盆栽界では、明治末から大正期、および昭和初期に支那(現在の中国)より渡来した鉢を
中渡(なかわたり)と呼びます
一般的に、支那鉢とはこれらの時期のものを指しており
それら以前のものは古渡(こわたり)、戦後のものは新渡(しんとう)という呼び名で区別します
その中渡の支那鉢の代表的落款のひとつが「鉄画軒」(てつがけん)であり
実用名鉢としてその名は有名です
鉢の表記法は、朱泥外縁雲足木瓜式(しゅでい・そとえん・くもあし・もっこしき)と記すのが原則で
そこへ間口15.5×奥行12.8×高さ5.8cmと併記します
盆栽界では、この表記により次のことがわかるのです
1 支那鉢であること
2 中渡の鉢であること
3 朱色の土による焼しめものであること
4 縁が外に向いた鉢であること
5 足に雲の文様があること
6 木瓜式(もっこしき)の形であること
便利でしょー!
こんなにたくさんのことがいっぺんにわかっちゃうんですから
ちなみに、古渡と新渡は表記の頭にそれぞれを記すことによって中渡と区別しますし
現在の中国で作られる鉢は決して「支那鉢」と呼ばず、「新渡」「新々渡・しんしんとう」と云うのが盆栽界の慣わしです
この鉄画軒の鉢はおよそ100年前に作られたもので、朱色の土の光沢が時代を経てとてもすばらしく
使い込みによる時代感が一層の渋みと重厚感を添えています
私の手に入ったときには黒松の小品盆栽が入った状態で
外見からは傷もなく、そのすばらしさは見ることができましたが、内側の様子はわかりません
もしも内側に欠点があったらと心配もしましたが
とこかく土の光沢と時代感のすばらしさに惹かれて、思い切って買ってみたのです
帰って、さっそくその黒松を抜いてみますと
幸い保存状態もよく、無傷完品、思わずニンヤリとした次第です
名品の鑑賞と支那鉢の解説でした
では
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