあげ
その都度にみなさんの技術の参考にしていただければと思っています
文人風の真柏の立ち上がりからの幹の部分画像
かなり古い時期にジン作りをされたもので、板状に突起したシャリ幹と水吸いがうまく捻転していますが
この2年ばかり樹勢がいいので、かなり水吸いの部分が太くなってきました
このままでは水吸いがさらに盛り上がってサバを包み込んでしまい
サバ幹の野性味が薄れてしまいます
削り込む予定部分にマジック(白墨でもよし)で印をつける
裏側にも印をつける
入り込んで捻転している水吸いは水道(みずみち)を間違えないようにしましょう
つまり、白←の水道(みずみち)は捻転して上の白←につながり
赤←は同じく赤←につながっています
真柏の水道は縦方向だけでなく、横方向にもかなりの融通性をもっていますが
いちどきのあまり極端な水道の変更は、根と枝葉間の水の往来を断ってしまうので、ご注意!
印に沿って縦にナイフを入れ皮を剥く
皮を剥いた水吸いの部分はかまぼこ形にもりあがっているので丸ノミで修正
白←の部分は凹面で、赤←の部分は凸面になります
このように縦の木目に沿うようにし露出した木質部に凹凸をつけると
自然なシャリ芸が演出できます
↑で示した部分にも要注意
シャリの下部の地面に接する部分は、なるべくけずらないようにしましょう
つまり、根張りの部分を少々残しておけば、シャリが腐れ込む心配がないのです
背中の部分もかなり剥きました
赤印で示した新しいシャリの部分は、かまぼこ形に盛り上がっており
白印の古いシャリのぶぶんとはかなり段差があります
この段差がシャリ味となり、自然の風雪に耐えて生き抜く生命力を表現しています
たとえばこの両者がいちどきに剥いたシャリであったなら平板に見えて、味気ないものとなってしまいますね
ところで皮むきの適期です
水揚げの盛んな入梅から夏にかけてが最高
すぐに残された傷口にカルスが上がってきます
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