2005年10月21日金曜日

赤松大改作スペシャル

素材の長所を最大限に活かす
短所を消去する

2つのことを同時にイメージして実行に移すこと
これが盆栽の改作にあたって、まず自覚する一番大切なことです


樹高25cmの赤松根上がり素材

長所
根と上部の幹の模様に変化がある
わりとしまった枝で位置も悪くない

短所
腰高である
根元から幹、幹から芯までの筋に統一感がなく、だらだらした感じで緊張感がない
各枝の役割がはっきりしていない
寸法のわりに迫力がない

まあ、ハッキリ言えば、個性のないありきたりの「駄木」
棚の隅で小さくなって見捨てられてもしょうがない、みじめな存在の赤松君といえるでしょう

このままは可愛そう
ちょっと痛い思いはするけれど、そこは我慢をしてもらって、大改作をしてみましょう


だらだらっと立ち上がった根を試しに折り曲げてみる
かなり曲がりそう、こうしただけでいい雰囲気の予感がしますね


その前に、本来の根元付近と次の強い曲あたりまでの間が、だらっとして緊張感がないので
ここを針金で手繰ります


手繰った後の拡大図
一の枝が手前に来てしまうほどに、強引に締め上げました
両地点の距離は半分になり、幹模様にだらだら感が失せましたね


手順を踏んで、今度は当初の目的に戻る
根元と上部の幹とを連結し、おもいっきり下へ引っ張るのです


二人がかりです
小品でも指先に思いっきり力を入れ、ヤットコで締め上げます


拡大して見ます
締め上げが甘いとダメ、松柏類は粘りがあるので力の掛かる箇所が少々裂けても大丈夫


後ろから見ます
頭は90度以上の角度で下に向きました


当初の姿です


第一段階の改作完了の図

立ち上がっていた姿は、まるっきり背中を丸めまるでうずくまったようになりました
ただ根の部分から幹を倒しただけでなく、最初の作業が大きな意味を持っていたのです

あらかじめ「幹模様にだらだら感」を解決しておいたおかげで
このようにきちっとしまった骨格が可能になったのです

つづく

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