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2009年8月3日月曜日

黒松の色抜け

あなたの盆栽の黒松や赤松が↓のように緑色が極端に薄くなった経験はありませんか?
松の品種に「蛇の目松」といって、斑入り葉の松がありますが、とても普通の黒松とは思えないほどです

入梅頃によくみられますが、盆栽人はこの症状を「色抜け」と呼びます
決して健全な状態でないのは確かですね

この症状になった盆栽を見ると大方の愛好家さんは、原因を「肥料不足」と判断します
それは一部正解のときもありますが、もっと大きな原因は「根の酸素不足」であることがほとんどなのです

つまり、植物の葉は光合成、つまり二酸化炭素を吸収して酸素を作り出す作用をしているんですが
根は人間と同じ「呼吸作用」をしているので、常に水過多では酸素不足になっちゃうんですね

その酸素不足が「色抜け」の主な原因です


黒松ですよ、決して特別な珍種ではありません


特に葉の元のほうの色彩が薄くなるのが特徴です


普通の黒松と比較すると、ビックリ!

このように色抜けした松類をよく観察すると

・長いこと植替えをしていないので用土の粒子が壊れて劣化している
・水や肥料が過多で、鉢内の水はけが悪い

場合が多いようです

水や肥料の不足が原因で葉に生気がない場合は
色つやは冴えなくとも、このように色抜けはしないものです

さて、解決の方法ですが、適期でもないのに慌てて植替えてはいけませんぞ
それは初心者のもっとも陥りやすい誤解です

・決して肥料をやらず水も控えめにしてジッと植替え適期(春)まで待つ

松類はかなり乾燥にも強いものです
怖がらずに「乾かす勇気」を持って実行してください

水を控えるだけで色が戻ってくることあるくらいですよ
さあ、さっそく棚場を見直してくださいね

2009年7月31日金曜日

赤松プチ改作

手にとって眺めるたびに気になっている赤松がある
ご覧のミニである

かなり古く持ち込まれており、力のある足元から立ち上がった幹筋も面白いし愛嬌タップリ
左右の利き枝もしっかりしているので、出会ったときには自信を持って求めたんです

しかしいつまでたってもちっともお呼びがないので、おかしいな、目が狂ったのかな!? 、とやや自信喪失気味のこのごろでした
(盆栽屋は自信満々に見えても、じつは案外に小心で世論に一喜一憂の毎日)


今朝5時半に目覚めて棚場をひと回り、やっぱり目につくこの赤松
手にとって眺める、何がいけないのだ・・・?


30分ほど眺めているうちに、アット気がついた、そうだ、そうだ!!
一の枝と二の枝(左右の赤点)が天秤枝に見えちゃうんだ

この2本の利き枝は幹の下部(一の枝)と上部(二の枝)から出ているんで
持ち主は勝手に一人合点してるだけで、みなさんには立派な天秤枝に見えちゃうんだな

そっか、論より証拠なんだ
理屈よりも実際の姿で示さなきゃ、説得力がないよなー!

善は急げ、それで、左右の利き枝の高さに段差をつけるには
青点の空間を広げて芯(上の赤点)を起すことにする


狭い空間を広げて芯を起すのにはかなりの力がいる、古木なのでかなり硬い、ひとりじゃだめだ
しかたない、寝ぼけて機嫌の悪いカミサンをたたき起こして助手を命じる

芯の下のわずかな空間に指を入れて持ち上げているあいだに、カミサンが裏から竹棒(1.5cm幅)の先を突っ込む
うーん、これで一の枝と二の枝に段差がついて、はっきりと弾みが出たな


