2013年6月21日金曜日

舞姫ボディー作り①

足元の幹径が4.5cmと、かなりの太幹超ミニサイズの舞姫もみじの素材
今年の春から始まったボディーの基礎作りの過程をご紹介しましょう

頒布コーナーでは将来図として、三幹体と単幹の二つの案をご紹介しましたが
実際には単幹への案を採用しました

とにかく、樹形作りに先立つボディー作りの段階は
盆栽人にとってなんともいえない「夢」があって、それはそれは楽しいものですね


芽の動く前の姿 樹高4.0×左右6.0cm(足元の幹径4.5cm)


現在の姿 

春の新芽は順調に徒長して15cmほど
ボディー作りの段階では、この元気すぎるほどの勢いを保つことが大切です


正面足元の拡大図
あれ、↑の画像とずいぶん違っているみたい?


そうですね

枝元に不定芽が吹いて伸び始めたのを確認してから
赤線で示した左右の太枝を切り飛ばしたんです

つまり、ヤケ込み防止と肉巻きを早めるためは
ぜひとも傷口の周囲に不定芽が必要です


向って右の飛ばし傷
おおよそ一ヶ月と少々でこんなに肉巻きが促進しています


もっと拡大して見ます
癒合剤に覆われていても、肉巻きしている様子はわかりますね

この調子なら、おそらく来年の今ごろには完治も可能
遅くとも来年一杯にはすっかり肉巻きが完了するでしょう


向って左の傷口も肉巻き順調
この周囲にも不定芽が残されています


ところが、削り込む必要のある切り残しの枝がボディーの背中にありまます
ここの周囲の不定芽がはっきりと伸び始めたので、やっと削り込みが可能になったわけです


赤線の位置まで削り込みます


反対側から傷口を見る

傷口の周囲をきれいに削り直して癒合剤を塗っておきましょう
周囲の不定芽をどんどん徒長させて傷口の完治に全力を注ぎます


これでボディーの周囲にあった切り残しの枝は3本とも切りましたが
しかし、ボディー作りが終ったわけではありません

上の独立した赤点で示した徒長枝を将来の幹筋の候補枝とし
赤の破線あたりで幹を削ってコケ順を作ります

また、その隣の青点は、枝の欲しい位置なので
将来呼び接ぎをして枝を作る計画です


ボディーだけを見る


現在のボディーのてっぺんに芯を立ててコケ順を作り
その左側に呼び接ぎの枝を作った予想図です

以上ですが、ボディー作りは盆栽の基本中の基本であり
その一生を左右する大切な作業です

後から直すことはできませんから
最初にじっくりと時間をかけて、優れたボディーを作り上げましょう

盆栽道は「急がば回れ」ですよ
では

2013年6月20日木曜日

舞姫取り木発根

5月23日から28日にかけて
20本ほどの舞姫もみじに取り木をかけました

5cm以下の超ミニに最適な小葉性の舞姫もみじですが
エンピツくらいの太さを求めるとなると、挿し芽から仕立てるにはちょっと年月がかかります

その点、種木の準備さえあれば、取り木はありがたいですね
わずか1ヶ月くらいでけっこうな骨格をゲットできますから

前項の「舞姫もみじの取り木」を参照してください

さてそこで、若い枝や幹の場合は、早ければ2週間くらいで発根するはずなので
そろそろだとな見当をつけて注意してたところ、昨日に数か所に発根を見つけました



双幹体の2本のてっぺんに同時に取り木をかけました

同じように施術していながらおもしろいもので、両方同時にというわけにはいかないもので
子幹にあたる方が先に発根しています

発根後の処置として次の3ツが考えられます

1 このままにしておき、もっと根がふえるまで待って、秋口または来春に切り離す

2 いちどビニールを外し、水苔または盆栽用土を補充してさらに根の充実を図り
  秋口または来春に切り離す

3 そく切り離し、仕立て鉢に仮植えし来春まで根の充実を促す

以上はすべて正解ですが



今回は「3」の処置をすることにします

その理由は

1 比較的発根の容易な山もみじ系統である
2 若木、また幹径も小さいために発根が比較的容易である
3 まだ入梅期なので、本格的な暑さが来るまでに1週間以上の猶予が見込める

それでは、作業開始!


もやしみたいな柔らかいきれいな白根
よろしいですか、この白根を絶対に傷つけてはいけませんよ(最重要)

ビニールをそーっと外します
また、無理に水苔を取り除こうとすると白根を傷めてしまいますよ

赤線が親木から切り離す位置
根元の処理は来春の正式な植え替えの時に行います


親木からの切り離し

この場合も白根を触ってはいけません
白根の先端には活発な細胞分裂が行われている成長点があります

無理に水苔を取り除くとせっかくの白根を傷めてしまいます


微小な赤玉土で仮植え

通常の植え替えのように竹棒で用土を突き込むと、やはり白根を傷めてしまいますから
鉢の縁を軽くたたいて用土を落ち着かせる程度でよろしい

また、底穴から針金を通して先端をフックさせて
下から引っ張って軽くとめておく


仮り植え完了

ご覧のようにやや深植えですね
水苔が隠れる程度の深さと思ってください

切り離し後の管理ポイント

1 切り離し後1週間くらいは半日蔭で
  その後は普通の棚上で管理

2 水切れに注意する(特に水苔部分)
  水苔部分からはまだ新しい発根が行われようとしています

3 秋までにはさらに新しい発根やその伸長が期待でます

4 秋口になったら少々の施肥を行い
  冬越のために耐寒性を強化します

5 来春までには、根張りの確認と根さばき、根底の処理など
  荒っぽい作業にも耐えられるようまでに成長しますから、それまでの辛抱ですよ
  それらの作業を経て、はじめて一人前の盆栽素材として独立するわけです

では