芯を起した様子を側面より


竹棒と同じ太さの木の枝を突っ込む
どうですか? 冒頭の画像と見比べてください

芯が起きた分だけニの枝の位置が高くなり
一の枝との兼ね合いがよくなりましたね


やや下方から見ると、もっとはっきりと見えます
もう天秤枝には見えませんね


もっと拡大して見ましょう

左右の一と二の枝の高さに明らかな段差が出来上がりました
青点が芯を起すための支えの木の枝です

上の赤点が芯
樹高はやや高くなりましたが、それでも樹高8.5cmと悠々のミニサイズです

完全に幹に癖がつくまでには数年かかりますが
来春あたりにはもう少し太い木の枝を差し込めば完全ですね

ということで、早朝一番のわずかな労力の改作でしたが
収穫はかなり大きいものでした

「論より証拠」
まさに「小さな労力大きな収穫」、わずか30分間の赤松プチ改作でした

2008年7月19日土曜日

黒松・赤松短葉法

このところ、毎年少しずつ芽切の日付けを遅めにずらしています
一昨年までは7月1日を中心にしていましたが、昨年は7月10日

今年は暑い夏になるという長期予報もあったので
さらにずらせて7月15日を中心にしてみました

ところで、芽切の時期を決める要素はいくつかありますから
ここでしっかりと復習しておきましょう

1 樹勢が強い場合は遅め、弱い場合は早めに

2 個々の芽の伸びも考慮に入れる
  短めの芽は早め、勢いのいい長い芽は一週間ほど遅らせる

3 日当たりのいい置き場は遅め
  日当たりのよくない棚の場合は早め

4 長期予報で冷夏の予想される夏などは、早めに

5 植え替えた年は芽が伸びにくいことが多いので、早目が無難

6 大物盆栽は早め(葉が長めの方がバランスがいい)
  小品盆栽は短い葉の方が似合いますから遅めです

7 地方によって日照時間や気温に差があります
  関東から西の地方は遅め、北は早め

以上のような条件を考慮に入れ経験を積んでください


黒松の春の画像


2008/07/15 芽切完了


赤松 2008/07/15 芽切完了

※ 黒松や赤松の芽切作業をまだやっていない方
7月一杯ならスレスレで間に合いますからさっそ作業してくださいね
ただし、作業後は日当たりのいい場所で管理しましょう

2007年9月30日日曜日

赤松の空間調節

松戸市近隣の愛好家さんが、棚がいっぱいになってしまって
15鉢ばかりの盆栽の処分をお願いされました

よく見ると、非常に熱心で丁寧な作柄の方なので
わずかな勘所さえ押さえればいずれも再デビューが可能なものばかり

大雑把に処分してしまうには惜しいし盆栽たちも可愛そう
私が譲り受けることにしました

さて、その中の一鉢、赤松です



小さな鉢にしっかりと持ち込まれています、これには感心
鉢にピッタリ納まっていてグラットもしません

根がしっかりしているということは作柄のいい証拠
盆栽としての第一条件です

人工の模様がやや目障りな感じですが
全体の流れと重心、枝の順とふくらみなどはまあまあです

しかし、全体の構図にちょっとばかり空間がありすぎて緊張感に欠けるかな
それで、手で矯めてみると現在の樹高20cmがもっとコンパクトになりそう



現在の後ろ姿



二箇所を締めてコンパクトになった姿
(難しい作業ではないので経過は省略)

いかがですか
樹高は17cm、空間が少なくなった分、構図に緊張感が出ましたね



作業の舞台裏

1 ビニール管を通した針金で幹と幹を結束
2 鉢裏から通じた針金で樹高の短縮のため引っ張りを施しました

このように、ちょっとした工夫で構図に緊張感を出すようにすれば、樹形がグーンと引き立つものです
あなたの盆栽は空間が緩んでいませんか、点検してくださいね

空間に緩みがあっては樹形が締まり!ません!

2006年10月31日火曜日

赤松大改作スペシャル

昨年の10/21と10/222に大改作した赤松はどうなったでしょう
今年一年間の培養の成果をお知らせしましょう

昨年の姿と見比べながらご覧下さい

昨年の姿1
昨年の姿2



今年の春に思い切り小さめの正方鉢に植え替えて、ご覧のような姿で一年間培養

今年の夏は雨が多かったのと、樹勢を上げるために意図的に多肥多水で培養したため
7月初旬に短葉法をかけても、葉はやや伸び加減です



芽数も増えて貫禄が出てきました
それに、幹の肌に落ち着いた風格も出てきたようです

たった一年間の培養でも、毎日毎日強い日光にさらされていると
知らぬ間に木肌に変化が現れるんですね

幹を折りたたんだ針金はまだ外せません、まだ曲が緩んでしまうでしょう



上方から見ると、まだまだ芽数が足りないのがわかりますね
来年の課題が見えてきたようです

こうやって、盆栽人は、もう一作、もう一作と未来を夢見て
その夢に励まされているんですね

来年も頑張るぞー!

2005年10月22日土曜日

赤松大改作スペシャル

さて、昨日で基本の骨格が出来上がりましたので
今日は枝配りと樹冠の位置を決め、仕上げの作業に入ります

骨格を決める作業が土台作りとすれば
枝や芯の整枝は、美しさを演出するような気持ちで臨んでください


懸崖の一番の見どころになる枝(手前側)に針金をかけました


後ろ枝にも針金をかけました

改作前のニの枝は全体の雰囲気になじめず、天井を向いたままです
これは思わず切りたくなりますが、短気を起こさず、ジッと我慢(この我慢がなかなか難しいのだ)


正面から見た現時点の姿
枝が天井を向いています


切らずに我慢し前方に引っ張り出すことにしました

掛けた針金が指先で曲がらないときは、ヤットコで局部(針金)を捻ると強い鋭角の模様が可能です
これはちょっとした隠し技です(凄い効果あり、試してください)


うまく前方に引っ張り出して全体の雰囲気に溶け込めました(飛び出した芯の左下の枝です)
成功です(切らなくってよかった)

ここまでくればあとは芯の部分に雰囲気を出して作業完了!


どうです、当初の面影はありますか?
樹高はたったの12cmですよ

根上がり懸崖らしく、根に面白い模様があり、幹模様にも隙がありません
赤松らしく荒々しさに加え優美さも備えた姿です

こう上手く出来ると、改作はやめられない!

来春は小さめの鉢に植え替えます
2作すれば枝葉も増え、風格は飛躍的にアップします

この大改作についてのご意見ご感想、そしてご質問ください

2005年10月21日金曜日

赤松大改作スペシャル

素材の長所を最大限に活かす
短所を消去する

2つのことを同時にイメージして実行に移すこと
これが盆栽の改作にあたって、まず自覚する一番大切なことです


樹高25cmの赤松根上がり素材

長所
根と上部の幹の模様に変化がある
わりとしまった枝で位置も悪くない

短所
腰高である
根元から幹、幹から芯までの筋に統一感がなく、だらだらした感じで緊張感がない
各枝の役割がはっきりしていない
寸法のわりに迫力がない

まあ、ハッキリ言えば、個性のないありきたりの「駄木」
棚の隅で小さくなって見捨てられてもしょうがない、みじめな存在の赤松君といえるでしょう

このままは可愛そう
ちょっと痛い思いはするけれど、そこは我慢をしてもらって、大改作をしてみましょう


だらだらっと立ち上がった根を試しに折り曲げてみる
かなり曲がりそう、こうしただけでいい雰囲気の予感がしますね


その前に、本来の根元付近と次の強い曲あたりまでの間が、だらっとして緊張感がないので
ここを針金で手繰ります


手繰った後の拡大図
一の枝が手前に来てしまうほどに、強引に締め上げました
両地点の距離は半分になり、幹模様にだらだら感が失せましたね


手順を踏んで、今度は当初の目的に戻る
根元と上部の幹とを連結し、おもいっきり下へ引っ張るのです


二人がかりです
小品でも指先に思いっきり力を入れ、ヤットコで締め上げます


拡大して見ます
締め上げが甘いとダメ、松柏類は粘りがあるので力の掛かる箇所が少々裂けても大丈夫


後ろから見ます
頭は90度以上の角度で下に向きました


当初の姿です


第一段階の改作完了の図

立ち上がっていた姿は、まるっきり背中を丸めまるでうずくまったようになりました
ただ根の部分から幹を倒しただけでなく、最初の作業が大きな意味を持っていたのです

あらかじめ「幹模様にだらだら感」を解決しておいたおかげで
このようにきちっとしまった骨格が可能になったのです

つづく